カホンってなに? ストリート・ライヴでもよく見かける、持ち運んで叩ける四角い楽器!

コラム by 講師:田中倫明[Romantica]/撮影:八島崇 2013年9月2日

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最近よくストリート・ミュージシャンが演奏している「四角い箱」、みなさんも見覚えありませんか? 「カホン」という名のこの楽器は、打楽器の1種類です。そのシンプルな外見とは裏腹に、多彩な表現力を持つカホンについて、パーカッショニストの田中倫明さんに解説していただきました!

カホンの特徴、カホンでできること

まずは、カホンという楽器にどういう特徴があるのか確認していきましょう。すでに叩いている人でもこれを読んでもらうと、“こういう使い方もアリか”と思ってもらえるかもしれません。

音が小さい

カホンの特徴として言えるのは――あくまでも打楽器としては、ということですが――まず音量がそれほど出ないということです。これによって大きな音を出してはいけないような場所でも“手軽にドラムの代わりになる楽器”ということで便利に使う人が多いと思います。音自体も、すごくフラットなイメージで、良い意味で突出した色がありません。音が小さくて、色がない――でも、だからこそ音数いっぱいに叩いても、うるさく聴こえないんですよね。個人的には、細かく音をいっぱい入れて叩く人の方が、カホンらしさを引き出しているように感じます。

意外とアグレッシヴ

音が小さいと言ったばかりではありますが、意外とアグレッシヴな一面もあります。スペインのフラメンコ・ダンサーのホアキン・コルテスが『ジターノ』という映画に出演したとき、冒頭で少しカホン・ソロを叩いている場面があるんですけど、それはもうすごく熱いし、アグレッシヴなんです。

軽い

軽くて持ち運びしやすいというのも利点としてありますね。ストリートで使う人が多いというのも、そういう手軽さがあるからだと思います。僕の場合、現場で演奏するときにジェンベとカホンだけで演奏することもありますよ。この2台があると曲の中で、ヴォリューム感の必要なところではジェンベを使って、曲をまとめるように聴かせるときにはカホンに行って、ということができます。普段、電車移動するような人なら、普通にソフト・ケースに入れて肩にかけていったり、キャスターに縛りつけて持って行くのもいいですね。

カホンってこんな楽器

次はカホンという楽器の形や構造をチェックしていきましょう。“こんな楽器!”ということがわかると、つき合い方も変わってくると思います。

カホンの形

そもそも“Cajon(カホン)”というのは、“箱”という意味です。楽器店などで実際に手にとってみても、その多くが木でできた四角い巣箱のような形——丸い穴が1つ空いている木の箱ということがわかると思います。下写真は、僕が今回の企画の録音で使用したペルクというメーカーのカホンです。

※編註:掲載のカホンは現在は生産終了/本企画では基本的な奏法やさまざまなリズム・パターンを『パーカッション・マガジン2013』付録CD連動で紹介している。“今回の企画の録音”というのは、その付録CDに収録された音源の録音のこと。

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今回、倫明が持ってきてくれたカホン。スペインに工房のあったペルクというメーカーのもの(現在、生産終了)で、名手イスラエル“ピラーニャ”スアレスのモデル。

カホンの内側

さて、カホンを目の前にしてみたら、とりあえず打面を叩いてみましょう。“トンッ”という木の澄んだ音ではなく、“バシッ”とか“ダシッ”とかいう濁音が混ざったような、ちょっと歪んだような音がしませんか? これは打面の裏側にワイヤーなどの金属線が張られているからです。下の写真は僕のカホンの中を覗いてみたところです。写真の上側がちょうど打面の裏なのですが、ワイヤーを這わせているのがわかると思います。この線は“響き線”などと呼ばれますが、メーカーによって張り方、張る本数、線の種類は本当にさまざま。カホンは、この響き線と打面に使う板の種類によって大きく音が変わってきます。

写真③:倫明のカホンの中を除くと、打面の裏側(写真上側)にワイヤーが張られていることがわかる。これが響き線と呼ばれるもので、カホン特有の“バシッ”という音が出る理由。

倫明のカホンの中を除くと、打面の裏側(写真上側)にワイヤーが張られていることがわかる。これが響き線と呼ばれるもので、カホン特有の“バシッ”という音が出る理由。

他にも、各社いろいろな工夫をして、それぞれに特徴のあるモデルを作っています(下の写真参照)。

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写真④&⑤:メーカーが工夫を凝らしているポイントの一例。④は打面上側の端っこで、叩いたときの痛みを和らげるため、角が削られ、丸みがつけられていることがわかる。⑤は底面の様子で、箱が直接床に触れてダメージを受けることを防ぐためフェルトの足がつけられている。ここで挙げたような工夫は、標準的なモデルであれば、ほぼすべてのカホンに施されていると思っていい。

メーカーが工夫を凝らしているポイントの一例。上の写真は打面上側の端っこで、叩いたときの痛みを和らげるため、角が削られ、丸みがつけられていることがわかる。下の写真は底面の様子で、箱が直接床に触れてダメージを受けることを防ぐためフェルトの足がつけられている。ここで挙げたような工夫は、標準的なモデルであれば、ほぼすべてのカホンに施されていると思っていい。

続いては、『リズム&ドラム・マガジン』編集長が、カホンの魅力あふれる演奏が収められた動画&音源を紹介してくれた!

講師:田中倫明[Romantica]

たなかみちあき●1959年生まれ。19歳のとき、Bread & Butterのサポートでデビュー。松岡直也グループ在籍時には、モントルー・ジャズ・フェスティバルに出演。その後、単身NYに渡り修行を重ね、自身のバンド“コンフント・ミチアキーノ”では、キューバ・モザンビーケ25周年フェスティバルに国賓として招かれる。現在は、角松敏生、綾戸智恵らをはじめ、ラテン、ポップス、ジャズとジャンルを問わず活躍。ソロとしてもRomantica名義で4枚の作品を発表。

※本記事は『パーカッション・マガジン 2013』の内容の一部を再編集して掲載しています。『パーカッション・マガジン 2013』誌面では、カホンをはじめジェンベ、シェケレの入門大特集やさまざまなリズム・パターンを紹介しています。

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