第2回:古今東西のスウィープ名人たち

超絶スーパーテク大全 by 熱血ギター仙人 2013/04/09

80年代半ば、大方のテクニカル系ギタリストは日夜ピロピロ……とライトハンドやタッピングの練習に明け暮れていたもの(私もそのひとり!)。そんな中、ひとつの大技が現われました。スウィープ・ピッキングです!! スウィープ・ピッキングとは弦をダウン、ダウン、ダウン、もしくはアップ、アップ、アップと、一定方向に同じピッキング動作を続ける奏法のことで、使用弦が2、3本くらいだとエコノミー・ピッキングなんて言われたりしますが、4~6本くらいにわたる大がかりなものだとスウィープ・ピッキングと呼ばれます。

スウィープ・ピッキング?

「sweep」とは英語で「掃く」の意味で、弦上をまさしくピックで掃いているように見えることから、このように名づけられました。このピッキング の利点は高速で弦移動できることです。たとえば5弦→4弦→3弦→2弦と順にピッキングするときに、ダウン、アップを交互にくり返すオルタネイト・ピッキ ングだと、5弦(ダウン)→4弦(アップ)→3弦(ダウン)→2弦(アップ)となり、ピッキング動作がむやみに大きくなってしまうばかりか、スピードも遅 く、なおかつ違う弦を弾いてしまう可能性も高くなります。しかし、スウィープ・ピッキングなら5弦→4弦→3弦と、順にピックが弦をヒットしていくので、 ミス・ピッキングは減り、ピッキング動作もスムーズになるというわけですね。

そんな便利なスウィープ・ピッキングですが、弱点もあります。というか、弱点だらけと言ってもいい!!!! まず、音のミュートが難しい。スウィー プによるフレーズは基本的に単音フレーズになるので、弾いた音を消しながらピッキングしていくことになるのですが、これがけっこう大変なのです。たとえば 人差指で1~3弦の5フレットをセーハし、3弦→2弦→1弦とスウィープ・ピッキングする場合、1、2弦をミュートしながら3弦のピッキングをし、2弦の ピッキングと同時に3弦をミュートします。続いて1弦のピッキングと同時に2弦をミュート。ピッキングに合わせて人差指を少しずつエビ反らせていくような 感覚ですね。

昔、よく見られたのが”なんちゃってスウィープ”。スウィープのようで、実はスウィープじゃないというヤツ(笑)。ミュートの甘い、ただのアルペジ オだったり、ミュート・ピッキングと実音が入り混じったグチャグチャの演奏だったり。スウィープ・ピッキングは下手すると”アイツ、まともにギター弾けな いんじゃないの?”と思われてしまう非常にリスクの高いテクニックなのです(^_^;)。リズムを取るのも難しくて、単純な16分音符のタカタ カ……というフレーズさえ、拍のアタマがダウンになったりアップになったりするため、リズムがヨレやすくなります。各音の長さもコントロールしづ らいし、ピッキングの力加減も難しい。意外と見た目は地味だし、瞬間芸だし、練習も大変だし、あまり手を出したくないテクニックのひとつ。かくいう私も挫 折組のひとりなんです(笑)。トホホ。

▲スウィープが全体的に細かく入っているが、速すぎてよくわからない……

まぁ、そんなスウィープ・ピッキングですが、見事に操っている人たちをご紹介しましょう! まずはスウィープの第一人者とも言えるイングヴェイ・マ ルムスティーン。ダイナミックかつ華麗なスウィープがイングヴェイの特徴で、持ち前の高速クラシカル・フレーズと相性がいいのか、スウィープを多用してい る印象があります。イングヴェイのギターはそうしたプレイがやりやすいように、フレット間の指板を掘り下げるスキャロップド加工が施されているわけです が、昔は彫刻刀で削る人もいました。しかし、自分でやると残念な結果になることが多いので、やめた方がいいでしょう~。実はワタクシ、以前、取材でイング ヴェイのギターを持たせてもらったことがあるんです。いざネックを握ってみると、指板を深く彫り込んである分、えらく弦高が高く感じられたのを覚えていま す。まるでシタールみたいというか、これではちょっとオーソドックスなプレイは弾けないな~と思いました。こちらの映像はイングヴェイが日本のクラシッ ク・オーケストラと共演したときのもの。まるでバイオリンのような流麗なフレージングが圧巻ですね!

▲スウィープという点では2:46あたりが注目ポイント

スティーヴ・ヴァイもスウィープ名人のひとりで、こちらはヴァイのテクニック、発想力、表現力、変態度、ユーモアがたっぷりと楽しめるライブ映像。 ヴァイの場合、スウィープ以外の技術もハンパじゃないんですが、この次元になると、どのようにミュートをしているのか皆目見当がつきません(笑)。ところ どころ細かくスウィープを入れているように見えますが、わかりやすいのは2分46秒あたりでしょうか。こうした高度なテクニックを一連のフレーズの流れの 中にさらりと織り込んでしまうところがヴァイの恐ろしいところです。

後編へつづく

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