ドミナント・モーションとは?/初心者集まれ!指板図くんのギター・コード講座 第29回

指板図くんのギター・コード講座 by 編集部 2011年1月25日

今日は、音楽理論書や教則本によく出てくる用語「ドミナント・モーション」の意味を解説します。

まずドミナント・モーションという用語の意味を、いつものように『ハンディ版 音楽用語事典』から引用します。

最初はまったく理解できなくてもかまいませんので、ざっと目を通してください。

ドミナント・モーション【Dominant motion】

ドミナント7thコードは、トライトーン(三全音)に基づく不安定な性格を持つが、この不安定さを解消するための他のコードへの進行をドミナント・モーションという。トニック・コード(主和音)への解決がその代表とされ(V7-I)、ほかには、ドミナント7thコードどうしの連結(V7 of V)や、マイナー7thコードへの進行(V7 of II)、さらにこれらの代理和音への応用などがあげられる(♭II7-I、V7-IIIm7)。ドミナント・モーションは以下のように分類される。

1:メジャー・コード、マイナー・コードへのドミナント・モーション(V7 of I)

ドミナント7thコードの持つトライトーンの順次的反進行による解決と、強進行(完全5度下行または完全4度上行)によるルート・モーション(根音進行)とがドミナント終止(V7-I、V7-Im)を構成する。また終止形とは異なるが、サブドミナント・コード(IV、IVm)へのI7からのつながりもこの種のドミナント・モーションに加えられる。

※実際の本では、「1:メジャー・コード、マイナー・コードへのドミナント・モーション(V7 of I)」に続けてさらに4つの項目が書かれていますが、ここでは省略しました。

この用語解説のうち、特にポイントとなる部分を、ギタリストにもわかりやすいように噛み砕いて説明してみます。

次の図を見てください。これはC-F-G7-Cという単純なコード進行です。Cのキーのダイアトニック・コードのうち、C(トニック)とF(サブドミナント)とG7(ドミナント)だけが使われています。この進行のうち、3つめのG7から4つめのCへの動きがドミナント・モーションと呼ばれるものです。

なおドミナント・モーションは、この図にあるとおり湾曲した矢印で表記されます。

このコード進行を題材にしながら、『ハンディ版 音楽用語事典』の解説文を少しずつ読み解いていきましょう。

「ドミナント7thコードは、トライトーン(三全音)に基づく不安定な性格を持つ」

この文の中のドミナント7thコードとは、先ほどのコード進行でいえばG7のことです。G7はCのキーにおけるドミナント・コードですし、なおかつ7thコードなので、ドミナント7thコードというわけです。ちなみにCのキーにおけるG(トライアド)もドミナントではありますが、7thコードではないので、ドミナント7thではありません。

次にトライトーン(三全音)とは、全音3つ分の音程のことです。言い換えれば増4度です。トライトーンはギターの指板上では次の形になります。

先ほどのG7のフォームのどこにトライトーンがあるかというと、それは2弦と1弦にあります。

このトライトーン(三全音/増4度)は、かなり不協和なハーモニーとされています。試しにG7の2弦と1弦の2本だけを弾いてみてください。不安定な感じがすると思います。

こうした不協和なハーモニーを含むため、ドミナント7thは不安定な性格を持つわけです。

「トニック・コード(主和音)への解決がその代表とされ」

この文の中のトニック・コード(主和音)とは、先のコード進行ではCのことです。またそこへの解決とは、不安定なG7から安定感のあるCに進むこと、を意味します。

「ドミナント7thコードの持つトライトーンの順次的反進行による解決」

順次的反進行とは、順次進行でありなおかつ反進行であるということです。順次進行とは、ある音がとなりの音(2度)に進むこと。反進行とは、2つの音のうち1つが高い方に移動し、もう1つは低い方に移動することです。

次の図を見てください。

まず、G7においては、コード構成音の中の3と♭7がトライトーンを構成しています。Cにおいては1と3が長3度のハーモニーを構成しています。

そしてG7からCへ進行するとき、2弦は半音上がり、1弦は半音下がります。どちらも半音の移動なので「順次進行」です。また片方が半音上がり、もう片方は半音下がるので「反進行」です。両方あわせて「順次的反進行」というわけです。

