“コンプレッション・テクニック”で磨くダブル・ストローク!/MI Japan ドラム・クリニック

MI JAPANドラム・クリニック by 山部三喜男 2011年5月10日

LAハリウッドに本校を構える世界最大級のミュージック・スクール、Musicians Institute(MI)と直結した独自のカリキュラムで充実した授業を行い、数多くのミュージシャンを排出しているMI JAPAN。経験と実力を兼ね備えた講師陣のレッスンが魅力の本校レギュラー講師が、その授業の一部を誌上クリニックとして公開するこのコーナー。今回はMI JAPAN福岡校で教鞭を執る山部三喜男講師がダブル・ストロークの応用をレクチャーする。日頃、MI JAPANでどのような授業が行われているかを体験しつつ、とりかかってみよう。

はじめに

みなさん、こんにちは! MI JAPAN 福岡校PIT講師、山部三喜男です。この企画にはこれで3度目の登場となりますが、今回もなかなかユニーク(マニアック?)かつ、役立つ内容になっていると思いますので、興味深く読んでいただけたらうれしいです。

今回取り上げるのは、ダブル・ストローク(2つ打ち)の使いこなし方です。ダブルのリズムやダイナミクスのコントロール・レベルを、ワンランク上に引き上げる練習にもなる、”コンプレッション・ディドル・テクニック(筆者の造語)”と、フレーズへの応用展開を紹介します。これは速いダブルと遅いダブルの連続がセットになった奏法です。スネア・ドラムの基礎テクニック集である”ルーディメンツ”、またはそれらを複数組み合わせて1 つの新しいパターンを作る”ハイブリッド・ルーディメンツ”などにはよく含まれています。一般的にはあまり体系化されていないテクニックだと思いますが、ハイブリッド・ルーディメンツの予備練習としても最適だと思います。ルーディメンツの専門書などで基礎知識を押さえておくと、より理解しやすいでしょう。

【MI×ドラマガ】OPEN HOUSE/山部三喜男#1

【MI×ドラマガ】OPEN HOUSE/山部三喜男#2

LESSON1

mi_dm_2011_04_score_1

まず、Ex-1aのフレーズをパッドなどの上で叩いてみてください。これは何の変哲もない、ただのダブル・ストローク(以下、ディドルと呼ぶことにします)の連続ですが、同じ手順でもリズムを変えて、Ex-1bの3連符系のフレーズにしてみます。こうすると、1拍の中におけるディドルのスピードに変化がつき、テクニック的に別物に変化したと思います。スピードの違いを的確にコントロールして、正確にこのリズムを演奏するのは、慣れないと結構難しいのではないでしょうか?

このフレーズに代表されるような、2種類のスピードの違うディドルを連続して演奏するやり方を、僕は”コンプレッション(圧縮)・ディドル”と呼んでいます。ちょうど、片手のディドルだけ圧縮させたような感じのフレーズだからです。速いテンポで演奏すると、ラフ、ドラッグ系のフレーズに聴こえると思います。では、ここで紹介したフレーズを便宜上、Dra-di-da(ドラディダ)と呼ぶことにします。

次のEx-1c〜Ex-1eは、ドラディダのリズムのバリエーションです。それぞれ順に3連符の中で1つずつ後ろにフレーズをずらした形になっています。慣れてきたら左手からも始められるように練習しましょう。ウォーミング・アップにもなかなかいいと思います。ぜひトライしてみてください。

LESSON2

mi_dm_2011_04_score_2

LESSON2では、先ほど紹介したドラディダのフレーズのさまざまな箇所にアクセントをつけて、ダイナミクスを変化させていきます。まずは、LESSON1で取り上げたEx-1cを例にとって練習してみましょう。

Ex-2a〜Ex-2dはアクセントのバリエーションを示したものです。Ex-2aは速いディドルにアクセント、Ex-2b〜Ex-2dは遅いディドルにアクセントをつけています。アクセントをつけて叩くと、より実戦的で音楽的な響きのフレーズになると思います。Ex-1cのリズムができるようになったら、同じように、Ex-1d、Ex-1eなど、他のリズムにも応用してみてください。

LESSON3

mi_dm_2011_04_score_3

続いては、ドラディダを16分音符のリズムで演奏し、6分音符を3個ずつにグルーピングした、いわゆる”ポリリズム的フレーズ”に応用してみます。こういうリズムの手法はよく使われますが、ドラディダはとてもよくフィットすると思います。Ex-3a、Ex-3bはその一例です。ドラム・セット上では、アクセントの部分をタムやシンバル、ノー・アクセントの部分をスネアやハイハットへ置き換えて叩いたりすれば、フィルインやドラム・ソロにとても重宝する手順です。

