TASCAM LR-10 featuring 長谷川浩二~”ドラムな生活”に使える小型レコーダー

特集 by 撮影:佐藤哲郎 2011年4月19日

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レコーディング機器のノウハウを駆使して、楽器の練習に便利なコンパクト・トレーナーに力を注ぎ、これまでさまざまなモデルを発表してきたタスカム。その新モデルとして、内蔵マイクを装備することで、アコースティック楽器にも対応したインストゥルメンタル・トレーナー/レコーダー、LR-10が登場した。そこで今回、ドラマーの長谷川浩二が本機をチェック。ドラマー視点から見たLR-10のお勧めポイントを紹介してもらった。

インストゥルメンタル・トレーナー/レコーダー
LR-10とは?

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▲tLR-10の特徴である内蔵マイクはフロント・パネルに配置。パネル左右にあるL/Rのマイクがそれで、間に内蔵モノラル・スピーカーが装備されている。

 

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▲左側のサイド・パネルには、PCと接続するためのUSB端子と別売りの専用リモートコントローラー(RC-3F)を接続するためのREMOTE端子を装備。なお、LINE OUTやヘッド・フォン用の端子は逆サイドのパネルに用意されている。

 

 

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LR-10の特徴として挙げられるのは、豊富な楽器トレーニング機能に加えて、本体にステレオ・マイクを内蔵している点と言えるだろう。

ドラムの練習に便利な機能としては、オーバーダビング、再生コントロール、ループ再生などが挙げられる。まずオーバーダビングはその名の通り、LR-10にあらかじめ用意したオーディオ・ファイルを再生しながら、その上に自分のプレイを重ねて録音できる機能。オーディオ・ファイルは、MP3(32kbps〜320kbps、44.1kHz)およびWAV形式(16/24bit、44.1kHz)に対応し、パソコンからLR-10にファイルを取り込むことができる。次に再生コントロールに含まれるのは、ピッチを変えずに録音したサウンドの再生スピードを加減速させる機能と、再生スピードはそのままにピッチを変える機能の2種類。さらにループ再生では、1曲の中で同じ箇所を繰り返し再生したり、1曲をリピート状態にすることができるほか、1曲あたり5箇所のループを設定して順番に再生することもできる。

また、肝心の録音機能についても、これまでレコーディング機器を数多く開発してきたタスカムだけに、かゆいところに手の届く内容。アナログ的な録音レベルの調整はもちろん、オートで入力レベルのコントロールをしてくれる機能や、多重録音する際に再生/録音の音量バランスを調整する機能など、必要十分な環境が整っている。さらにLINE IN端子が備わっているため、エレクトロニック・ドラムやキーボードなどを録音することもOK。LR-10は、本機で録音した自分のプレイやPCで取り込んだ楽曲と、前述のトレーニング機能を組み合わせることで、効果的にドラムの練習をサポートしてくれるのだ。

KOZY’s Impression

第一印象

このLR-10を受け取ってから、まずはライヴのリハのとき客席に置いて、演奏を録ってみたんです。箱を空けて、電源を入れて、録音ボタンを押すっていう、もう本当にそれだけだったんですけど、普通に録ることができました。もともと僕は、機械に弱いタイプなんですよ。でも、これに関しては、”電源はこれかな”と思って押したらONになったし、録音っぽいボタンを押せばそのまま録音できたし……使い始めで苦労しなくて、すごく助かりましたね。それで、録った音をリハの後に聴いてみたんですけど、音質がクリアなところにちょっとびっくりしました。スピーカーがついているから、みんなで聴くこともできたし。そのスピーカーも小さいわりに悪くない音質ですね。

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▲LR-10は、入力レベルのコントロール設定を”OFF(入力コントロールなし)”、”AUTO(オートゲインコントロールモード)”、”LMT(リミッターモード)”の3種類から選ぶことができる。写真は”OFF”の状態。

 

録音機能

次にスタジオでドラム・セットの音を録ってみました。状況としては、自分の左側に譜面台を立て、その上にLR-10を置き、マイクを自分の方に向けた感じです。こうするとハイハットのそばにLR-10がくるので、”ハットの音だけ大きくなっちゃうかも”と思っていたのですが、実際に録った音は不思議とバランスが良いですね。マイクから遠くにあるキックやタム、フロアの音までキレイに録れました。これなら練習したときの音を確認するのにバッチリだと思います。ちなみに今回、マイクのレベルコントロール機能の”AUTO”や”LMT”などすべてチェックしてみたのですが、僕の場合、”OFF”にして、入力レベルを1くらいにしたときが一番聴きやすかったです。

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▲LR-10では、USBを介すことで、PCからWAVファイルを入れることができる。写真のディスプレイに写っている”Kozy_For_Drums.wav”は、長谷川がテストのために用意してくれたマイナス・ワン・データ。

