分数コードとは?/初心者集まれ!指板図くんのギター・コード講座 第11回

指板図くんのギター・コード講座 by 編集部 2010年7月20日

今日は、分数コードまたはオン・コードと呼ばれるものについて説明します。

分数コードとは?

分数コードとは、次のように分数の形で表記されるコードのことです。左のように縦に重ねる場合と、右のように横に並べる場合とがありますが、意味は同じです。

そして分数コードでは、分子にあたる部分に書かれているのがコード名を、分母にあたる部分に書かれているのがベース音の音名を表しています。ベース音は単音であることに注意してください。

また、分数コードは「コード on ベース音」の形で表記されることも多く、この場合はオン・コードと呼びます。

通常のコードでは、そのコードのルートがすなわちベース音と言えますが、あえてルートとは違う音をベース音に指定したいときに、分数コードを使います。

分数コードの例(メジャー系)

分数コードの例をいくつか示しましょう。

※今日の最後のページに、音の鳴る指板図も用意しましたので、ギターが手元にない方は、そちらで音を確認してください。

まずはメジャー系。分子のコードはすべてC(メジャー・トライアド)とします。またベース音は、コードがCのときに使われやすいものに絞ります。なお、これまでの指板図において、ずっとルートを意味していた二重丸(◎)は、今回はベース音に使いますので、その点にもご注意ください。

まずC/Eです。これは、Cコードの構成音のうちのE(ミ)の音をベース音にしたものです。単なる「Cの転回形」なので、コード全体の響きが普通のCと大きく変わることはありません。

次はC/Gです。これは、Cコードの構成音のうちのG(ソ)の音をベース音にしたものです。これもまた単なる「Cの転回形」なので、コード全体の響きが普通のCと大きく変わることはありません。

次にC/Bです。これは、Cコードの構成音には含まれない7(長7度)の音であるB(シ)をベース音にしたものです。しかしこれをC△7の転回形とみなして、C△7/Bと書くこともあります。

※コード名を見る側の受け取り方は、「C/B」と「C△7/B」とで若干異なるかもしれません。例えば筆者は「C/B」というコード名を見ると、ギターの高音弦側には7の音を入れないように(つまりはトライアドだけになるように)します。一方「C△7/B」というコード名を見ると、ギターの高音弦側にも7の音を入れようとします。このへんは人それぞれかと思いますので、適宜使い分けた方がよいかもしれません。

次はC/B♭です。これは、Cコードの構成音には含まれない♭7(短7度)の音であるB♭(シのフラット)をベース音にしたものです。しかしこれをC7の転回形とみなして、C7/Bと書くこともあります。

次はC/Aです。これは、Cコードの構成音には含まれない6(長6度)の音であるA(ラ)をベース音にしたものです。これをC6の転回形とみなすこともできます。ただし! C6の構成音は実はAm7とまったく同じであり、なおかつこの場合はベース音がAなのですから、普通はC/AやC6/Aではなく、ただAm7と書くでしょう。

もうひとつ、C/Dを紹介しておきます。C/Dは、Cadd9の9(長9度)の音であるD(レ)をベース音にしたもの、といえなくもないのですが、これはD7(sus4,9)の別名、と思った方がよいでしょう。くわしくは次回に説明しますが、コード進行において、C/Dは、D7やDsus4の代わりに使われることが多いからです。

分数コードの例(マイナー系)

分子がマイナー・コードになった分数コードもありますので、そのフォームをAmを例にいくつか挙げておきましょう。

まずAm/Cです。これは、Amコードの構成音のうちのC(ド)の音をベース音にしたものです。単なる「Amの転回形」なので、コード全体の響きが普通のAmと大きく変わることはありません。

次はAm/Eです。これは、Amコードの構成音のうちのE(ミ)の音をベース音にしたものです。これもまた単なる「Amの転回形」なので、コード全体の響きが普通のAmと大きく変わることはありません。

次はAm/G♯です。これは、Amの構成音には含まれない7(長7度)の音であるG♯(ソのシャープ)をベース音にしたものです。しかしこれをAm△7の転回形とみなして、Am△7/G♯と書くこともあります。

