普通の練習で飽き足らないドラマーに – 4ウェイ・オルタネート・トレーニング/MI Japan ドラム・クリニック

MI JAPANドラム・クリニック by 山部三喜男 2010年1月22日

LAハリウッドに本校を構える世界最大級のミュージック・スクール、Musicians Institute(MI)と直結した独自のカリキュラムで充実した授業を行い、数多くのミュージシャンを輩出しているMI JAPAN。今回から5回に渡り、経験と実力を兼ね備えた講師陣によるレッスンが魅力の本校レギュラー講師が、その授業の一部を公開する。第1回は、MI JAPAN福岡校で教鞭を執る山部三喜男講師による4ウェイのトレーニング方法がテーマ。4ウェイの強化訓練を行うと共に、日頃MIJAPANでどのようなレッスンが行われているのかを体験してみよう!

はじめに

みなさんはじめまして! MI ジャパン、PIT(Percussion Institute of Technology) 講師、山部三喜男です。

今回は中級者以上の方を対象として、普段、MI ジャパンで行っている”Elective(エレクティヴ)” という授業で扱っている内容から抜粋し、手足のコントロール能力を磨く”4 ウェイ・オルタネート・トレーニング” を取り上げます。かなり集中力を使う練習だと思いますが、やりすぎて夏バテしないように!

基本的にここで使用する手順/足順はEx-1(右手、左足、左手、右足の順)のみ! 1 つの題材を徹底的に掘り下げて練習することで、普段あまり意識することのなかった身体中のつながりや連動の感覚を発見できると思います。ぜひじっくりと取り組んでみてください。ちなみにこの練習時、足は、ツイン・ペダル、もしくはツーバスを使うのが最も良いですが、ない場合は左足をハイハット・スタンドのペダルに置いてもOK です。

mi_dm_2009_09_score1

Ex-1 の手順自体は、スムーズに動かすことは難しくても、ゆっくりとであれば、ドラム未経験者でも叩けなくはないと思います。実はこれ、スティーヴ・スミス、ヴィニー・カリウタ、デイヴ・ウェックルなどの有名テクニカル・ドラマー達がよく使用しているフレージングの基本形でもあります。彼らはこのフレーズをさまざまに発展させつつ、高速でプレイしています。このフレーズをヒール・ダウン奏法(かかとを下ろしたまま足首を軸にしてバス・ドラムを踏む奏法)と、ヒール・アップ奏法(かかとを上げた状態で、脚全体でフット・ペダルを踏み込む奏法)の両方で試してみることをお勧めします。

では実際のトレーニングに移っていきましょう。ここでは4 週間(約1 ヵ月弱)という期間をメドに練習メニューを組んでみました。人によって1 日の中で練習に割ける時間には違いがあるでしょうが、他の練習も行いつつ、このトレーニングを1 日1 回、30 分から1 時間程度やると仮定します。1 週間のうち6 日間は練習して、必ず1 日は休みの日を入れ、クール・ダウンします。この休みを入れることも重要なポイントですよ。

第1週目:とにかく動きに慣れる

第1週目はEx-1 の動きに慣れることから始めましょう。まずはスロー・テンポでやってみましょう。

■ 1 日目& 2 日目

Ex-1 のフレーズの手順を確認しながら、超スロー・テンポで始め、楽にできると感じられるテンポの最上限まで徐々に上げて、また徐々に時間をかけながら遅くしていき、スロー・テンポに戻すということを繰り返します。テンポが遅いとき、タイミングの安定とエネルギー温存のために叩いた直後のスティックはできるだけ低いポジションで待つようにします(ダウン・ストローク)。

■ 3 日目& 4 日目

今度はEx-1 のフレーズを叩くときの四肢の動きと感覚に注意します。左右のスティックや左右のビーターの振り上げ幅がそれぞれ異なってないかどうかチェックし、できるだけ揃えるようにします。次に左右の手足で力んでいるところがないかチェックし、できるだけリラックスしつつ、力加減を均一にしましょう。

■ 5 日目& 6 日目

しっかり耳を使って、できるだけタイミングのバラつきがないよう、両手と両足、それぞれの音量と音質のバランスが均一になるよう注意します。また誌面には限りがあるのでここでは紹介できませんが、例えばレギュラー・グリップで叩いたり、奏法などいろいろなバリエーションを試してみましょう。

第2週目:正確なリズムで演奏する

Ex-1 の動きに慣れてきたら、今度はテンポに合わせて正確に演奏することを心がけていきましょう。

■ 8 日目

メトロノームを使用し、Ex-1 をBPM♩=60くらいから120 くらいまで、4 分音符のクリック音に正確に合わせて練習します。ここでもっとも身体が” 固まり” やすいので、リラックスしながら練習することを忘れないように!!

■ 9 日目

引き続きBPM♩ = 120 から200 あたりまで、自分がちゃんとできると感じるテンポの上限を少し超えたテンポまで練習します。速いテンポで演奏したときに手と足がつられて同時に叩いてしまわないように気をつけましょう。

■ 10 日目& 11 日目

Ex-1が正確に叩けるようになったところでEx-2aを練習します。

mi_dm_2009_09_score2

手順自体は同じ.ですが、2小節ごとに、8 分音符、3 連符、16 分音符とリズムを変えています。リズムが移り変わるときに、クリックとズレたりタイミングがバラついたりしないように気をつけます。特に3 連へ移行するときは要注意です!!

