ドラムを真剣に歌ってみる/MI Japan ドラム・クリニック

MI JAPANドラム・クリニック by Tetsuo Nakajima 2010年2月2日

LAハリウッドに本校を構える世界最大級のミュージック・スクール、Musicians Institute (MI)と直結した独自のカリキュラムで、充実した授業を行い、数多くのミュージシャンを輩出しているMI JAPAN。経験と実力を兼ね備えた講師陣によるレッスンが魅力の本校レギュラー講師がその授業の一部を誌上クリニックとして公開するこのコーナー。今月はMI JAPAN福岡校、中嶋徹雄講師が、”ドラムを歌う”をテーマに誌上クリニックを行う。日頃MI JAPANでどのような授業が行われているのかを体験しながら、とりかかってみよう!

はじめに

ヴォーカル、ギター、ベース、その他もろもろの楽器はすべて” メロディ” を奏でています。そして何かの曲を想像したときに口ずさむのはだいたいヴォーカル・ラインなど印象的なメロディ・ラインで、ドラムなど打楽器を口ずさむことはあまりないのではないかと思います。

でもドラムという楽器を真剣に歌ってみたら、実はいろいろなことが見えてくるのです。その” いろいろなこと”はじめにとは何でしょうか?

今回は、私自身も日頃大事にしている” ドラムを歌う” ということを通して、ドラムを演奏するときに重要な、音符に対する意識について取り上げていこうと思います。

 

 

音のイメージを声で表してみる

ドラム・セットに座ってスネアを同じ叩き方でヒットすると、当たり前ですが、だいたいは同じような音が出ます。意識的に変えたりしなければ、同じ音しか出ないとも言えます。でもドラムを声に出して” 歌う” 場合、自分の出したい音、例えばスネアの音のイメージを声で再現して”カンッ”にもできるし” カ〜ン” にも” タン”、” ダァン”、” パーン”、” ベー”、” バァン” などなど、変幻自在に表すことができます。ここに挙げた7 個ほどの音を完全にスネアで再現するとなるとかなり時間がかかりますよね。チューニンングやヘッドを変えたりしないといけないでしょう。でも今回は自分の出したいニュアンスを” 歌って” 表すことがテーマです。ですので、イメージした音をそのまま一瞬にして声に表し、歌うことができます(笑)。そのイメージした音を大切にして、ドラムを歌うことがここでは重要になってきます。ですので、イメージをしっかり持って歌ってみてください。スネア以外でもまったく同じことが言えますよね。

舌の動きを感じながらビートを歌ってみる

ビートを歌うとき、各パーツ(ハイハット、スネア、バス・ドラム)の音の余韻がどのくらいの長さまで伸びていてほしいのかも自分の声の長さでコントロールできるはずです。例えばスネアは譜面上、4 分音符で” タンッ” としか鳴ってなくても、自分の歌い方は” タ〜ン” と伸ばし気味にしたり、逆に” タッ” とスタッカートして歌ってみたり。そのように歌っているとき、次に出てくる1音を発音する直前に舌が口の上に貼りつきませんか? まさにそれが” 間” を感じている瞬間です!!この舌の動きを感じながらビートを歌ってみると、さらに音符と” 間” を体感できると思います。

鳴ってない”間”にしっかり音符を宿せる

では実際に自分が日頃叩いている任意のビートを声に出して歌ってみてください。上記で述べたようにイメージした音を大切にして、バス・ドラムを”ドン”、スネアを”タッ”、ハイハットを”チッ”などと音を当てはめて歌ってみましょう。そうすると、日頃はなんとなく叩いていたビートも、オモテ拍もウラ拍もすべて口で表現しないと歌えないこと、さらに歌うことでしっかりそれを把握することができているかどうか、ということに気がつくと思います。実際のドラム・セットで叩くビートの音符と音符の間には一見何も鳴っていなくても、ビートを歌うことで、休符部分も含め、鳴っていないはずのその” 間” にしっかりと音符を宿せるのではないでしょうか。” ハシる”(テンポが速くなる)、” モタる”(テンポが遅くなる)、などということに頭を抱える瞬間がたびたびあると思うのですが、この現象も音符と音符の” 間” の長さがちぐはぐしているときに起っているはずです。叩いたときに鳴っている音だけでこの” 間”を判断していくのはとても困難だと思うのですが、そこに自分の歌っているビートのイメージを重ねてプレイしてみた場合、しかもちゃんと” 間”にあたる音符と音符の間や休符を自分の中で歌えていれば、あとはその歌っているビートのタイミングと、自分が叩こうとする(譜面上などの)ビートのタイミングを合わせていくだけになります。

