【インタビュー】加茂フミヨシ

インタビュー by 編集部 2008年9月13日

現在のギター・シーンで必要とされるテクニックのすべてを兼ね備えた超絶ギタリスト、加茂フミヨシ。エレキとアコギの両方で、さまざまな技を華麗に披露する姿は、まさに忍者。

「忍者の衣装が自宅に送られてきた時は、意識が飛びそうになりました(笑)」--加茂フミヨシ

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現在のギター・シーンで必要とされるテクニックのすべてを兼ね備えた超絶ギタリスト、加茂フミヨシ。

長年にわたるスタジオ・ワーク&ギター講師生活と、理系大学出身者らしい分析能力に裏づけされた演奏メソッド&奏法分析には定評がある。

そんな彼が、教則本『ひたすら弾くだけ! アコギ・トレーニング』をリリースした。驚くべきことに、この本には忍者に扮した写真も掲載されている。硬派なイメージの彼に、いったい何があったのだろうか?

ギター・マガジン2008年10月号(241ページ)のインタビュー記事を大幅に加筆し、ここに全文を掲載!

インタビュー:ギター・マガジン編集部 撮影:Tetsuro Sato

--加茂さんとアコギの出会いを教えて下さい。

僕が22歳の時、”大学の卒業旅行で日本海に行こう!”ということになったんです。そこで、”海を見ながらギターを弾くなら、生音の小さいエレキじゃダメだろ”というわけで、池袋の楽器屋で特に選びもせずにアコギを買い、そのまま日本海に持っていったんですよ。それがアコギを弾くきっかけです。

それまではエレキしか弾いたことがなかったので、アコギの弦の太さに圧倒されて、Fコードも十分に鳴らなかったですね。でも、旅行は楽しかったですよ(笑)。

--この教則本『ひたすら弾くだけ! アコギ・トレーニング』は、どんなギタリストをターゲットにした本なのですか?

アコギの初心者~中級者の方はもちろん、エレキは弾けるけど、アコギもやってみようかなという人にも読んでほしいです。

エレキ弾きにとって、変則チューニングや、カポ、スライド・バー、サム・ピックなどは煩わしい要素ですよね。それらをすべて排除しつつも、21種類の音楽ジャンルに対応した奏法を紹介してます。

あと、アコギ・プレイヤーの中には、バレー・コードやストロークを弾けるようになったけど、そのあとにどんな練習をしていのかわからないって人が意外と多いんですね。そのような方たちにもピッタリの内容になっています。付属のCDに合わせて”ひたすら弾くだけ”でうまくなるような本を目指しました。

--21種類の音楽ジャンルって、もの凄く広くないですか?

その辺には凄くこだわったんです。

現在の音楽におけるアコギの役割って凄く広いですよね。ブルース、カントリー、フォークといったアコギにはお馴染みのジャンルから、R&B、ヒップ・ホップ、アシッド・ジャズなどの打ち込み系にいたるまで、現代の音楽シーンではさまざまなジャンルでアコギが活躍しています。

だから、この本ではそういったジャンルにも対応できるノウハウと、合理的な攻略方法を紹介したかったんですね。

--表紙のイラストや、本の中に忍者が出てきますが、このコンセプトはどのようにして思いついたんですか?

ライブやセッションをやったりすると、バンド・メンバーから”左手から煙が出てるような演奏だ”と良く言われるんですよ(笑)。それと、仕事ではなぜかハイテク系の案件が多いんですね。また、僕のレコーディングを見たことのある担当編集者から”忍法を使って弾いているみたいだ”とよく言われるんです。

そこから、忍者というキーワードが生まれて、『ひたすら弾くだけ! アコギ・トレーニング』の表紙などに忍者を登場させてみてはと僕が提案したんです。

--なるほど。本の中で忍者のコスプレをしていますよね。これも加茂さんのアイディアだったのですね?

