[ひと] 流しのCD屋の東京流し

青真鶴日記 by 鶴谷聡平 2011年10月13日

9月も終わりに近づいた頃、岡山から「流しのCD屋」なる人物が東京にやって来ました。彼の話は、真っ青の山崎真央が1年ほど前に「青真鶴日記」(http://port.rittor-music.co.jp/column/amt/ma1.php)で紹介していますが、簡単に言うと、実店舗やオンラインショップを構えずに在庫を鞄に入れて持ち歩き、その場に居合わせた人にCDを対面販売するということを生業としているお方で、名前を岡本さん(moderado music)といいます。

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普段は岡山のカフェやバーを流しているCD屋さんが東京に来るというので、僕がやっている代々木八幡のNEWPORTでも一晩流してもらいたいとお願いしました。ついでにDJもやってもらったのですが、DJでかけていた曲は彼の販売するCDとは別で、販売用のものは鞄から取り出した段ボール箱にぎっしりと詰められていました。

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岡本さんは、CDの箱と試聴用の音源が入ったMP3プレーヤーを持って各テーブルへ赴きます。この日は事前に告知していたということもあり、流しのCD屋を目当てに来てくれたお客さんが結構いたので岡本さんも大忙しでした。

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まずはお客さんの好みを聞き出し、だったらこれとかどうですか?という感じで箱の中からおすすめの盤を取り出していきます。そしてお客さんは興味のあるタイトルをMP3プレイヤーで試聴します。

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おすすめする理由や、そのアーティストと出会った時の話なども交え、さらに試聴する時間も加えると各テーブルに要する時間はざっと小1時間。5つのテーブルを回り終えた頃には完全に予定オーバーで次の店へと旅出って行かれました。

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みなさんお気に入りのCDを見つけて購入されていましたが、僕が横で話を聞いていて印象に残ったアーティストは、Peter Broderick(ポートランドのマルチ楽器奏者)、Chano Dominguez(スペインのジャズ・ピアニスト)、Andre Mehmari(ブラジルのピアニスト)など。当然ながら試聴するすべてに岡本さんの解説付きで、一枚一枚に対する販売者の思い入れという意味では、他のどんな業態よりもその思いが伝わっているように見えました。

さらに言えば、これは単なる販売というよりは1つの体験でした。購入者は、商品を買う、音楽を買うということ以上に「いつ、どこで、誰から、何を買って、その背景にはこういう思いがあった」というストーリーを丸ごと持ち帰ることになります。そしてCDを聴く度にそのストーリーをプレイバックするのです。

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岡本方和

moderado music 代表。アルゼンチン音楽からドローンまで、至極コアな音楽を「シアワセの赤い鞄」に詰め込んで、夜毎、岡山の音楽好きが集まるカフェやバーで、音楽を売り 歩く、通称「流しのCD屋」。SONY謹製WALKMAN&ヘッドフォンという移動式試聴システム一台完備で個別対応しております。
Carlos Aguirre、André Mehmari、Agustin Pereyra Lucena、Beto Caletti等南米の音楽家から、中島ノブユキ、CHORO CLUB、OKI DUB AINU BAND、サカキ・マンゴー、藤本一馬等日本の音楽家の岡山公演を企画・協力。

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真っ青

クラブのみならず、ファッションショーやホテル、ショップ、カフェなど、およそ音楽と触れ合うことが出来る空間すべてに良質な選曲を提供してきた山崎真央(gm projects / AKICHI RECORDS)、鶴谷聡平(NEWPORT)、青野賢一(BEAMS RECORDS)の3人が結成したユニット「真っ青」。20年以上のDJキャリアに裏付けされたスキル、レコード・CDショップのバイヤー経験がもたらす豊潤な音楽的バックグラウンド、そしてアート、文学、映画などにも精通する卓越したセンスから生まれるそのサウンドは、過去、現在、未来に連なる様々な心情を呼び起こし、聴くものの目前に景色を描き出すものである。


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