LESSON4

mi_dm_2011_04_score_4

そしてもう1つ、”パラディドルの中にコンプレッション・ディドルを入れる”というテクニックを紹介します。Ex-4aは”ドラガディドル”、Ex-4bは”パドラディドル”という名前で、どちらの手順も慣れるまではリズムが非常によれやすいので注意が必要です。Ex-4cのように、普通のパラディドルと交互に叩いたりしても、スムーズにつなげられるようにしましょう。

LESSON5

mi_dm_2011_04_score_5

さて、ここまで頑張って読み進めた人達に、さらに! もうワン・ステップ上のとっておきのコンプレッション系テクニックを紹介します。それは、ディドルの2打目のショットをコンプレッションしてさらに速いディドルにするという、かなり難易度が高いテクニックです。ちなみに僕はこれを、”ディドラッグ”と呼んでいます。

Ex-5aは、ディドラッグの基本の練習で、アタマにアクセントをつけたディドル(1小節目)を、ディドラッグ(2小節目)にします。実はこれは、”オルタネート・シングル・ラフ(Ex-5b)”を非常に速く演奏したときと、ほぼ同様のテクニックになります。Ex-5c〜Ex-5fは、ディドラッグを使った手順の一例です。Ex-5d、Ex-5eは、どちらも同じ手順ですが、タイミングが違うので、これも難しいですね。Ex-5fは、”Lesson25″という、ラフ系ルーディメンツの交互型と同じ手順です。

次はパラディドルのスピード・アップにディドラッグを応用する練習です。これまでの”ドラディダ”や”ディドラッグ”などは、どれもルーディメンツのハイ・レベル化に役立つテクニックですが、一般的によく知られたルーディメンツである、”パラディドル”のスピード・アップに、ディドラッグのテクニックを応用できます。

通常、パラディドルと言えば、実用的にはだいたいBPM=180の16分音符ぐらいで限界スピードの人が多いようですが、パラディドルの1音目と3、4音目、つまり”パ”と”ディドル”の部分をディドラッグの感覚で叩いて、2音目はその間にうまく挟まるように入れれば、何と! BPM=220という、速いスピードで叩けるようになります(Ex-5g)。同じように、”パラディドル・ディドル”を速く演奏する場合にも応用できます(Ex-5h)。

最後に

みなさん、いかがでしたか? 今回は、ジャズ、フュージョン・ドラミングなど、テクニカルな演奏に興味がある人には、特に役立つテーマだったかもしれません。しかし、ダブル・ストローク自体を見直して、しっかりコントロールする力をつけることは、どんなジャンルのドラマーにも有効なので、一度トライしてみてください。思わぬ欠点が見つかるかもしれません。最終的には、より音楽的で歌うドラミングに昇華できることを目指して頑張りましょう。

山部三喜男 プロフィール

pit-yamabe’71生まれ。15歳のときにドラムを始める。10代のうちにロックやポップス、フュージョン等の様々なジャンルのバンドを経験した後、20代に入ってか らはホストクラブでのハコバンドで演奏。環境と音楽性に疑問を感じ、ハコを辞めた後は会社務めをしながら音楽活動を続ける。25歳の時に再び始めたハコバンドがきっかけで様々な有名ミュージシャンとセッションする機会を得る。’98からはMIジャパン福岡校、PIT講師になり現在に至る。福岡内外でライブ活動、レコーディング等を頻繁に行っている。

これまでにライブ等で共演したアーティストは、鈴木茂、中西圭三、有山じゅんじ、木村光輝、田口悌二、浅野孝巳(ゴダイゴ)、森本太郎(ザ・タイガース)、ワガン・ンジャイローズetc・・・

また、セミナーのサポート、セッション等では、櫻井哲夫、キャロル・ロジャーズ、スコットヘンダーソンetc・・・

最近では、中西圭三(vo)、奥本亮(key)、増崎孝司(gt)、村上望(bs)、緒方裕光(gt)他のメンバーでビルボードライブ福岡にて2日間公演を行い、成功を収めている。

■本記事について

本記事は、『リズム&ドラム・マガジン2011年4月号』掲載のページを転載したものです。

→『リズム&ドラム・マガジン2011年4月号』の詳細を見る

MI JAPAN OPEN HOUSE:3誌連動・動画クリニック

mijapan-footerlogo.jpg

MI Japanは、ハリウッドにある世界最大級の音楽学校MI(MUSICIANS INSTITUTE)の日本校として、全国6ヵ所に拠点を置くミュージシャン養成機関。

MI JAPAN各校の詳細はmusicschool-navi.jpで!

OPEN HOUSEロゴ

MI Japanのプログラムを1日に凝縮した体験レッスンのこと。レギュラー講師によるクリニックなどにも,レベルを問わず誰でも参加可能。参加には予約が必要。スケジュールなどは、http://www.mi-japan.com/event/open-house.htmlでチェック!

3誌連動動画クリニックに登場した講師陣のプロフィールはこちら

TUNECORE JAPAN