リニア・スプリット・ドラミングによるエクササイズ/MI Japan ドラム・クリニック

MI JAPANドラム・クリニック by 佐々木和徳 2010年4月15日

LAハリウッドに本校を構える世界最大級のミュージック・スクール、Musicians Institute(MI)と直結した独自のカリキュラムで、充実した授業を行い、数多くのミュージシャンを輩出しているMI JAPAN。経験と実力を併せ持つ講師陣によるレッスンが魅力の本校レギュラー講師がその授業の一部を誌上クリニックとして公開するこのコーナー。今月はMI JAPAN札幌校、佐々木和徳講師が、”リニア・スプリット・ドラミング”をテーマにクリニックを行う。日頃MI JAPANでどのような授業が行われているのかを体験しながら、さっそくとりかかってみよう!

はじめに

全国のドラマーのみなさんこんにちは。MI JAPAN 札幌校 PIT科講師の佐々木和徳です。

Linear Drumming(リニア・ドラミング)については知っている方も多いと思いますが、今回はそこからもう一歩進めた、”Linear Split Drumming”(リニア・スプリット・ドラミング)についてレクチャーしたいと思います。

“Linear” とは”Line(線)” という単語の派生語で、直訳すると” 直線状の” という意味ですが、ドラムにおいては両手両足の各楽器が同時に発音しない(音が重ならない)ビートやフレーズのことを言います。そして”Split” とは直訳すると”分割する、分配する” などの意味です。よって”Linear Split Drumming” とは簡単に説明すると、” 各楽器が同時に発音しないリズムを分割するドラミング” のことです。

このエクササイズを用いることで、リズム感を養うトレーニング、さらにはオリジナル楽曲のリズムを構築する上でのアイディアやバリエーションにもおおいにつながると思います。

今回はこのエクササイズを提示しつつ、まずはモチーフに基づきさまざまなアイディアをレクチャーしていきたいと思います。

▼対応動画【MI×ドラマガ】OPEN HOUSE/佐々木和徳#1

 

▼対応動画【MI×ドラマガ】OPEN HOUSE/佐々木和徳#2

Lesson1:基本のパターンを叩く

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はじめにEx-1(対応動画#1 – 1:08から)の、今回のテーマのモチーフになるバス・ドラムとスネアだけの2小節のパタ−ンを見てください。

リニアには通常の8ビートや16ビートと違って、” 一定に刻むもの” が存在しないことが多いので非常にリズムが取りにくいですが、まずはこのバス・ドラムとスネアのリズムをメトロノームに合わせてゆっくりしたテンポから練習してみましょう。

重要なのは、スネアを叩く手順は全部を左手で叩くのではなくオルタネート・スティッキング(交互の手順)の手順に沿って叩くということです。16分音符の場合はRLRL〜を基本にすると、Ex-1のスネアのポジションはEx-2(対応動画#1 – 1:53から)にあるように順番にRRLL/LLRLとなります(Ex-2のうち手順をマルで囲んだ部分)。

手順を指定されると、意識が細分化されてリズムも取りにくくなりますが、メトロノームを4分音符だけでなく8分音符や8分音符のウラなどでも鳴らして、それぞれのタイミングをタイトにすることもリズム・トレーニングの1つだと思ってやってみてください。

Lesson2:ハイハットを叩く

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次にEx-3(対応動画#1 – 2:36から)のように、Ex-1の音符が何も入っていないポジションにハイハットを埋めていきます。そうすると8ビートなど通常よく叩くようなビートにはない、ハイハット・パターンが入ってきます。あくまでもバス・ドラムとスネアが基本なので、かなりランダムなリズムでハイハットが入ってきますが、オルタネート・スティッキングを基調にすると思えばクリアできるはずです。

もしここでつまずいてしまった方は、Ex-4(対応動画#1 – 3:12から)のパターンをバス・ドラムとスネアで練習してみてください。やっていることは基本的に同じなので、力まずにリラックスして取り組んでみることをおすすめします。またリニア・フレーズはどうしても小節内に音符が” 埋まる” ことが多く、せかせかした感じになりやすいので、1つ1つの音とタイミングに注意して均等に16分音符を叩くように心掛けてください。

それでも……という方は一度に全部叩ききろうと思わないで、まずは1拍目だけ、そしてつなげて2拍目まで、それから3拍目まで〜全部というように、少しずつビルドアップしてください。そうするとそれぞれの小節のつなぎ目も身体が覚えてくれると思いますので試してみてください。

Lesson3:スプリットして叩く1

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次にEx-3をモチーフにしたEx-567(対応動画#1 – 3:54から)を見てください。ここからはいよいよ今回のテーマであるLinear Split Drummingのレクチャーになります。

まずはEx-3ができているということが条件になってきますが、それぞれスタートする拍を1拍ずつスプリットしてリズムを構築しています。Ex-5は(Ex-3の)2拍目から、Ex-6は3拍目から、Ex-7は4拍目からスタートしています。基本は同じリズムを叩いているのですが、スタートする拍を変えるだけでまったく別のリズムに聴こえるはずです。

