
アナログレコードを使ったプレイはもちろん、ディスクコントロール型での使用やサンプリング/リスニング用途など、現在も多くのニーズを抱えているのがDJ用アナログターンテーブル。ヌー(NEU)からリリースされているDD1200MK3は、一般的なレコード再生に対応するのはもちろん、78回転への対応、±20%のピッチ可変幅、リバース再生、フォノ/ライン出力切り替えなど、意欲的な機能を搭載したモデルだ。しかも、驚くべきはそのコストパフォーマンスの高さ。このDD1200MK3を川辺ヒロシ(TOKYO No.1 SOUL SET / InK / GALARUDE)に試奏してもらった。
Photo:Takashi Yashima
NEU DD1200MK3
オープンプライス(市場予想価格:28,000円前後)
SPECIFICATIONS
- 型式:ダイレクトドライブ式
- 出力端子:ステレオ出力(RCA)×1系統(フォノ/ライン切り替え可能)
- 付属品:ヘッドシェル+カートリッジ(ヌー VV-44)、着脱式ダストカバー、7インチアダプター、スリップマット、電源コード
- 外形寸法:450(W)×157(H)×352(D)mm
- 重量:10.5kg
試奏で使用したヘッドフォン
NEU HX6000
オープンプライス(市場予想価格:4,000円前後)
試奏で使用したモニターヘッドフォン、HX6000は50mmのダイナミックドライバーを搭載した、バランスの良い再生音を目指したモデル。長時間の装着でも疲れづらく、コストパフォーマンスにも優れたモデルだ
info:イースペック
tel:06-6636-0372
url:http://www.e-spec.co.jp/
多機能なんだけど、シンプルにまとまっていて
コストパフォーマンスがすごいアナログタンテです
幅広い音楽ジャンルのエッセンスを的確にくみ取った独自の選曲で知られる川辺ヒロシ。現在もDJのときはアナログレコードを中心にプレイしており、サンプリングをベースにしたトラックメイキングを行うなど、DD1200MK3を試奏いただくには最適な人選と言えるだろう。まずは試奏を終えての率直な印象から聴かせてもらった。
「レコードを聴くためにターンテーブルがほしい、職業にするといった目的でなくてDJを始めてみたい、そういったカジュアルな使い方をしたい人にとって全く問題ないというか、十分な機能が搭載されたモデルだと思います」
DD1200MK3はプラッターを回転させるときのトルクが強化されており、スクラッチ/キューイングでも進化しているほか、±10%と±20%のピッチ可変幅が選択できる。
「可変幅が±20%という部分は、個人的にうれしい。例えば、45回転の12インチを33回転でプレイしつつ、ピッチをプラス方向に調整してDJで使ったりできるので。そういったトリッキーな再生方法も選択肢にあるのはプレイの幅という面でも魅力的ですね。聴く人はごく一部だろうけど、78回転にも対応しているので、SP盤も再生できます。あとはリバース機能。トラック制作のときにサンプリングする前から試聴ができるので、いろんなレコードを逆回転で再生してみるとDJ用ということも含めて意外と使える盤が見つかりそうです」
これらの機能面に加え、出力端子の切替スイッチ(フォノ/ライン)についても語ってもらった。
「DJミキサーやフォノ入力に対応したオーディオシステムを持っていない人でもこのDD1200MK3を買って、ミニコンポなどに接続すればすぐにレコードが聴けるというのはいい。DJが目的ではなくて、ただレコードが聴きたいという人も多いはずだし、内蔵のフォノイコライザーの音質面も全く問題ありません。しかもカートリッジまで付属されているんですよね。コストパフォーマンスはすごい。多機能でありつつ、トーンアーム周辺の調整機能については針圧とアンチスケーティングだけだったりと最小限の機能に絞ってあるし、全体的にシンプルに分かりやすくまとまっているのも初心者には魅力なんじゃないかな。大音量のクラブではハウリング対策などが必要になると思いますが、カフェのDJブースや自宅で使うことを考えると全く問題ないと思います。このモデルが知られることで1人でもアナログレコードを楽しむ人が多くなるといいですね」