歌っているビートのイメージを叩く/イメージをビートに乗り移す

ここまで述べてきたように、各パーツの音色、またそれぞれのパーツごとの音の長さ、音符と音符の” 間” や休符をイメージして自分の叩くビートを歌ってみてください。そしてその歌っているビートのイメージを実際にドラム・セットで叩くビートに乗り移らせていきましょう!! そのようにして叩いたビートがヴォーカル、ギター、ベース、その他もろもろの楽器とアンサンブルで混ざり合ったとき、どんな感じになるのかぜひぜひ体感してみてください!!

ビートの歌い方を探る

ドラムのビートを歌うとき、複雑になってくるともちろんハイハット、スネア、バス・ドラムのラインを1つの口で歌うのは困難です。ですので歌おうとするビートの重要だと思う部分を自分でチョイスしながら歌ってみましょう。

ここではドラムを歌うことを体験してもらうため、Ex-1〜4までの4パターンを用意しました。ここまで紹介してきたことをふまえて、これら4つのパターンを”歌って”みましょう。

mi_dm_2010_01_score1_1

 

Ex-1:まず(A)の歌い方を意識してハイハットのパターンだけを歌ってみましょう。”チ”で歌うのか 、”ツゥ”で歌うかだけでもタイトさが変わってくるはずです。いろいろ試してみてください。そのハイハットの歌い方を今度は頭でイメージしながらスネアとバス・ドラムのラインを優先させて(B)のような歌い方を試してみましょう。

Ex-2:今度は逆にハイハットとスネアのフレーズを優先させ、この2点にカブるバス・ドラムのラインは省いてビートを歌ってみましょう。このときも口では歌っていないバス・ドラムの音符と休符部分もイメージの中でしっかり鳴らしながら(C)のように歌ってみてください。ハイハットの音色はとびっきりタイトに”ツ”で歌ってみましょう!!

▼対応動画 【MI×ドラマガ】OPEN HOUSE/Tetsuo Nakajima #1

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Ex-3:次はハイハット・オープンの音とバス・ドラム、スネアの音を優先させて(D)のように歌ってみましょう。4小節目のシンコペーションのフレーズは自分の歌い方を”チィー・イ”と2段階に分けたような歌い方にすると、実際には”シャーン”としかシンバルの音が伸びてなくてもなくてもしっかりと”間”を把握できるはずです。

Ex-4:このビートではハイハットとバス・ドラムを”ツ”、”ド”と余韻の少ないタイトなイメージと、一方スネアだけ突き抜けるような”カ〜ン”という、1拍まるまる余韻が続くイメージで歌ってみましょう。でもこのスネアの余韻を歌いながらバス・ドラムのラインも歌うのは困難ですね(笑)。なのでこのスネアの余韻を頭でイメージしながらⒺのように歌ってみましょう!! また4拍目の付点のバス・ドラムの音符を次の小節のアタマのバス・ドラムの音符まであたかも鍵盤で鳴らしているかのように伸ばして歌ってみましょう!!

▼対応動画 【MI×ドラマガ】OPEN HOUSE/Tetsuo Nakajima #2

最後に

いかがでしたか? 結構楽しくなってきませんでしたか(笑)? 重ねて言いますが、とにかくアンサンブルの中で”ドラムを歌う”意識を発揮することがとても重要です。これに慣れたら、どんどん他の楽器の人達とセッションしてそのアンサンブルの中に自分の歌(ビート)を存在させてください!!!

 

中嶋徹雄 プロフィール

pit-nakajima高校卒業後、いろんな人といろんなジャンルをモットーに武者修行の道に入る。
自らのバンド velvet peach sevenで活動しながら現在も色々な型で武者修行中。

 

■本記事について

本記事は、『リズム&ドラム・マガジン2010年1月号』掲載のページを転載したものです。

→『リズム&ドラム・マガジン2010年1月号』の詳細を見る

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