そしてここで特に重要なのは、G7の持つ不安定なトライトーンが、Cにおいては長3度という安定したハーモニーに解決する、ということです。

試しにG7→Cを、2弦と1弦の2本だけで弾いてみてください。それだけでも不安定から安定に向かう感覚が味わえると思います(人によってはそう感じない方もいるかもしれませんが)。

「強進行(完全5度下行または完全4度上行)によるルート・モーション(根音進行)」

ここでは強進行という用語はスルーして、カッコ内の完全5度下行完全4度上行のみに注目していただければOKです。

ギターの指板上で、完全5度は次の形となります。この形で、高い方の弦を弾いてから低い方の弦を弾くと、完全5度下行したことになります。

一方完全4度は、次の形になります。この形で、低い方の弦を弾いてから高い方の弦を弾くと、完全4度上行したことになります。

先ほどのコード進行では、G7のルートは6弦3フレットにあり、Cのルートは5弦3フレットにあります。よってG7からCへ進行すると、ルートの動き(ルート・モーション)は、完全4度上行となります。

参考までに、ハイ・ポジションでのG7→Cも見てみましょう。この場合のルートの動きは、完全5度下行となります。

そしてこのルートの完全5度下行と完全4度上行は、いずれも最も強く、なおかつ安定した進行感を持つ、と言われています。

・・・以上で、ドミナント7thコード、トニック・コード、トライトーン、解決、完全5度下行、完全4度上行といった用語の意味は、ほぼおわかりいただけたかと思います。

ドミナント・モーションが強力な進行感を持つ2つの理由

さて、ドミナント・モーションは一般的に「強力な進行感を持つ」と言われています。理由としては以下の2つが挙げられます。

1:完全5度下行または完全4度上行という力強い進行でルートが動くから。

2:不安定なトライトーンを含むドミナント7thコードが、安定したトニック・コードに解決するから。

この2つが揃うと、不安定から安定への強力な進行感を持つ「ドミナント・モーション」が生まれるわけです。あるいは、この2つの条件が揃ったものを「ドミナント・モーション」と呼ぶ、と言った方がよいでしょうか。

ちなみに、G→Cというコード進行は「ドミナント→トニック」ですが、Gにはトライトーンが含まれないため、厳密にはドミナント・モーションではなく、またその進行感はやや弱いものとなります。

またBm7(♭5)→Cというコード進行も「ドミナント(の代理和音)→トニック」ですし、なおかつBm7(♭5)にはトライトーンも含まれていますが、ルートの進行が完全5度下行でも完全4度上行でもないため、これもドミナント・モーションとは見なされないことが多いようです。

なお、ここに書いたことがドミナント・モーションのすべて、ではありません。実際、『ハンディ版 音楽用語事典』から引用した文章のうちの半分程度しか説明できていませんし、さらにもっと深い世界があります。興味を持った方はぜひ音楽理論書などで続きを調べてください。

いろいろなキーにおけるドミナント・モーション

最後に実用的なものとして、いろいろなキーのドミナント・モーションを挙げておきます。ドミナント7thにおけるトライトーンは赤い色、トニックにおける長3度は青い色で描きました。トライトーンが何弦にあるかを意識しつつ弾いてみると、慣れ親しんだコードも、これまでとは少し違って見えてくるかもしれません。

※ポジションによっては、トライトーンの片方の音がその半音上や下ではなく、その1オクターブ違いの音に跳びますが、べつに問題ではありません。

さらにおまけとして、音の鳴る指板図でいろいろなキーのトニック→サブドミナント→ドミナント→トニックの進行を作ってみました。これらを実際のギターでも弾いてみて、手癖として身につけてしまうと、何かと役立つと思います。

※音の鳴る指板図はFlashで作られているため、お使いの環境によっては表示されません。ご了承ください。

今日はここまで。次回は「セカンダリー・ドミナント」をテーマとする予定です。

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初心者だって大丈夫! コードが自分で作れちゃう! 指板図くんのギター・コード講座

著者 指板図くん
定価 1,620 円(本体1,500円+税)
仕様 B5変型判/144ページ
発売日
ISBN 9784845628322
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