第12回 『日本人には日本人のラップの良さがある。それをより良く聴かせられるトラックがあると思う』~ISSUGI & BUDAMUNK 〜Part.1〜

SEX山口のなんだチミは!? by SEX山口 2014年1月10日

This is 新年あけましておめでとうございます(意味不明)!
2014年も『SEX山口のなんだチミは!?』をよろセクシーお願い申し上げます。

今回の『SEX山口のなんだチミは!?』は、昨年、2人での始動を告げるファースト・アルバム『II BARRET』をリリースした“ISSUGI & BUDAMUNK”のインタビューの模様をドーンと分厚く掲載!

助っ人インタビュアーにセク山との謎の関係性と距離感をキープする男、shakkeを召喚し、予定していた掲載ボリュームを大きく越えてしまったため、前編・後編の2つに分けお届けいたします!

 

“II BARRET” Comingout November 6th

MONJU、SICK TEAM としての活動や、2013年2月に発表したニュー・アルバム『EARR』が各方面で大絶賛された“ISSUGI”。同じくSICK TEAM やmabanua とのユニット、GREEN BUTTER、さらにはアメリカ西海岸のアンダーグラウンドなシーンにもその名を轟かせ活動を広げているDJ /プロデューサーの“BUDAMUNK”。この2人が“ISSUGI & BUDAMUNK”始動を告げるファースト・アルバム『II BARRET』をリリース。5lack、仙人掌、KID FRESINO(Fla$hBack$)、OYG、16FLIPらが参加し、HIPHOP シーンはもちろん、この類い稀なセンスを持つ2人の音楽性は新たなミュージックシーンに届く作品に仕上がっている。

01

 

SEX山口&shakke:本日はよろしくお願い致します!

SEX山口:ここ数日間、ずっとこのNEWアルバム『II BARRET』を聴いていたんですけど、昼間に部屋の掃除をしている時に一番サラッと耳に入ってきまして。パンチライン以外での言葉の引っ掛かりやループの心地良さを改めて感じました。

ISSUGI:あー確かに(笑)。なんとなく分かります。

shakke:自分は昨夜、割と集中してガッツリ聴かせていただいたんですけど、いつ聴いて欲しいとかってありますか?

ISSUGI:おれは特にないですね。いつでも、って感じです。

shakke:夜のイメージが強いって言われませんか?

ISSUGI:あー、それはよく言われます(笑)。でも、そこまで想定はしていませんね。

BUDAMUNK:今回のアルバムはほぼ自分のトラックで、16FLIPとも系統は似てると思うので、割と平均的にバランス良くできたと思うんです。いつでも聴ける感じだと思ってますね。

02

 

shakke:日々の生活の中で音楽を聴くタイミングってどんな時ですか?

BUDAMUNK:朝起きてダラダラしてる時とか、移動中の電車とかですね。そこは普通に(笑)。

ISSUGI:車とか電車、やっぱり自分も移動中ですね。

SEX山口:最近どんなの聴いてます?

ISSUGI:ダウンロードした海外のMIXをよく聴いてますね。ネタものだけのやつとか、1人のラッパーの曲のみで構成されたやつとかですね。とにかく量が多いので名前とか全然わかんないんすけどね。覚えられない(笑)。

SEX山口:だはは。そうなんですよね、これって「DJの名前で聴く時代は終わった」とも言えますね。無名でも良いMIXが勝つと。逆に、落としたはいいけど量が多くて再生まで至らない…っていうのもありますよね。ここ2年ぐらいでDLフォルダに相当溜まりまくってます。

BUDAMUNK:そうそう、落としたまま聴かないのとかいっぱいある(笑)。

shakke:知らぬ間にDLフォルダがmp3の墓場と化してるのか…。あ! そうだそうだ、これオススメの「DLしたMIXの覚え方」なんですけど、だいたい自分は分数で憶えてますね。「58:11はアレだ!」とかって感じで。

SEX山口:へ~…ってなんだよその記憶方法! タイトルもDJの名前も覚えられないじゃん…。全然共感できねぇよ!

shakke:4桁の数字を覚えるだけですからね! 簡単なのに!

SEX山口:BUDAさんはどんなの聴いてます?

BUDAMUNK:確認込みで自分で作ったMIXとかは聴いたりしますね。最近だと、特典CDなんですけど、こないだ代官山UNITで16FLIPと一緒にDJした時のクラブプレイをライブ録音したやつを聴いてますね。

ISSUGI:クラブで録音したやつをクラブじゃない場所とかで聴くの面白いかもしれないですね。

BUDAMUNK:曲だけじゃなくて周りの音とかも録音されてるから、家とか暗くして再生したら、なんかクラブに来ているみたいになって楽しいかもしれない(笑)。

shakke:ハハハ!「なんか人がいるみたいで楽しい!」みたいな(笑)。

BUDAMUNK:「金ないから疑似体験」とか(笑)。

shakke:DJセットでもライブでも、現場でのLive録音って結構やってるんですか?