■ 12 日目& 13 日目

Ex-2a からさらに6 連符と32 音符を加えて難易度を上げます(Ex-2b)。

第3週目:アクセントを加える

ここでダイナミクス(音の強弱)に変化をつけ、アクセントを入れてもこのフレーズを演奏できるように練習していきます。アクセントのバリエーションの種類 は下の表を参照してください。これは1拍の中での16分音符の音形のバリエーションすべてを整理した表です。全部で16マス、つまり16種類ありますが、 それぞれの音型は縦軸A、B、C、D、横軸1、2、3、4を交差させ、名前をつけます(例:=A2、=C3)。

mi_dm_2009_09_score3

各音型を叩くタイミングがわかりやすいように、各マスの上側に16分音符4個分のメモリをつけ、例えばA1のように”ドラマガ”という4文字を当てはめてみます。黒っぽくなっているところが叩くタイミングになります。

■15日目&16日目

表を理解したところでEx-3を見てください。

mi_dm_2009_09_score4

Ex-3aは32分音符のパターンです。両手はちょうど16分音符になっているので、表のA1、A2、A3、A4の音型をそれぞれ4拍(つまり1小節)づつ手でアクセントとして叩き、それ以外の手の部分はノー・アクセントとして叩きます(Ex-3b)。

■17日目&18日目

今度はB1〜B4をEx-3bと同じように1小節ずつアクセントとして入れてみましょう。これは2つの連続したアクセントの移動です(Ex-3C)。

■19日目&20日目

表の残りのバリエーションを試してみましょう。D3はすべてアクセント、D4はすべてノー・アクセントになります。

第4週目:ドラム・セットに応用する

ここからはドラム・セットに応用するなど第3週目で練習したことを総括する段階に入ります。ここまでチェックしてきたことをふまえて、焦らず取り組んでください。

■22日目&23日目

第3週目で練習したアクセントを、今度はドラム・セットのタム類に移動して練習してみます(Ex-4)。

mi_dm_2009_09_score5

いきなり全部はやらず、1日目はA1〜B4までを、2日目はC1〜D4までやるのが良いでしょう。

■24日目&25日目

これまでのまとめとして、第1週目から第4週目までのメニューをざっと通して叩き、自然にできているかを確かめてみましょう。いかにさりげなくできるかがカギだと思います。

■26日目&27日目

これからのさらなる応用、発展のために、もっと他のいろいろなやり方の要素を試してみましょう。例えば、①pp<ff>ppまでダイナミクスの大小を変えていく。②アクセントをフラムで演奏してみる。③手順全体をドラム・セット上で移動してみる、などいろいろ叩いてみましょう。

まとめ

いかがでしたか? 一般的な4ウェイ(四肢)の独立や組み合わせの練習とはひと味違うはずです。第3週目のアクセントを加えるあたりから、突如として難易度が上がると思います。実はこのエクササイズは、アクセントを入れるときによく起こりがちなリズムの崩れなどを矯正する練習にもなります。アクセントを入れるときに少しでも力みすぎてしまうと、とたんに手足のタイミングが同じになってしまうと思います。理にかなったドラミングの感覚を探るために、この練習を自分自身で工夫し、取り入れてみてください。この記事が読者のみなさんの練習の参考になればうれしいです。

▼対応動画 【MI×ドラマガ】OPEN HOUSE/Yamabe Mikio#1

▼対応動画 【MI×ドラマガ】OPEN HOUSE/Yamabe Mikio#2

山部三喜男 プロフィール

pit-yamabe’71生まれ。15歳のときにドラムを始める。10代のうちにロックやポップス、フュージョン等の様々なジャンルのバンドを経験した後、20代に入ってか らはホストクラブでのハコバンドで演奏。環境と音楽性に疑問を感じ、ハコを辞めた後は会社務めをしながら音楽活動を続ける。25歳の時に再び始めたハコバンドがきっかけで様々な有名ミュージシャンとセッションする機会を得る。’98からはMIジャパン福岡校、PIT講師になり現在に至る。福岡内外でライブ 活動、レコーディング等を頻繁に行っている。

これまでにライブ等で共演したアーティストは、鈴木茂、中西圭三、有山じゅんじ、木村光輝、田口悌二、浅野孝巳(ゴダイゴ)、森本太郎(ザ・タイガース)、ワガン・ンジャイローズetc・・・

また、セミナーのサポート、セッション等では、櫻井哲夫、キャロル・ロジャーズ、スコットヘンダーソンetc・・・

最近では、中西圭三(vo)、奥本亮(key)、増崎孝司(gt)、村上望(bs)、緒方裕光(gt)他のメンバーでビルボードライブ福岡にて2日間公演を行い、成功を収めている。

 

■本記事について

本記事は、『リズム&ドラム・マガジン2009年9月号』掲載のページを転載したものです。

→『リズム&ドラム・マガジン2009年9月号』の詳細を見る

MI JAPAN OPEN HOUSE:3誌連動・動画クリニック

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MI Japanは、ハリウッドにある世界最大級の音楽学校MI(MUSICIANS INSTITUTE)の日本校として、全国6ヵ所に拠点を置くミュージシャン養成機関。

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