最終回:コード進行アレンジ術/初心者集まれ!指板図くんのギター・コード講座 第33回

指板図くんのギター・コード講座 by 編集部 2011年3月22日

本講座は今回が最終回です。

これまでに覚えてきたことを使って色々なコード進行を作る方法を紹介します。

C-C-F-G-Cを元にさまざまなコード進行を作ろう!

スタート地点はC-C-F-G-Cというごく単純なコード進行です。これを少しずつ変化させて複雑なコード進行にアレンジしていきます。今回の内容をお読みいただければ、複雑に見えるコード進行も実はたいしたことない、と思えるようになるかと思います。どうか最後までおつきあいください。

ではまず今日紹介する16通りのコード進行を、音の鳴る指板図で聞いてください。ロードが完了したところで♪ボタンをクリックすると音が鳴ります。

※音の鳴る指板図はFlashで作られているため、お使いの環境によっては表示されません。ご了承ください。

※上の枠内の指板図の音が消えないうちに下の枠内の指板図をクリックすると、音がちゃんと鳴らないことがあります。その場合は少し待ってからクリックしてください。

以下は各コード進行の解説です。コード進行ひとつにつき、指板図は2〜3通りのポジションを示します。また主な用語は太字で示します。忘れてしまった用語がある場合は、その項目に付いた過去の回へのリンクをたどって読み返してみてください。

ではC-C-F-G-Cからスタートです。

【1】 C-C-F-G-C

CとFとGだけによる非常に単純なコード進行です。この3つのコードはいずれも三和音(トライアド)です。

またC、F、Gは、Cメジャー・キーのダイアトニック・コードの中の主要コードであり、Cはトニック、Fはサブドミナント、Gはドミナントにあたります。よってこのコード進行は「トニック-トニック-サブドミナント-ドミナント-トニック」です。

【2】 C-C-F-G7-C

【1】のコード進行のGを、四和音であるG7に変えたものです。G7-Cの部分でドミナント・モーションが生まれます。

【3】 C-Am-F-G7-C

【2】のコード進行のうち、2つめのCをその代理コードであるAmに変えたコード進行です。悲しい響きを持つマイナー・コードが加わったことで、陰影がついた感じがすると思います。

なお、AmはCの代理コードですので、機能的には「トニック-トニック-サブドミナント-ドミナント-トニック」のままです。

【4】 C-Am-Dm-G7-C

【3】のコード進行のうち、3つめのFをその代理コードであるDmに変えたものです。マイナー・コードがさらに加わり、悲しい感じが増したのではないでしょうか?

なおDmはFの代理コードなので、機能的には「トニック-トニック-サブドミナント-ドミナント-トニック」のままです。

【5】 C△7-Am7-Dm7-G7-C△7

【4】の各コードをすべて四和音に変えたものです。

単純明快な響きを持つ三和音に対し、四和音はより深みのある響きを持ちます。三和音を四和音に変えただけで、コード進行全体の雰囲気はかなり異なるものになったと思います。

またここにおけるDm7-G7は(【4】のDm-G7も)、ツー・ファイヴと呼ばれるものです。

【6】 C△7-Am7-Dm7-Dm7/G-C△7

【5】のコード進行のうち、4つめのG7を分数コードであるDm7/Gに変えたものです。先のG7-C△7と、このDm7/G-C△7を弾き比べて、その違いを確認してみてください。筆者の場合、G7だと当たり前な感じ、Dm7/Gはそれに比べやや浮遊感のある感じに聞こえます。

なおDm7/Gは、G7(9,11)というテンション・コードを分数コードの形に書き換えたものと言えます。また、この場面でG7の代わりに使える分数コードは、他にもDm/GやF/Gなどがあり、いずれも構成音が似ています。

【7】 C△7-A7-Dm7-G7-C△7

(2つ前の)【5】のコード進行のうち、2つめのAm7をセカンダリー・ドミナントであるA7に変えたものです。Am7-Dm7に比べ、A7-Dm7にはやや強い「進行感」が感じられると思います。