次はAm/Gです。これは、Amの構成音には含まれない♭7(短7度)の音であるG(ソ)をベース音にしたものです。しかしこれをAm7の転回形とみなして、Am7/Gと書くこともあります。

次はAm/F♯です。Amの構成音には含まれない6(長6度)の音であるF♯(ファのシャープ)をベース音にしたものです。しかしこれをAm6の転回形とみなして、Am6/F♯と書くこともあります。

最後に、Am/Dを紹介しておきましょう。Am/Dは、Am add11の11の音であるD(レ)をベース音にしたもの、といえなくもないのですが、C/Dとも似ていていますし、D7(9) omit3の別名と思った方がよいと思います。くわしくは次回に説明します。

分数コードを分類してみる

前項で挙げた分数コードは、次の3つに大別できます。

1:三和音の転回形
2:四和音の転回形
3:その他

「1:三和音の転回形」とは、次の分数コードたちのことです。

  • C/E、C/G
  • Am/C、Am/E

これらは、CもしくはAmの構成音にもともと含まれている音をベース音にしたものなので、先にも書いたとおり、コード全体の響きは通常のCやAmと大きく変わるところはありません。

「2:四和音の転回形」とは、次のコードたちのことです。

  • C/B、C/B♭、C/A
  • Am/G♯、Am/G、Am/F♯

これらはそれぞれ、ルートに対して7、♭7、6にあたる音をベース音にしたものであるため、四和音の転回形と見ることができます。よって、次のように分子の部分を四和音で表記することもできます。

  • C△7/B、C7/B♭、C6/A
  • Am△7/G♯、Am7/G、Am6/F♯

「3:その他」とは、今回紹介した中では次のコードたちです。これらに関しては、次回に説明を加えます。

  • C/D
  • Am/D

さて、一部不明な点も残ったかもしれませんが、このように、いろいろな分数コードをある程度分類しておくと、その役割や使い方も理解しやすくなってきます。

今日のまとめ

分数コードのベース音には、分子のコードのルート以外の11音のどれを指定してもよいわけですが、今回はそのうちの一部しか紹介しませんでした。なぜならば、実際に良く使われる分数コードはわりと限られているからです(人それぞれでしょうが)。

ただ、今日のまとめをかねつつ、CおよびAmを分子とした各11個の分数コードの名前だけでも、一覧表で挙げておきましょう。「使用頻度が高い」の欄に○印が付いたコードは、今回紹介したものです。

▼Cを分子とした分数コード

コード名 分母が分子の構成音 使用頻度が高い 転回形 別表記
C/D♭
C/D D7(sus4,9)
C/E♭
C/E Cの転回形
C/F
C/G♭
C/G Cの転回形
C/A♭
C/A C6の転回形 C6/A、Am7
C/B♭ C7の転回形 C7/B♭
C/B C△7の転回形 C△7/B

▼Amを分子とした分数コード

コード名 分母が分子の構成音 使用頻度が高い 転回形 別表記
Am/B♭
Am/B
Am/C Amの転回形
Am/C♯
Am/D D7(9)
Am/E♭
Am/E Amの転回形
Am/F F△7
Am/F♯ Am6の転回形 Am6/F♯
Am/G Am7の転回形 Am7/G
Am/G♯ Am△7の転回形 Am△7/G♯

最後に、今日紹介した分数コードの各フォームを、音の鳴る指板図で掲載しておきます。音符ボタンをクリックして、響きを確かめてみてください。

※音の鳴る指板図はFlashで作られているため、お使いの環境によっては表示されません。ご了承ください。

さて、分数コードは、コード単体で弾いてみても何の役に立つのかわかりにくいものです。そこで次回は、分数コードを使ったコード進行例をいくつか紹介します。

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初心者だって大丈夫! コードが自分で作れちゃう! 指板図くんのギター・コード講座

著者 指板図くん
定価 1,620 円(本体1,500円+税)
仕様 B5変型判/144ページ
発売日
ISBN 9784845628322
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