BUDAMUNK:今回が初めてですね。で、Live録音するっていうのは聞いていたんですけど、当日録音するっていうの全然忘れてて。完全に自然体でDJやって、それが逆に良かったかもしれない的な感じになりましたね(笑)。

03

SEX山口:では、そろそろアルバムの話を。Sick Teamの流れなどもあると思うのですが、今回のISSUGI & BUDAMUNKという2人でのプロジェクトを始めたきっかけを教えてください。

ISSUGI:自分のアルバム『EARR』を作り終わったぐらいから「次はBUDAくんと1枚作りたい」って思って。終わってから「作りたい」って言って、始めた感じですね。

BUDAMUNK:『EARR』制作前からトラックを渡したりはしてて。まだその時はISSUGIくんも『EARR』の方向性すら決まってなかった時期だったよね。

ISSUGI:並行しつつ「BUDAくんとやるんだったらこういうトラックでやりたいなぁ」みたいな感じで選ばせてもらったり、『EARR』が終わって徐々にRecに入っていく、って感じでしたね。

shakke:ISSUGIさんにとって、BUDAさんのトラックは慣れ親しんだというか、やりやすいと思うんですけど、アルバムを2人でガッツリ一緒にやるということに意識したこととかありますか?

ISSUGI:そうですね。Sick Teamの時も全部BUDAくんのトラックだったので、やり方としては割とその時のノリと近いと言えば近いと思うんですよね。サクっといける時にドンドン作っていくっていう感じですね。

shakke:では、BUDAさんに質問なんですけど、Sick Teamのアルバム以降で成長した部分ってどういうところだと思いますか?

BUDAMUNK:感覚的なものだと思うので、なかなか言葉にするのは難しいんですよね…。けど、なんか良くなってるのは自分で分かるんで(笑)。

shakke:それは鳴り方とか組み方とか?

BUDAMUNK:基本、コンプレスを掛けないでサンプリングしたりとか、置くタイミングとか。あと、エフェクトは最近よく遊んでるill.sugiっていう若いプロデューサーに教えてもらったりとかしてますね。そうだなぁ、EQとか音のバランスをちゃんと考えるようなった、ってのはありますね。

shakke:MIXの質感だったりとか、感触だったりを参考にしている作品ってありますか?

BUDAMUNK:いや、特にあんまり気にしたことないですね。自分でどう思うか?っていうのを信じてます。

SEX山口:最終的にはそこですよね。やっぱり。

shakke:では、ISSUGIさんはSick Teamのアルバム以降で成長した部分ってどういうところだと思いますか?

ISSUGI:ラップに関しては超ゆっくりどんどん進化していくって思ってて、劇的な進化ってよりは、お互いゆっくり進化していってる感じですね。自分の2ndアルバム『TheJointLP』でBUDAくんとやった時よりも、今は乗せ方が変わっていたり。今回のアルバムでも最初に録った曲と最後に録った曲では微妙な進化具合とかもあったりしてますしね。うん、そんな感じですね。

shakke:どんなアルバムにしよう?と、計画している段階でラッパーとしての課題というか、設定とかってありますか?

ISSUGI:設定は特にしてないですね。「今回はこういうの」とかも自分はまったくなく。できあがった時に「こういうのができた」って感じでやってます。

SEX山口:機材面の変化ってありますか?

BUDAMUNK:基本、MPCです。エフェクトとかはSP-303か404に通してやってますね。さっきも話に出ましたけど、ill.sugiに教えてもらったりしながら。

shakke:製作中は2人でディスカッションしながら進行していく感じですか?

ISSUGI:ほとんどBUDAくん宅で制作していったんですけど、ディスカッションと呼べるようなことは特にしてないですね。BUDAくんから「このビート入れた方がいいよ」ってアドバイスもらってそれを入れたりとかはあるので、自然にディスカッションみたいなことはしているのかもしれないですけどね。

SEX山口:お互いが作ったものに対して意見することは?

