続・ミュートのやり方/初心者集まれ!指板図くんのギター・コード講座 第21回

指板図くんのギター・コード講座 by 編集部 2010年9月28日

前回は、ミュートを行うときの左手の指使いについて説明しました。今日は、そもそもなぜミュートが必要になるのかを、具体例を挙げながら説明します。

6:なぜミュートが必要なのか?

コードを弾くときになぜミュートが必要になるのか? その理由をここでは次の3つに分類します。

1:コードの構成音以外の音を鳴らさないため
2:ベース音をコードのルートにするため
3:自分の望む響きにするため

それぞれ具体例を挙げながら解説します。

1:コードの構成音以外の音を鳴らさないため

ミュートが必要な第一の理由は、「コードの構成音以外の音を鳴らさないため」です。

あるコードを弾くときに、その構成音には含まれていない音を開放弦で鳴らしてしまうと、別のコードになってしまいますし、自分の意図していない響きが生じてしまいます。

たとえば次のB♭7で、6弦を正しくミュートした場合(左)とミュートしない場合(右)とを、実際にギターで弾いて聞き比べてみてください。

※各弦の右横に書かれた文字は音名です。
※右の指板図はB♭7ではないので、コード名は書き入れていません。また不要な音を赤い色で示しています。

ミュートしない方は、不快な響きに感じられたと思います。B♭7の構成音はB♭-D-F-Aですが、ここに構成音ではないEが入ることによって、コード全体の響きが阻害されるわけです。

より極端な例も示しましょう。次のコードは同じくB♭7ですが、ジャズでよく使うような3本の弦だけを鳴らすフォームです。これも実際にギターで弾いて聞き比べてみてください。

ミュートしないと、音同士が音が半音や全音でぶつかり、非常に濁った響きとなります。

・・・以上、たった2つの例を挙げただけですが、とりあえず、コードの構成音以外の音を鳴らしてしまうと自分の望んだコードの響きにならない、ということはおわかりいただけたかと思います。

なお、コードの構成音に関しては本講座ですでに説明してきましたが、途中から読み始めた方で、コードについての知識がまだない方は、ぜひ第1回から目を通してみてください。

さて、逆に開放弦がコードの構成音ならば、まったくミュートしなくても良いのかというと、そういうものでもありません。そこで次の項に進みましょう。

2:ベース音をコードのルートにするため

ミュートが必要な第二の理由は「ベース音をコードのルートにするため」です。

※ここでのベース音とは、「鳴らす音のうち、一番低い音」を指しています。

コードは、ルートをベース音にしたときに最も安定した響きになります。あるいは、そのコードらしい響きになります

そのため、コード・ブックに掲載されているコードのうち大抵のものは、ルートがベース音になるように、ミュートすべき弦が指定されています。

これについては前回も取り上げたCのキーのダイアトニック・コードを例に説明しましょう。次の図をごらんください。どれもルート(◎)がある弦よりも低い弦には、すべてミュートの指定(×印)が入れられています。

※Em7とG7にはミュートすべき弦がありませんが、他と比較するために入れています。

このようにコード・ブックに載っているコードは、なるべくルートがベース音になるよう配慮されているわけです。

ところで、これらの7つのコードをまるでミュートしないとどうなるのかも、ついでに見ておきましょう。次の図は、ミュートを一切しない状態での各弦の音名を書いたものです。本来はミュートすべき開放弦が、そのコードの構成音である場合は青、構成音でない場合は赤で示しました。

赤い字になっているところ、つまりDm7における6弦、そしてBm7(♭5)における6弦と1弦は、コードの構成音ではないため、これらは必ずミュートする必要があります。

一方、青い字になっているところは、コードの構成音ですので、仮にこれをミュートしなくても、コード名は変わりません。ただそれでもやはりルートをベース音にした方が、そのコード本来の響きになります。

※C△7、Am7、F△7にとって6弦の開放のE音は構成音のひとつになりますが、この3つはやや事情が異なります。C△7において6弦開放はルートに対して3度の音にあたりますが、Am7においては5度の音にあたります。またF△7においては7度の音にあたります。3度や5度をベース音にした場合、そのコード全体の響きは、ルートをベース音にした場合とそれほど変わりませんが(といってよいかどうかも微妙ですが)、7度をルートにすると響きから受ける印象はかなり変わってきます。さらに言えば、テンション・コードにおける9度、11度、13度をベース音にすると、それはもう別のコードの響きに聞こえます。こうした点にはご注意ください。

※ルート以外の音をベース音にした場合、そのコードは分数コードで表記されることもあります。分数コードについては、本講座の第11回をご参照ください。

3:自分の望む響きにするため

ミュートが必要な第三の理由として、「自分の望む響きにするため」というのもあります。ここでの「響き」とは、「ボイシング(=音の重ね方)」と言い換えてもいいでしょう。

ひとつのコードにもいろいろな押さえ方があるわけですが、特に「このコードを、特にこの響きで鳴らしたい」と思ったときは、コード・ブックに載っているのとはまた違う押さえ方が必要になりますし、それによってミュートすべき弦も変わってきます。

具体例を示します。次の図の上段と下段はどちらもAm7-D7というコード進行ですが、上段はコード・ブックに普通に載っている形で押さえたもので、下段は3本の弦だけで弾くものとなっています。

この例は単純ですが、要するに、「弦3本のみの響きの方が望ましい」というシチュエーションでは、ミュートすべき弦も増えるということです。

では次の例。この図の上段は、コード・ブックにふつうに載っている形で押さえたもので、下段はすべてのコードの1弦をミュートしたものとなっています。

下段の押さえ方のどこがポイントかというと、4つのコード全体を通じてトップノート(一番高い音)が2弦5フレットのまま動かない、というところです。これによって、コードが動いていく中でも一本筋の通った響きが得られるわけです。

もうひとつの例。次の図の上段はコードをフルに押さえる例、中段は高音弦の3本だけを鳴らす例、下段は1弦と3弦のみを鳴らす例です。ミュートすべき弦が増えていきます。

以上の例のように、自分が望む響きを得るために、コード・ブックでは特にミュートの指定がない弦をあえてミュートする場合もあるわけです。

補足:コード・ブックにおけるミュートの指定と、右手のコントロールについて

本講座では、ミュートすべき弦は開放弦の位置に×印を付けることによって示しています。しかし、開放弦の位置になにも書かないことによってミュートすべき弦を示しているコード・ブックもありますので、一応ご注意ください。

また、ミュートすべき弦は、要するに鳴らさなければよいわけなので、右手のコントロールでその弦に触れないようにできるのであれば、それでもOKです。

次の図をごらんください。

上段のように、4弦から1弦のみを鳴らす場合は、右手で6弦と5弦は弾かないようにピックをコントロールすればOKです。それでも触れてしまいがちな5弦は左手でミュートしておきます。

下段のように、低音弦2本だけを鳴らすのであれば、右手で6弦と5弦のみを狙いつつ、それでも触れてしまいがちな4弦だけをミュートすれば、ほぼ大丈夫でしょう。

指板図に書かれたミュート記号を見て、「これ全部左手でミュートしなくてはいけないの?」と思う人がいるかもしれないので、念のため書いておきました。

今日はここまでです。次回の更新は2週間後の10月11日(火)となります。

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初心者だって大丈夫! コードが自分で作れちゃう! 指板図くんのギター・コード講座

著者 指板図くん
定価 1,620 円(本体1,500円+税)
仕様 B5変型判/144ページ
発売日
ISBN 9784845628322
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