またこれによりドミナント・モーションは、G7-C△7だけでなく、A7-Dm7の部分にも生まれました。コード進行全体の「推進力」が増した感じになっているかと思います。

【8】 C△7-A7-Dm7-D♭7-C△7

【7】のコード進行のうち、G7をその裏コードであるD♭7に変えたものです。「裏コード」については本講座では一度も説明していませんが、ちょっと面白いので取り上げてみました。

ごく簡単に言うと、裏コードとは、あるドミナント・セブンス・コードの減5度上(増4度上)のセブンス・コードのことです。その関係をいくつかのキーで示すと次のようになります。

Key ドミナント・セブンス・コード 裏コード
Cメジャー G7 D♭7
Dメジャー A7 E♭7
Eメジャー B7 F7
Fメジャー C7 G♭7
Gメジャー D7 A♭7
Aメジャー E7 B♭7
Bメジャー F♯7 C7

そしてこの裏コードは、ドミナント・セブンス・コードの代わりに使えます。詳しいことを知りたい人は音楽理論書で調べてみてください。

なお、C△7-A7-Dm7-D♭7-C△7のA7を、その裏コードであるE♭7に置き換えた、C△7-E♭7-Dm7-D♭7-C△7というコード進行もありです。

【9】 C△7-A7-Dm7(9)-G7(13)-C△7

(2つ前の)【7】のコード進行のうち、Dm7をDm7(9)に、G7をG7(13)に変えたものです。ここでテンション・コードが登場しました。

また、Dm7に’9′、G7に’13′を加えたことにより、すべてのコードはミ(E)という共通の音を持つこととなりました。ここで示した指板図は、そのミの音(2弦5フレットまたは1弦12フレット)をすべてのコードのトップ・ノートとしたものです。

【10】 C△7-D♭dim7-Dm7(9)-G7(13)-C△7

【9】のコード進行のうち、A7をD♭dim7に変えたものです。ディミニッシュ・コードの使い方の一例です。

【11】 C△7-A7(♭13)-Dm7(9)-G7(♭13)-C△7(9)

(2つ前の)【9】のコード進行のうち、A7をA7(♭13)に、G7(13)をG7(♭13)に、最後のC△7をC△7(9)に変えたものです。ポイントはトップ・ノートが半音でなめらかに移動するところです。

テンション・コードの使い方はいろいろありますが、【9】〜【11】はその一例でした。

小休止:ここまでのまとめ

ここまでで、「C-C-F-G-C」というごく単純なコード進行をじわじわと変えて、最終的には「C△7-A7(♭13)-Dm7(9)-G7(♭13)-C△7(9)」という複雑なものに発展させました。

ギターを始めたばかりの人にとって、「C-C-F-G-C」と「C△7-A7(♭13)-Dm7(9)-G7(♭13)-C△7(9)」はまったくの別物に見えるかと思いますが、この両者が「地続き」のものであることが、ここまでの説明でわかっていただければ嬉しいです。

引き続きC-C-F-G-Cを基礎にしたコード進行を6つ紹介します。

【12】 C omit3 – C omit3 – F omit3 – G omit3 – C omit3

すべてのコードをomit3にしたものです。omit3は、3度を省略したコードのことで、ロックやロックを源流とする音楽に多用されます。

上の指板図ではそれぞれ2本の弦を使っていますが、ルートの1オクターブ上を加えた弦3本のフォームも多用されます。

なお’omit3′は’5′と表記されることもあるので、このコード進行をC5-C5-F5-G5-C5と書いてもかまいません。

【13】 Cadd9 – Fadd9 – G7sus4- G7 – Cadd9

add9の使用例であると同時に、sus4の使用例でもあります。

ドミナント・セブンスをG7 sus4→G7の2つに分けるのは、sus4の利用法として最も一般的なものです。

【14】 C-C/B♭-F/A-F/G-C

分数コードを多用したコード進行の例です。ベース音がC→B♭→A→Gとなめらかに下行します。

C/B♭は、ルートのC音から見て’♭7′(短7度)にあたるB♭音をベース音にしたものです。C7の’♭7′をベース音にしたという観点で、C7/B♭と表記してもかまいません。なお、ここでのC7はセカンダリー・ドミナントにあたります。

