第6回:ひとりでできるもん

超絶スーパーテク大全 by やまもとげんたろう 2013/05/31

コンサートの見どころのひとつに、ソロ・タイムがあります。ハード・ロックなどではギタリストがその卓越したテクニックを披露し、会場を大きく賑わせてくれたりもしますが、そういった面でやや不利なのが、ベース。

もちろんスラップ・ソロなどは大盛り上がりなのですが、一工夫も二工夫もしないと、なかなか印象的な時間にはなりません。そんな時に便利なのが、ループ・マシンと言われる機材です。

ルーパーなどとも呼ばれるループ・マシンは、カラオケのエコーでおなじみのディレイを応用したもので、ある一定時間の演奏を録音し、それをくり返し再生。さらにその上に新しい演奏を重ねていくこともでき、「ひとり多重演奏」をリアルタイムで行える機械です。これを上手く使えば、ベース1本でもリズムやコード、メロディ、ハーモニーを生み出すことができ、より楽しく印象的なソロ・タイム、ソロ・パフォーマンスを表現できるわけです。

 

このループ・マシンを使ったソロで有名なベーシストと言えば、フレットレス・ベースの達人にして、没後も多くのベーシストに多大な影響を与え続けているジャコ・パストリアス。動画は1982年のモントリオール国際ジャズフェスティバル出演時のもので、ピッチを瞬時に変えた単音フレーズと、弦を叩いて出したアタック・ノイズでリズムを作り、その上に縦横無尽なメロディをかぶせています。機材に詳しくない人が観たら、まるで魔法のような印象を受けるかもしれません。

ジャコのパフォーマンスは、あくまでもバンドのコンサートの中の一部分でしたが、機材も進化し、より長く複数の演奏を録音/再生できるようになると、それを駆使したソロ・パフォーマーも登場します。そのひとりが、海外では“ベース・ニンジャ”の異名で呼ばれるベーシスト、今沢カゲロウです。

 

さらに若手からもひとり紹介。RIZEのベーシスト、KenKenのパフォーマンスは、ソロ・タイムの導入として、スラップの多重演奏でサイケデリックかつトランス的なリズムを作り出しています。観客の反応を見ればわかる通り、これは盛り上がること間違いなし!

 

最後は、ちょっとリラックスした楽しいパフォーマンスをひとつ。エバーハルト・ウェーバーはドイツのジャズ・ベーシストで、ソロ作品を多数発表する一方でパット・メセニーの作品などにも参加している人物です。この人の独特な点は、ウッド・ベースが主流なジャズ・フィールドで活動しているにも拘わらず、一貫してエレクトリック・アップライト・ベースを使い続けていること。その柔軟で独特のスタンスがこのパフォーマンスにも表われているのかもしれません。指弾きや弓弾き、弦を叩くなど様々な表現を組み合わせた、なんとも陽気なラテン・ミュージックです。

 

おまけ

ひとり多重演奏がハマる楽曲と言えば、異なるパートが同じフレーズをくり返す「カノン」形式の楽曲。と言えば、その代名詞である「パッヘルベルのカノン」です。動画はループ・マシンを駆使し、バイオリン1本で同曲を演奏したものですが、目から鱗の使い方ですね。おっ、この原稿も前回(第5回)の「カノン」にループしたようで。

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