 

オーバーダビング機能

この機能は楽しいですね! 例えばバンドの場合、作った曲のデータがメールで送られてきたりするじゃないですか? そういうとき、ドラムをマイナス・ワンにしたデータを送ってもらって、LR-10に入れておけば、自分なりに考えたパターンを曲に重ねて録音することが手軽にできますね。そうやって録った音を後で聴いてみれば、どういうアプローチがいいのか自分で冷静に判断できると思います。フレーズを考えたりするには、すごく良いんじゃないでしょうか。その録音データをメールでメンバーに送って聴いてもらうこともできるし。それに、そういう試行錯誤を重ねていくと、いろんな発見があると思います。”このフレーズを混ぜると、こういうふうに聴こえるんだ!”とかね。そこからまた世界が広がっていったりするし。バンドでは、自分のドラミングを第三者的に聴くことがすごく大事なんですけど、それを簡単にできるっていうのは、うれしいですよね。

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▲ディスプレイの下側に出ている”SPEED:×0.5″が再生スピードをコントロールする機能の表示。LR-10では、1.5倍~0.5倍の範囲で、0.1倍単位で再生スピードを変えることができる。

 

再生コントロール機能

音程を変えずに再生のスピードを変えられるっていうのは夢のようですね。僕らが若かった頃に、こういうものはありませんでしたから。僕らの時代だと”サイモン・フィリップスのフィルがわからない!”とか、”ディーン・カストロノヴォのあのフレーズはどうやってるんだ?”とかあったわけですよ。そういうことはいつの時代でも絶対知りたいはずなんです。そういうときにピッチを変えずに再生スピードを遅くすることができれば、分析ができるし、ゆっくり叩いたときにどうなるかわかりますよね。自分で叩いた音もゆっくりにして聴けるから、もとの音と何が違うのか確認しつつ練習できるわけで。そうやっていくことで、ものすごく技量がアップしていくと思いますよ。

総評

一番素晴らしいのは、便利な機能がこのサイズで、1台に収まっているっていうところですね。メトロノームも入っているし、バランス良くドラムを録ってくれるし、それをWAVのデータに重ねて録音もできる。さらに再生スピードを落として聴くこともできる……今までだったら、マシンを何台も用意しなければいけなかったところが、この1台で済むというのがいいと思います。

 

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長谷川浩二

はせがわこうじ:小学4年生の頃よりドラムをスタートし、高校在学中にはドラマーの石川晶に師事。その後、THE ALFEEのサポート・ドラマーとしてプロ・デビューを果たし、以降、2005年まで、不動のメンバーとしてバンドを支え続ける。現在では、abingdon boys school、筋肉少女帯などでサポートを続ける一方、自身のバンド、Battle Cry、STEEL ANGEL、ExhiVisionでの活動やセッション・ライヴなどを精力的に展開中。
http://k.fc2.com/cgi-bin/hp.cgi/kozysuperh/

TASCAM LR-10

110324-tascam-dm-1.jpg価格:オープン・プライス(市場実勢価格:¥18,000前後)

LR-10の詳細を見る(TASCAM):
http://tascam.com/product/lr-10/

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SPECIFICATIONS

●記録メディア:SDカード(62MB〜2GB)、SDHCカード(4GB〜32GB)●録音ファイル・フォーマット:WAV●再生ファイル・フォーマット:WAV、MP3●入出力:LINE IN端子、ヘッド・フォン/LINE OUT端子、USB端子(コネクター:mini-Bタイプ/フォーマット:USB2.0 HIGH SPEED[480Mbps])、REMOTE端子(2.5mmステレオ・ミニ・ジャック/別売りフット・スイッチRC-3F専用)、内蔵マイク(無指向性/ステレオ)●寸法:158(W)×30(H)×70(D)mm●重量:170g(電池含まず)●電源:単3電池×2(アルカリ乾電池またはニッケル水素電池)、または別売りACアダプター(PS-P520)、またはUSBバスパワーからの供給●付属品:SDカード(2GB/本体に装着済み)、USBケーブル●接続するパソコンの条件:[WIndows]OS:Windows XP/Windows Vista/Windows 7、CPU:Pentium 300MHz以上、メモリー:128MB以上、USBポート:USB2.0推奨[Macintosh]OS:Mac OS X 10.2以上、CPU:Power PC/iMac G3、G4 266MHz以上、メモリー:64MB以上、USBポート:USB2.0推奨

お問い合わせ

タスカム・カスタマー・サポート:0120-152-854
http://tascam.jp/

 

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本記事の内容は、リズム&ドラム・マガジン誌面に掲載されたものを元に再編集しています。

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