BUDAMUNK:言い合うってことは特にないですね。もともと自分はLAにいて、今も向こうのMCと活動しているんですけど「日本語のラップを乗せるんだったら、こっちのトラックが合う」とかは考えてますね。

SEX山口&shakke:ああ~、なるほど~。

BUDAMUNK:言葉も違うし、そもそも人種が違う。日本人には日本人のラップの良さがある。それをより良く聴かせられるトラックがあると思いますね。

shakke:今までのBUDAさんの作品の中で「日本語のラップが乗りやすい1枚」って何だと思います?

BUDAMUNK:自分の中ではSick Teamですね。メロウでソウルフルな感じで勝負するよりも、ハードでザラついた感じが自分は好きですし、日本人に、というかISSUGIと5lackには合うと思いました。

shakke:最近はどれぐらいのスパンで曲作りしてますか? 前は1日1曲作ってたって聞きましたけど。

BUDAMUNK:最近はあんまり作ってないかも。MIX作ったり、レコーディングしたりとか、他にやることがいっぱいあるんですよね。昔はリリースする予定もないし、他にやることなかったから毎日10曲作ったりしてましたからね。

SEX山口&shakke:ぶわぁぁあ、毎日10曲って(笑)!

SEX山口:某先輩ラッパーの若き日も、起床後は洗顔も歯磨きせずにMPCの電源入れてたって言ってましたから、まぁ伝統芸みたいな感じですね(笑)。

BUDAMUNK:作り始めた頃は自分もそうでした。気付いたら外が暗くなってて(笑)。

SEX山口:「さぁ!夕飯食べて寝るまで叩くか!あと3曲!」みたいな。MPCで時間軸が狂った同世代、そう言えば結構いましたわ(笑)。枕元やベッドの上でMPC叩いてそのまま寝ちゃうっていう。MPCを抱き枕にしていたヤツはだいたいプロになりました。

shakke:大人になって、やることが精査されてきて、やらなきゃいけないことの優先順位が出てきたんでしょうね。

BUDAMUNK:そうですね。今はそれが仕事になってきた、ということですね。あの頃は、面白いから夢中でやってただけなんです。

04

shakke:ちょっと思ったんですけど、今回、Sick Teamじゃなかった理由とは? Sick Teamの2ndでも良かったのでは? と思ったんですよ。

BUDAMUNK:これはもうタイミングですね(笑)。できた順番どおり、という感じです。

ISSUGI:今回はBUDAくんのトラックをだいたい自分が選ばせてもらったんですけど、“自分が選ぶBUDAくんのトラックを聴かせたい”っていうのがあって。Sick Teamの時はBUDAくんがトラック持って来て5lackと3人で選ぶという感じだったんですね。やっぱりラッパーによって選ぶトラックって全然違うと思ってて。

SEX山口:ほほう。と言いますと?

ISSUGI:例えば、Guruが選ぶPremierのトラックと、違うヤツが選ぶPremierのトラックでは全然違うと思うんですよ。プロデューサーのトラックの聴かせ方も全然違うと思うし。そういうところも含め、聴かせたいっていう気持ちがありましたね。

BUDAMUNK:今までのプロジェクトって、自分が全部中心にまとめてきたっていうものがほとんどだったんですね。で、さっきもISSUGIくんが言いましたけど、今回はすべてISSUGIくんに任せている、っていうのが面白いですね。

SEX山口&shakke:ほえ~!

shakke:BUDAさんは何曲ぐらいISSUGIさんに聴かせたんですか?

BUDAMUNK:いや~、もう全然わかんないですね。かなりの数になります(笑)。

ISSUGI:BUDAくんに宅に行ってダーーーッと聴いて「これいいっすね、これいいっすね」ってピックしていって。家に帰って整理して。BUDAくんに「これ使いたいです」って伝えるっていう流れですね。

SEX山口:トラックはどんな手順で作ってるのか? 気になってる人だらけだと思うんですよ。

shakke:ざっくりと教えていただければと。

BUDAMUNK:音を足すのがすごい苦手なんですよね。けど、やっぱり物足りなくなってきたりして。足したいんすけど、一応完成しているので、どう足したらいいのか分からないというか。こういうところもちょっとずつ進化させていけたらいいな、って思ってます。

SEX山口:BUDAさんはだいたいの骨組みがあって、どんどん足していく作業なんですね。逆に、全部足して削いでいく感じだと思ってました。

BUDAMUNK:あー、よくそういうふうに思われますけど、全然そんなことないです。自分ができる限りのことを精一杯やってるだけす(笑)。

shakke:トラックを聴いているとやっぱりシンプルなので、一番最初のプロトタイプはもっとシンプルで、そこから足していくってことですもんね。

BUDAMUNK:そうですね、最初にサンプル部分をやって、ドラムを入れてって感じですね。足せる音があったら足すみたいな感じですね。

shakke:一番重要視しているパーツってありますか?

