第9回:変態的タコ足ドラマーたち

超絶スーパーテク大全 by タコ足で高速連打 2013/07/17

超絶スーパーテク大全、第9回目は「ドラマー」に着眼。バンドの根幹を支えるリズムそのものを生み出すドラマーですが、やっぱり気持ちの上では、「俺だって目立ちたいー!?」。そんな気持ちの表れかどうかは定かではありませんが、タイコやシンバル類がどんどん増えていくのは、ドラマーのお約束。そんなわけで今回は、バス・ドラムの個数に注目。

ドラム・セットの中で一番大きなサイズで、最低音を司るバス・ドラム。そう、足で演奏するヤツですね。多くの場合、右足はバス・ドラム、左足はハイハットを踏んでいるので必然的にバス・ドラムは1つなわけですが、そんな常識を打ち破ってしまった人々がいるのです。今回はドラム界の革命児たちのお話を。

 

2つあったらカッコいい!

時は1938年。少年は美術の宿題に取り組んでいました。そのテーマは「オリジナルのコンセプトやアイディアを持ったものを考えよう」。少年が描き出したのはなんとバス・ドラムを2台組み込んだドラム・セット……これがツーバス・セット、誕生の瞬間で、この少年こそが14歳のジャズ・ドラマー、ルイ・ベルソンだったのです。彼は17歳でコンテストに優勝、それをきっかけにプロとして活躍するようになりますが、43年にベニー・グッドマン楽団に加入。この頃に、かつて描いたツーバス・セットを現実のものとします。では、1955年、デューク・エリントン楽団での演奏を見てみましょう。ソロで豪快にツーバスを連打! 現代的なトリッキーなプレイではありませんが、連打によって迫力と華やかさが増すというツーバスがもたらす効果が見事に表現されているのではないでしょうか。彼は後に4本スティック(左右に2本ずつスティックを握る)でソロをプレイするなどもしており、根っからのショーマンだったのでしょう。

ルイ・ベルソンは09年に逝去。晩年も精力的に演奏活動をしていましたが、全盛期と呼べるのは50年代。ジンジャー・ベイカーやカーマイン・アピス、コージー・パウエルなど、その時代のドラマーに影響を受けた世代が、60年代にロックの世界でツーバスを広めていきます。

 

物足りねえ! 俺は3つだ!!

さて、ここからが本題(?)。80年代に入ると「ツーバス? 物足りねえ! 俺は3つだ!!」と宣戦布告した男が現れました。ラッシュのニール・パートであります。通常のツーバス・キットに加え、背後にエレクトリック・ドラムの1バス・キットを配置。自らの周囲を360度取り囲むような独創的なセットでプレイするようになりました。

 

ちなみに日本が誇る名ドラマー、村上“ポンタ”秀一も90年代中盤から3バス化。口径の違う3つのバス・ドラムを直線上にセット。左右のバス・ドラムにはツイン・ペダルをセットし、そのスレイヴ側を踏むことで鳴らしています。では2000年のPONTA BOX(with本田雅人)のライブ映像をご覧ください。

 

 

次から次へどんどん増えます!

超絶技巧集団、ドリーム・シアターのドラマー、マイク・ポートノイも負けてません。マイクは2000年頃から3バス化。彼の場合はツーバスのセットが2つ融合したような形で「ツイン・モンスター」と呼ばれています。イスを2つ置き、必要に応じて移動するところがミソ。ライヴ映像で構成されたオフィシャルのPVを紹介しておきます。曲はバラードですが、セットの派手さ加減は感じてもらえるのではないでしょうか。ライヴ映像も多く出回っているので、興味のある人はそちらもぜひ。

マイク・ポートノイは10年にドリーム・シアターを脱退しますが、その後任に選ばれたのがマイク・マンジーニ。彼はなんと4バスでプレイ! 後任に選ばれるのも納得というところです。左側から26”、22”、22”、18”の4台をセット。両端のバス・ドラムにはやはりツイン・ペダルをセットし、そのスレイヴ側で演奏しているようです。

 

4バスと言えばアレックス・ヴァン・ヘイレンを忘れてなりません。80年代、超深胴のバスドラを4つ並べたり、ニール・パート同様、背後にもツーバス・キットを配置したりと、とにかく派手なセッティングで魅了しました。

 

人知を超えた巨大セット登場

さて、3つ4つなんてしゃらくせ!と言わんばかりのセットを紹介して本稿を終わりにしましょう。もちろん、テリー・ボジオです。なんとバス・ドラムは8台。そしてペダルは19個。さらにタム、シンバル、パーカッションなどを無数に組み込んだ人知を超えたセットです。とにかく見てみてください!

 

そう言えば、昨年のドラム・マガジン・フェスティバル2012では、私の近くにいた女性(おそらくドラマーの彼氏に連れて来られた)は「あれ、絶対、一度も叩かないヤツあるよね」と言っておりました……(笑)。

叩くんですよ、全部! それが超人たるゆえんなのですから。

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