“ハイブリッド・サイド・スネア”に挑戦!/MI Japan ドラム・クリニック

MI JAPANドラム・クリニック by 佐々木和徳 2012年10月18日

LAハリウッドに本校を構える世界最大級のミュージック・スクール、Musicians Institute(MI)と直結した独自のカリキュラムで充実した授業を行い、数多くのミュージシャンを排出しているMIJAPAN。経験と実力を兼ね備えた講師陣のレッスンが魅力の本校レギュラー講師が、その授業の一部を誌上クリニックとして公開するこのコーナー。今月はMI JAPAN札幌校講師の佐々木和徳氏が、サイド・スネアを使った独自のテクニック”ハイブリッド・サイド・スネア”をレクチャーする。日頃、MI JAPANでどのような授業が行われているかを体験しつつ、とりかかってみよう。

はじめに

全国のドラマーのみなさん、こんにちは。MI JAPAN札幌校PIT科講師の佐々木和徳です。今回は、前回私が担当した2011年9月号の『サイド・スネアを使ったリズム・アプローチ!』から1歩踏み込んだ”ハイブリッド・サイド・スネア”というテーマのもと、レクチャーしていきたいと思います。

“ハイブリッド(Hybrid)”は、合成物や混成物の意味ですが、今回はサイド・スネアを使って、リズム・パターンとフィルインを混合したようなフレーズを”ハイブリッド・サイド・スネア”と命名しました。

通常、リズム・パターンとフィルインは区別してプレイするものですが、”ハイブリッド・サイド・スネア”が叩けるようになると、流れるような演奏になりグルーヴ感も強まります。スネア・ドラム1台でできるようなことを、あえて2台使って叩くことで、多彩なサウンドと音楽的なリズム・アプローチへのイマジネーションもかき立てられることでしょう。テクニカルなパターンや少し刺激的なプレイを求めている方は必見です!

[MI×ドラマガ]OPEN HOUSE/佐々木 和徳9月号(1)

[MI×ドラマガ]OPEN HOUSE/佐々木 和徳9月号(2)

LESSON1

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それではさっそく、サイド・スネアを用いて3や5のグルーピングを使ったパターンを練習してみましょう(Ex-1a〜Ex-1d)。譜面はすべて○で括っている部分の音符がサイド・スネアになります。

Ex-1aはバス・ドラムまたはフット・ハイハット→ハイハット→スネアの順に3つのグルーピングの中で、それぞれメイン・スネアとサイド・スネアに振り分けたパターンです。

Ex-1bはEx-1aのキック(バス・ドラムまたはフット・ハイハット)を変えたパターン、Ex-1cはシングル・パラディドルの手順で最後にバス・ドラムを加えて5つのグルーピングにし、アクセントを16分音符1つ目と2つ目につけて、それぞれスネアを振り分けたパターン、Ex-1dはEx-1cを16分音符に当てはめたパターンとそれぞれなっています。奇数割のリズムは規則正しく繰り返すことによって、段々とリズムが高揚してくるはずです。

大事なのは、”自分が今何小節目の何拍目を叩いているのか? ” ということを意識できるかです。あくまでも” リズムの延長線にあってグルーヴする! ” ということを忘れずに。

LESSON2

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次に、1つの基本パターンからスリップ・ビート(一定の間隔で刻まれるリズムをズラすこと)と、メトリック・モジュレーション(一定のテンポの中の拍を分割する単位を変化させること)を用いて特殊な効果を生むパターンに挑戦してみましょう。

まずEx-2aのファンク系基本パターンを見てみましょう。ゴースト・ノートも含めてサイド・スネアの入り方が複雑になり、それぞれの楽器間の移動とフット・ワークのバランスが難しいパターンとなります。

Ex-2b〜Ex-2dは基本パターンのEx-2aを16分音符1つずつズラしたパターンで、Ex-2aと交互にやるとスリップ・ビートのような滑る感じのビートになります。

Ex-2eはメトリック・モジュレーションのアイディアを使って、基本パターンを3連符に置き換えたものです。一聴するとEx-2bに聴こえて”あれ?”と錯覚するはずですが、3連系リズムでスパイスの効いたフィルが欲しいときなどに有効です。

