現代版・障子シルエットの情感。パスピエ「とおりゃんせ」

きょうのMV by 土屋綾子 2014/02/05

「女性と障子」。仕切られていてはっきり見えない、けれどその向こうにあの人が居ることだけはわかってる。実に情緒を感じまくる組み合わせです。平安時代の随筆から近代の文学作品にいたるまで、さまざまな場面でエモい役割をしている、障子。現代でもその威力は衰えないのです。

Director:松本 剛(GROUNDRIDDIM)

大胡田なつき(ボーカル)、成田ハネダ(キーボード)、ミサワマサヒロ(ギター)、露崎義邦(ベース)、やおたくや(ドラム)の5人からなるパスピエは、大胡田なつきの猫っぽい声と成田ハネダのキーボード・サウンドが80~90年代のシンセ・ポップを彷彿とさせつつも、ギター、ベース、ドラムのタイトでグルーブあふれる演奏がそれらの要素を浮き足立ったものにさせません。「とおりゃんせ」はそんな彼らがパスピエ風ネオ・ジャパネスクと題してiTunes限定で発表した楽曲です。

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上の写真を見てもわかるとおり、普段からパスピエの5人は自らの顔を写真や映像などでばっちりとは出していません。時にはイラストだったり、時には何かで顔の大半を隠したり、ライブ映像は鼻から下を映したり、ピンボケしたり。あらゆる隠しのバリエーションが行われてまして、こちらのMVにいたってはシルエットのみ! 最初に大胡田なつきが実体で現れますが、これも鼻から下の画で、ろうそくの火を吹き消すまでの一瞬だけ。その後はひたすら薄明かりの障子紙越しに彼らを見つめることになります。

障子は音楽に合わせてネオンサインのように、格子の1コマごとにめまぐるしく色を変えていきます。その中をうごめく5人のシルエットが入れ替わっていき、顔、手足の輪郭、ひとつひとつの動作が際立って感じられるのです。
その中でも大胡田なつきの動きは情緒を感じざるを得ません。時折見せるバレエのような動作は一つの景色として愛でられますね。障子の偉大なる力が見事に作用しているというわけなのです。桃源郷

女性と障子の組み合わせ、という超絶ピンポイントでご紹介した今回、お楽しみいただけたでしょうか。この組み合わせは他にも結構あるように思うので、シリーズになりそうな予感がします……。

TUNECORE JAPAN