いや、これはまったく違います(笑)。当初、担当編集者の企画書を見たら、ネコ耳を付けたメイドのコスプレをさせられることになっていたんです。でも、それだけは阻止したくて逃げまくったんですよね。

そしたら、忍者の衣装が自宅に送られてきたんですよ。”これでよろしく”ってメモ書きがあって…。それを見た時、意識が飛びそうになりました(笑)。

--と言いつつも、ずいぶん楽しそうな写真に仕上がっていますが。

そうそう、出来上がった写真を見るとノリノリで撮影しているように見えますよね。だけど、”もっと楽しそうな表情ができないのか!”とか怒鳴られながらの作業で、心の中では泣いてました。ホント、泣き笑いですよ(笑)。担当編集者はマッチョで格闘家のような風情なので、本当に殴られるんじゃないかと。

--本書を作る上で一番工夫した点は?

僕は、今でこそ教則本の著者としても活動していますが、僕自身はアマチュアの時、教則本が好きではなかったんですよ。教則本のフレーズが僕には合わなかったんですね。”こんなフレーズ、実際の曲じゃ弾かないよ!”って思ってました。

だから、もし自分が将来教則を作るんだったら、フレーズに関しては読者がオリジナル曲でそのまんま使えるような完成度でないと意味がないと思っていたんです。だから、そこには徹底的にこだわりました。

それから、何と言ってもサウンドです。バックトラックのクオリティがギターの演奏に及ぼす影響って物凄いと思うんです。教則だから、カラオケなんて二の次で良いだろ……ってわけにはいかないんですよ。音楽ってすべてが関連してますから。バックのサウンドがダサければ、主役のサウンドもダサくなってしまうんです。

本書付録のCDにはカラオケと模範演奏含めて96曲入っていますが、そのすべては、徹底的に作り込まれています。だから、読者の方には、サウンドを楽しみながら弾きまくってほしいですね。

--”ひたすら弾くだけ!”シリーズは、アコギ編だけでなく、エレキ編の『ひたすら弾くだけ! ギター・トレーニング』も発売されていますよね。そこで、本シリーズの特徴を教えて下さい。

このシリーズは、スポーツ・クラブのレッスンに影響を受けているんです。スポーツ・クラブのレッスンって、音楽に合わせてくり返して練習しますよね。でも、そのくり返しが楽しいんですよ。上級の方でも、初級の方でも楽しめ、ひたすら練習しているうちに自然と上達する……そういう要素を”ひたすら弾くだけ!”シリーズに取り入れるよう工夫しました。

よって、収録したすべてのフレーズは、何度くり返しても音楽的に演奏できるように設計されています。ここも従来の教則とは違う大きなポイントだと言えますね。

--今後の活動は?

ギター・プレイに関しては、今年はセッション活動に力を入れていきたいです。いろんなミュージシャンとコラボレーションしていきながら、新しいテクニックも習得していきたいですね。

それから、最近、ギター・マガジン・オンラインで、ギター・トレーニングを中心とした連載をさせていただいているので、それにも力を入れていきます。

僕自身、音楽業界に入ったきっかけが、音楽コンテンツの仕事だったんですよ。ギター・マガジン・オンラインでは、斬新な音楽コンテンツを生み出したいと思っています。

※編注:
この取材はもともとギター・マガジン本誌用に行われたものであるため、こうした言い方になっています。ここでいう「連載」は当サイトの「加茂フミヨシ式 一歩先を行くギター・トレーニング」のことです。

--加茂さんは、これまでにも数々のデジタル・コンテンツを作ってきましたよね。

はい。僕は1998年頃から音楽コンテンツ配信のプロジェクトを行なってきて、クリエイターとして、非常に実験的なマインドで多数の仕事を行ないました。

そんな中、僕は教則映像と、譜面は絶対にネット配信できるはずだと信じていましたが、当時のISDN環境では現実的とは言えなかったんです。でも、最近やっと僕のイメージと時代がシンクロしてきて、今は携帯でYouTubeを見るなんて普通ですよね。

2002年からは僕のオフィシャル・サイトを運営してきて、映像配信や、Q&Aなど、いろいろな実験を行なってきたんです。先頃、ギター・マガジン・ムック・チームが僕に取材をしてくれて、1枚目のソロ・アルバム『GOOD WAVE』に収録されている「New a.g.e」の譜面を作ることができたんですよ。これを僕のオフィシャル・サイトから無料ダウンロード配信しています。ぜひ、みなさんにコピーしてもらいたいですね。

