[こと] 音楽ドキュメンタリーは劇場で観よう

青真鶴日記 by 鶴谷聡平 2012年12月27日

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僕は元々音楽も映画も好きなもので、いわゆる音楽ドキュメンタリーというジャンルに分類される作品を昔からいろいろ見て来たと思います。パッと思い出したのはヴィム・ヴェンダースによるキューバ音楽のドキュメンタリー『ブエナ☆ビスタ☆ソシアル☆クラブ』とか、写真家ブルース・ウェーバーがジャズ・トランぺッター、チェット・ベーカーの晩年を追った『レッツ・ゲット・ロスト』、マーティン・スコセッシが若き日のディランを描いた『ボブ・ディラン ノー・ディレクション・ホーム』などなど数え出したらきりが無いくらい。そして最近続けて2本の音楽ドキュメンタリーを劇場で観たのですが、どちらも観ていて熱くなる映画でした。そこで改めて思ったのは、音楽ドキュメンタリーこそ劇場で観るべきだということ。

よく言われることですが、映画館という非日常空間の大画面と大音量、そして暗闇の中で観るという行為によって、より純度の高い映画体験が得られるのは当然のことでしょう。劇場で映画を観ると、音がいかに重要な要素となっているのかも分かります。音楽ドキュメンタリーともなればなおさらですね。

『ボブ・マーリー/ルーツ・オブ・レジェンド』トレーラー

最近観たうちの1本が『ボブ・マーリー/ルーツ・オブ・レジェンド』。これはボブ・マーリー財団初のオフィシャル・ドキュメンタリーというだけあって、未公開ライヴ映像や、生前の彼を知る様々な人たちのインタビューがたっぷり盛り込まれた見応えのある作品でした。一番良かったのは、彼が活躍していた時代のジャマイカの国内事情とどのようにリンクしていたのかがリアルに分かったところ。当時まさにギャングの抗争のような二大政党の争いの中で、ボブ・マーリー自身も銃撃され、運良く生き延びて、その後それぞれの党首をステージ上で握手させた”One Love Peace Concert”のシーンは凄かった(もし自分があの時代にジャマイカで生きていたら、ボブ・マーリーを神だと思ったかもしれないぐらい)。一方で、当時何人もいたというガールフレンドたちの生々しい証言や、そんな彼の生き方や哲学、そしてアーティストとしての才能まですべてを含めて側で見守っていた妻であるリタ・マーレーのインタビューが、一人の人間としてのボブ・マーリーの姿を描き出しています。これも初めて知るような話ばかりで面白かったです。

『ビーツ、ライムズ・アンド・ライフ~ア・トライブ・コールド・クエストの旅~』トレーラー

もう1本は、『ビーツ、ライムズ・アンド・ライフ~ア・トライブ・コールド・クエストの旅~』。この映画が日本でも公開されて本当に良かった。90年代(特に前半)にヒップホップにどっぷりハマっていた自分にとっては絶対に避けて通れない一本です。それまでハードコア一辺倒だったヒップホップに革命をもたらしたア・トライブ・コールド・クエスト(以下ATCQ)のデビュー前後のエピソードや、’98年の解散に至る経緯、そして2008年の再結成ツアーの舞台裏など、本人たちや彼らから影響を受けたヒップホップ・アーティストへのインタビュー、そして関係者の証言が盛り沢山。まだ現役なのにここまで内情を見せてしまっていいのかと思う程に、これぞドキュメンタリーというべき内容でした。Qティップの天才っぷりがダイレクトに伝わるのは勿論、ファイフ・ドーグとのコンビネーションあってこそのATCQだったんだということを再確認。ファンとして大満足ではあるのですが、欲を言えば、いつもクールなアリ・シャヒード・ムハマドの果たしていた役割や彼の言葉をもっと知りたかったですね。

どちらの作品も近い将来DVDやBlu-rayが出るのでしょうが、もし機会があればぜひ劇場で観ることをおすすめします。その方が音にもハマれますよ。

『ボブ・マーリー/ルーツ・オブ・レジェンド』DVD/Blu-ray
12月21日発売

真っ青

クラブのみならず、ファッションショーやホテル、ショップ、カフェなど、およそ音楽と触れ合うことが出来る空間すべてに良質な選曲を提供してきた山崎真央(gm projects / AKICHI RECORDS)、鶴谷聡平(NEWPORT)、青野賢一(BEAMS RECORDS)の3人が結成したユニット「真っ青」。20年以上のDJキャリアに裏付けされたスキル、レコード・CDショップのバイヤー経験がもたらす豊潤な音楽的バックグラウンド、そしてアート、文学、映画などにも精通する卓越したセンスから生まれるそのサウンドは、過去、現在、未来に連なる様々な心情を呼び起こし、聴くものの目前に景色を描き出すものである。


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