F/Aは、ルートのF音から見て’3′(長3度)にあたるA音をベース音にしたものです。これは単なる転回形と解釈できます。

F/Gは、G7(sus4,9)もしくはG7(9,11)というテンション・コードを分数コードの形で表したものと言えます。【6】で出てきたDm7/Gと同様に、G7の代わりによく使われます。

【15】 C-C-F-Fm-C

4つめのFmはサブドミナント・マイナー・コードと呼ばれるものです。Cメジャー・キーの中にF→Fmという流れが入ることにより、切ない感じが生まれます。

サブドミナント・マイナー・コードについては本講座で一度も説明していなかったので、『ハンディ版 音楽用語事典』での解説を引用しましょう。

サブドミナント・マイナー・コード【subdominant minar chord】
マイナー・スケール(短音階)の4度上のコード(和音)を同主調に借用したときの名称で、長調でのIVmを指し、SDMと略される。このコードもサブドミナント・コードと同様、ドミナント7thコードやトニック・コード(主和音)に結びつけて使われるが、その際IVmの短3度音は半音下行して次のコード・トーンへスムーズにつながる特徴を持つ。

もしこの解説が理解できなくても、F-Fm-Cというコード進行だけは覚えておくと良いと思います。

※これまでの例ではFmの位置にG7が来ていたので、「Fmはドミナント・セブンスの代わりなのか?」と思う人がいるかもしれませんが、そういうわけではありません。

【16】 C-C△7-C6-C△7-C

最後はクリシェの一例です。このコード進行を弾くと、ドシラシド(1・7・6・7・1)というメロディ・ラインが聞こえてくると思います。

クリシェについても本講座ではほんの少ししか紹介していなかったので、『ハンディ版 音楽用語事典』での解説を引用します。

クリシェ【cliche】
同一のコードが連続している部分に装飾的に加えられる慣用的なラインを指し、作・編曲上の技法のひとつとされる。コード自体を変化させるものではなく、同じコードの中で半音または全音によるスムーズなラインを設定し、それによって同一コードの連続による退屈さからの脱出を図るもの。

大雑把にいえば「同じコードが続く部分にクリシェを入れると面白くなる」ということですね。

なお、「続・分数コードとは?/第12回」の「例3:四和音の転回形である分数コードを使った例(その2)」の項目で、Am-Am△7-Am7-Am6というクリシェを紹介しています。

コード進行についての解説は以上です。

おわりに

本講座はここでおしまいです。コードについてなるべくわかりやすく説明しようと試みましたが、いかがだったでしょうか。またこの講座では説明していないこともたくさんあります。コードについて興味を持った人は、ぜひこの続きを音楽理論書やギター教則本で学んでください。

※リットーミュージックから発行されているものはこちらで紹介しています

それからコードの勉強には「ギター・コード指板図くん」も役に立つと思います。

最後に、この連載中に筆者が参考にした文献を挙げておきます。これらの本の著者の方々に深く感謝申し上げます。加えて、筆者が子供の頃にお世話になったコード・ブックや歌本などの制作者の方々にも同様の感謝を捧げます。

そしてこの連載を最後までお読みいただいた皆様、どうもありがとうございました!

参考文献

※以上はリットーミュージック

※以上は河出書房新社

初心者集まれ!指板図くんのギター・コード講座・完

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この講座が本になりました!

初心者だって大丈夫! コードが自分で作れちゃう! 指板図くんのギター・コード講座

著者 指板図くん
定価 1,620 円(本体1,500円+税)
仕様 B5変型判/144ページ
発売日
ISBN 9784845628322
  • 立ち読みする
  • 『初心者だって大丈夫! コードが自分で作れちゃう! 指板図くんのギター・コード講座』をAmazon.co.jpから購入する

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