BUDAMUNK:まぁ全部ではあるんですけど、サンプルはだいたいチョップするんでその役をどう打つか?っていうのと、ドラムを先にやったら、合うサンプルをどう打つか、とか。その逆もあってサンプルを先にやったら、合うドラムをどこに打つか、とかですね。最後はベースラインでまとめる。って感じですね。

ーPart.2へつづくー

 

 

といった感じのISSUGI & BUDAMUNKロングインタビュー Part.1、いかがでしたでしょうか。こちらからの質問にひとつひとつ真摯な態度で丁寧な言葉をチョイスしやさしく応えるお2人。そんな姿を目のあたりにすると、こちらの背筋もシャキンと伸びる一方でございました。久しぶりに心地良い緊張感でお話を伺うことができました!

さてさて、次回はISSUGI & BUDAMUNKロングインタビュー Part.2! 今作に散りばめられた“スクラッチ・ワードプレイ”の話や“佐々木くん(KID FRESINO)”の話などが盛りだくさんであります。HipHop好きなら必ずFeelできる格言的パンチラインもバンバン飛び出すから、とにかくチェックよろセクお願い致します。ではでは!

 

 

issugi-budamunk
ISSUGI FROM MONJU 〈左〉

東京を中心に活動するMONJU/DOWN NORTH CAMP/SICK TEAM のメンバー。仙人掌、Mr.PUG と共にMONJUとして『CONCRETE GREEN』を始めとする数々のCD への参加で注目を集め、2006 年にファーストEP『103LAB.EP』、2008 年にはセカンドEP『Black de.ep』をリリース。2009 年にはソロとしてのファースト・アルバム『Thursday』をリリース。16FLIP と共に作られた音楽性はISSUGI のスタイルや空気を一枚で浮かび上がらせ、音源を通して各地に届くようになる。以降は東京内外からのライブ・オファーで遠征する中、2010 年にセカンド・アルバム『TheJointLP』をリリース。16FLIP に加えBUDAMUNKY(a.k.a. BUDAMUNK)、MASS-HOLE、PUNPEE、Malik、K-MOON をプロデュースに迎え、自身の内面をより深く投影した作品で着実に一回り大きくなった存在感を残した。2011 年にはBUDAMUNK、S.L.A.C.K. とのユニット、SICKTEAM としてのアルバムやDJ SCRATCH NICE とのミックステープ『WHERE OWN WONDER』をドロップ。数々のライブや作品で聞かせるフロウとリリックは独特なスタイルであり、MONJU やSICKTEAM、SCRATCH NICE とのコラボ名義を経て、さらに色濃く自身を表すようになっている。2013 年、サード・アルバム『EARR』をリリース。

 

BUDAMUNK(Soul Jugglerz / Jazzy Sport)〈右〉

Hip HopのプロデューサーBudaMunkyは96年にLos Angelesに渡米。後にDJやビート作りを始める。2004年にMCのJoe StylesとOYGとKeentokersとして活動を始める。Keentokersは仲のいいクルーLive Radioらと共にSoul JugglerzとしてもL.A.アンダーグラウンドのステージで多くの通をうならしてきた。BudaMunk個人としてもローカルのイベントでビートバトルでの優勝やDibiaseらローカルのプロデューサーとビートセッションに参加するなど、日本人でありながらLAのシーンで活躍してきた。2006年帰国後、JazzySportやDogearからの作品リリース、ビートバトルでの優勝、S.L.A.C.KやISSUGIのプロダクション、自信のソロの作品意外にもSick TeamやGreen Butterなど日本での活動の幅を広げてきた。最近ではDown North Campの仲間ISSUGI、仙人掌や、L.A.の盟友Joe Stylesとの作品以外にも、ill.sugi、 Elaquentなどプロデューサーとのコラボレーション作品も製作中。

SEX山口

SEX山口

1976年生まれ、神奈川県出身のメガネをかけた牡羊座。幼少時に観たM.J.のパフォーマンスに多大なる影響を受け、小2で“ムーンウォーク”を習得。と当時に、たけし軍団や志村けん、とんねるずといった“ハードかつタイトな東京のお笑い”への尊敬と憧れを現在までKeep Onし続ける。最近はやたらしゃべるディスクジョッキーとして日本各所でメイクサムノイズしつつ、音楽専門誌・web等で小粋な執筆もちょろちょろ。自身のトレンディーアパレルブランド「S.E.X.Y. by NAOKI YAMAGUCHI」のアイテムや危ないおMIX CDも随時デリバリーしております。あと、宇多田ヒカルが大好き。



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