またEx-8(対応動画#2 – 0:29から)は、Ex-3の2小節目の4拍目からリバースしたパターンになっていて、基本のパターンからどんどん独立していき、手足のコンビネーションも完全に違うものになっていきます。できる方は、もちろんウラ拍からや、それをリバースしたパターンなどでもやってみてください。また、リニア・パターンを叩く前にシンプルなビートを1〜2小節叩いてからリニアに突入すると、チェンジアップやリズム・トレーニングにもなります。

この項は拍ごとにスプリットさせるアイディアを紹介しましたが、これら16分音符を1つずつスプリットさせるエクササイズはデヴィッド・ガリバルディのDVDに収録された”Permutation Study”が元になっています。

Lesson4:スプリットして叩く2

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拍をスプリットして叩くことができるようになったら、今度はEx-91011(対応動画#2 – 1:00から)のように基準になる拍を決めて、そこからそれぞれの拍へスプリットしていきます。

Ex-9はEx-3の1拍目をやったら次は2拍目そしてまた1拍目に戻り後に3拍目、これで1小節。

Ex-10、11もその続きという感じでさらに発展させた譜例にしてみましたが、このコンセプトで今度は2拍目以降を基準にして3拍目、4拍目〜、さらには2拍をかたまりにして叩いたり、もっと言えば1拍半や半拍のかたまりを基準にしてなどなど……こう考えると出来上がるパターンは天文学的数字になってきますが、できるだけ考え得るすべての可能性をやってみることをお勧めします。

実践ではもう少し多い単位(2小節や4小節など)でこのようなことを長く繰り返すことによって、だんだんとリズムが爆発してきて自然と盛り上がるということもあるので、”繰り返す”ということをテーマに練習してみるといいと思います。

Lesson5:タム・フロアにスプリットして叩く

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前項では拍をスプリットしましたが、今度はEx-12(対応動画#2 – 2:38から)Ex-13(対応動画#2 – 3:08から)のように叩く場所をタムやフロアにスプリットして叩いてみます。

Ex-12はEx-3のハイハットにあたる部分を1拍目はスネア、2拍目はタム、3拍目はスネア、4拍目はフロアというように、ドラム・セットを上から見たら叩く場所が、L字になるように叩き分けていきます。また、Ex-13はEx-12とは反対に今度はハイハットはそのまま叩いてスネアにあたる部分を1拍目はスネア、2拍目はタム、3拍目はスネア、4拍目はフロアというように叩きます。

叩く”的”が増えれば意識が分散して、リズムが”揺れ”やすくなるので注意が必要です。しかし、慣れの問題なので自分のできるテンポから始めていけば、流れがつかめるようになり、滑らかなリズムをとれるようになるはずですので、頑張ってやってみてください。リニアはこのようにタムやフロアに叩き分けることができれば、リズムのパターン作りとしての他にも、フィルインなどのフレーズ作りにもアイディアを広げていくことが可能です。

最後に

今回はモチーフになるリズムを決めてレクチャーしましたが、基本のリズム・パターンを作って、そこから今回ご紹介したようなアイディアを元に自分なりに発展させてみるのもいいと思います。

また今回は16分音符に的を絞りましたが、3連符や32分音符に置き換えてやってみることもお勧めします。そうすることによって6連符への応用や、16分音符を叩くときのタイト感が身につくと同時に、自分が出すリズムに対して説得力が持てることにもつながると思います。

今回ご紹介した”Linear Split Drumming”が、みなさんにとってただのテクニックの1つで終わらせることなく、グルーヴに昇華でき、素晴らしい音楽を作る上での参考になれば幸いです。

佐々木和徳 プロフィール

pit-sasaki幼少の頃よりクラッシクピアノを始め、中学時代にドラムに転向。学生時代よりセッションやコンクール などの仕事をするようになる。

在学中にNew YorkのDrummer’s Collectiveで Kim Plainfield、Zach Danziger、Frank Katzらに師事。また、Drummer’s CampにてDavid Garibaldi、Steve Jordan、Terrylin Calintonらに師事。

卒業後、Los AngelesにあるMI Hollywoodに単身留学し、Gary  Chaffee、Horacio Hernandez、Russ Miller、Chuck Floresらに師事。

帰国後、RSR (ライジング・サン・ロックフェスティバル) への参加をはじめ、自身のバンド JAMOOで活動する他、多数のライヴ、レコーディング(アーティスト・CM・映画音楽)を精力的にこなす。

共演アーティストは、beret、庄野真代、dorlis、坂詰美紗子、福原美穂、ひいらぎ、櫻井哲夫、勝田一樹、小林太、山本一、阿部薫、吉村龍太、野村裕幸、庵原良司、OKI、Cheep 広石、Vicky Vee….etc

 

■この記事について

本記事は、『リズム&ドラム・マガジン2010年4月号』掲載のページを転載したものです。

→『リズム&ドラム・マガジン2010年4月号』の詳細を見る

MI JAPAN OPEN HOUSE:3誌連動・動画クリニック

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