この「New a.g.e」はサブ・タイトルがNew Acoustic Guitar Etudeとなっていて、その頭文字と音楽ジャンルのニュー・エイジを掛け合わせた意味のアコギの練習曲なんです。ですから、練習ネタを探している人にはぴったりだと思いますよ。

※編注:
アルバム『GOOD WAVE』収録の「New a.g.e」のスコアが、加茂フミヨシのホームページから無料でダウンロードできます。本人に直接チェックしてもらっているので、限りなく正確な譜面です。アクセスはhttp://www.kamofumiyoshi.com/shinobi/まで。

--最後にひと言お願いします。

この忍者写真で僕のギタリスト生命に微妙に危機が訪れた気が…(笑)。

でも、この教則本は最高の出来と自負しています! ここまで集中して作品を作ったのは2ndソロ・アルバムの『ノスタルジア』以来かもしれません。僕の意識がどんどんのめり込んでいって、まわりのスタッフもそれにシンクロするかのように本当にいい仕事をしてくれました。絶対的に自信のある内容になっています。

ギタリスト、プロデューサー、ギター講師と、これまで僕が歩んできたことを、この『ひたすら弾くだけ! アコギ・トレーニング』に反映できたと思います。

--では次作でもコスプレをお願いします。

いやいや、それはもうカンベンして下さいよぉ、マジで!!

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『ひたすら弾くだけ! アコギ・トレーニング』

著者:加茂フミヨシ
A4変型判/96ページ/CD付き
1,575円(本体1,500円+税)
2008年8月22日発売

→携帯でのご購入はこちら「リットーミュージックモバイルショップのご利用方法」

[付属CDの音源を使った特別PRムービー]

次に紹介するのは、『ひたすら弾くだけ! アコギ・トレーニング』のイメージ・ビデオだ。


忍者に変身した著者に注目!……いや、バックに流れている音楽に注目してほしい。

ここで使用している音源は、すべて『ひたすら弾くだけ! アコギ・トレーニング』の付属CDから選ばれたものだが、教則用の練習用音源とは思えないほど、音楽的に完成されたものであることがおわかりいただけると思う。

加茂氏の「教則を作るんだったら、フレーズに関しては読者がオリジナル曲でそのまんま使えるような完成度でないと意味がない」や「教則だから、カラオケなんて二の次で良いだろ……ってわけにはいかない」という発言が、この音源のフレーズの良さ、サウンドの質に明確に反映されているわけだ。

サンプル音源をもっと聴きたい人は、こちらの試聴コーナーをご利用いただきたい。

【追記】

次の動画は「マイケル・シェンカー(?)vs ギター忍者」、もとい「宮脇俊郎と加茂フミヨシのギター・バトル 」。ギター忍者は卓球でもその才能を発揮しているのがわかるだろう(笑)。この動画・音源に関する説明はこちら


(ギター・マガジン・オンライン編集部)

【加茂フミヨシ・プロフィール】

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超絶技巧を変幻自在に使いこなすギタリスト。スタジオワーク&セッション活動を経て、2005年に1stアルバム『GOOD WAVE』でソロ・デビュー。2006年にFender USAの全面バックアップを受け、2ndアルバム『ノスタルジア』を発表。HMV ジャズ/フュージョン・チャート3位にランクインする。また、COMRADE Recordsのレーベル・マスターやラジオ・パーソナリティーなど、ギタリストの枠にとらわれない多彩な活動を行なっている。

【加茂フミヨシ・DVD/著書】

書籍『ひたすら弾くだけ! ギター・トレーニング』
書籍『ひたすら弾くだけ! アコギ・トレーニング』
書籍『速弾きがうまくなる理由 ヘタな理由』
DVD『DVD版:速弾きがうまくなる理由 ヘタな理由』

【加茂フミヨシ・オンライン動画】

『DVD版:速弾きがうまくなる理由 ヘタな理由』よりデモ演奏「幻想即興曲」と教則シーンのサンプル

[加茂フミヨシ オフィシャルサイト]

[加茂フミヨシ MySpace]

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