それぞれのパターンはシンプルな8ビートや16ビート、シャッフルのリズムをつけて、フィルインを叩くような感覚でトライしてみるといいと思います。

LESSON3

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LESSON3では、6連符と32分音符のパターンにトライしてみましょう(Ex-3a〜Ex-3f)。

Ex-3aはジェフ・ポーカロがTOTOで叩いた歴史的名曲、「ロザーナ」風のパターンです。Ex-3bはそのバス・ドラムのパターンを生かしてダブル・パラディドルを用いてメイン・スネアとサイド・スネアを混合したパターンです。Ex-3cは6ストローク・ロールとダブル・パラディドルの手順で右手はハイハットとメイン・スネア、左手はサイド・スネアを叩きます。

6連符はバウンス系のリズム・パターンにも応用が利くので、これらを参考にアイディアを膨らませてください。

続くEx-3dは5ストローク・ロールを用いてハイハットと両スネアを叩くパターン、Ex-3eは1拍目と4拍目にパラディドル系の手順を用いてスピード感を出すパターンとなります。Ex-3fは5ストローク・ロールとパラディドル系の手順を用いたパターンで、32分音符はキレが命なので、ハイハットとスネアのタッチ・コントロールを意識して練習してください。

6連符や32分音符はどうしても速く叩くイメージがありますが、最初はゆっくりなテンポで練習を始めることが大事です。また、音符が詰まっているので、それぞれゴースト・ノートとアクセントのダイナミクスに気をつけて叩くことも心がけてください。

LESSON4

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最後に、リズムのオスティナート(一定のパターンを繰り返し演奏すること)を用いて、サイド・スネアをフィルイン的に叩くパターンを叩いてみましょう。

まず、右手でハイハットとメイン・スネアを叩き(Ex-4a)、オスティナートをしながら、8分音符を基調としたEx-4bとEx-4cのパターンに挑戦してみましょう。次の8&16分音符を混ぜたEx-4dとEx-4eですが、今回の”ハイブリッド・サイド・スネア”というテーマにあるように、サイド・スネアを使ってリズム・パターンとフィルインを混合したものとなっています。

しっかりと音をイメージしてから取り組むと、意外にすんなりできるので、焦らずにじっくり練習してみてください。

最後に

さて、みなさんいかがだったでしょうか? 今回は”ハイブリッド・サイド・スネア”というテーマでしたが、リズムからフィルインをスムーズに叩くというのは、いつの時代もドラマーにとって大きな課題だと思います。

誌面でご紹介したような、”リズムの延長線上でフィルインを構築する”というアイディアは、実際の演奏に反映させるには、それなりのセンスと確実性、経験が問われます。しかし、テクニックだけに走らず、あくまでも”楽曲至上主義”というのを肝に銘じて、練習に励んでいただければと思います。どんな楽曲でも、表情やダイナミクス、曲の”物語”に沿って最適な具合いに演奏できれば素晴らしいですよね。

最後になりましたが、この誌上クリニックを通じて少しでもみなさんのプレイの参考になっていれば幸いです。

インストラクターの氏名(よみがな)プロフィール

mi_dm_2012_09_instructor幼少の頃よりクラッシクピアノを始め、中学時代にドラムに転向。高校時代よりバンド活動を始めJazzやFusion等の音楽に傾倒。学生時代よりセッションやコンクールなどの仕事をするようになる。在学中にNew YorkのDrummer’s CollectiveでSemester Programを受講し、Kim Plainfield、Zach Danziger、Frank Katzらに師事。また、Drummer’s CampにてDavid Garibaldi、Steve Jordan、Terrylin Calintonらに師事。卒業後、Los AngelesにあるMI Hollywoodに単身留学し、Gary Chaffee、Horacio Hernandez、Russ Miller、Chuck Floresらに師事。帰国後、RSR(ライジング・サン・ロックフェスティバル)への参加をはじめ、多数のライヴ、レコーディング(アーティスト・CM・映画音楽)を精力的にこなす。また専門学校や楽器店での講師を務め、後進の指導にもあたり数多くの生徒を輩出している。

本記事について

本記事は『リズム&ドラム・マガジン2012年9月号』掲載のページを転載したものです。

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