タイとアメリカ、ライブで行ってわかる海外事情 – the band apart 川崎亘一、木暮栄一との話(1)

会って話してわかること by 環ROY 2014/03/28

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2013年10月、クチロロのベーシスト村田シゲの誘いで「□□□×環ROY×蓮沼執太×川崎亘一&木暮栄一(the band apart)」という編成のライブを富山で行いました。元々はクチロロに来ていた話だったものを、村田シゲが広げてくれてこのメンバーになったとのこと。「the band apart」の木暮さんとは以前イベントで一緒になったこともあり面識があったのですが、川崎さんとはこの時が初めて。何度かのリハーサルと本番を経てそれぞれと仲良くなることができました。

さらにこの続編として2014年2月、僕が主催するイベント「ラッキー vol.03」でもこの編成でライブを行いました。この2つの公演のちょうど真ん中で行われたものが今回の対談になっています。

インタビューで話すのは主に小暮。川崎はしゃべらない

ROY:いきなりですけどインタビューってだいたい作品出した時にしますよね? 今日は作品とか関係ないところでの対談なんで、普段でない話とかできたらいいなって思ってます。

川崎:俺、あんましゃべらないと思うよ。普段も俺以外がしゃべってる感じだし。

ROY:じゃあ今日レアですね。

川崎:たぶんしゃべらないよ。

ROY:しゃべってくださいよ(笑)。

川崎:無理だよ(笑)。

ROY:インタビューで、なんでギター始めたんですか? とかなんでドラムやろうと思ったんですか? とか、超ベタな質問されたことあります?

木暮:ある。

ROY:川崎さんは?

川崎:ある。昔ね。

ROY:なんて答えたんですか?

川崎:ギターが目立つからだよね。ボーカルをやりたかったんだけど、歌が下手すぎた。

木暮:へー、そうだったんだ。俺がドラムを始めたのは、簡単そうだったから(笑)。できそうっておもった。

ROY:俺もラップはそうでした。木暮さんと同じ理由。実際やってどうでした?

木暮:難しかった。最初のうちは「楽しい!」で行けるんだけど、そのうち技術的に難しいところも出てくるじゃん。ドラムをこんなにやると思わなかったよね。音楽自体もこんなにやると思ってなかったし。

ROY:川崎さんどうですか?

川崎:うーん、長く続いてるなとは思うよね。ほかにやることが、夢がなかったから(笑)。だからよかったなっていう。今はこれで食えてるけど、そうでないとしてもバイトとか仕事しながらでもやってるかなとは思う。

ROY:俺、バンアパのインタビューいくつか読んできたんですけど木暮さんが話してるやつばっかでした。それって木暮さんが制作の指揮取ってるってことじゃないですよね?

木暮:曲はみんな作れる。曲によって指揮するやつが違う感じかな。だからただしゃべるかしゃべらないかの違い。だからインタビューでしゃべるかどうかは関連しないね。川崎はなんか全然しゃべんないんだよね。うちのベース(原)は日本語を使ってしゃべってるんだけど、「自分の世界の単語」をどんどん出してくから、気の合う人は合うんだけど合わない人は合わないとかもあるし。

ROY:あー、それめっちゃわかるっすね(笑)。(iPhoneを取り出して)これ見てください「自分達のレーベルを作るっていうことは、“族”の旗を振り上げているってこと」って原さんの発言があるんですよ。

川崎:そんなこと言ってるの? すごいね。

ROY:どう思います?

川崎:「“族”の旗を振り上げる」って言葉、俺今初めて聞いたけど。レーベルってそういうことなの?

木暮:昔の話でしょ。

川崎:これ2005年の記事じゃん。そういう攻撃的な年代だったんだろうね。

ROY:でもいま木暮さんが言った「自分の世界の単語」っていうのがこのインタビューでめっちゃわかりますね(笑)。

木暮:一発でわかるね。

ROY:こういう感覚ハンパないすね。なんかメンバー同士で、この言葉、飛躍しすぎだからわかりやすくしとかない?とか特にないんですか?

木暮:メンバーが言ってることとか読まないよね。10しゃべったうち、載るのが6ぐらいじゃん取材って。で、6採用されてるうちのさらに見出しになってる言葉とか読んで、バッて投げちゃう(笑)。

ROY:直しとかは特になしで?

木暮:基本的にノーチェック。めんどくさいから。

ROY:かっけーっすね。男らしい。さっき木暮さんが10しゃべったら6って言ってたけど、俺の場合うまく収まるように考えてしゃべると難しい言葉になっちゃう。

木暮:ロイってインタビューだと難しい言葉を結構使うよね。

ROY:そういうのやめたいんですよね……めんどくさいヤツって感じなんで。

木暮:普段話してるとそういう印象ねえからさ。結構博識なんだなって思った(笑)。インタビュー読むとまた別人格が出てるというか。

ROY:博識じゃないです。馬鹿が知的に憧れてる感じですよ(笑)。

木暮:なるほどね(笑)。

川崎:こういうのが一番ラクでしょ。

ROY:ですね。

木暮:対話だね。

▲2014.02.18 環ROY presents 「ラッキー vol.3」 at 渋谷WWW 環ROY×□□□×蓮沼執太×木暮栄一&川崎亘一(the band apart) photo:Yoshiharu Ota

▲2014.02.18 環ROY presents 「ラッキー vol.3」 at 渋谷WWW 環ROY×□□□×蓮沼執太×木暮栄一&川崎亘一(the band apart) photo:Yoshiharu Ota

海外遠征で出くわした現地の事情

木暮:俺、『MUSICA』って雑誌でレビュー書くことがあるんだけど、こないだエミネムの作品について書いたんだよ。で、歌詞カードと対訳見たんだけど、すごいおもしろいよね。

ROY:でしょうね。英語の理解がネイティブだったらすっごい楽しめるんだろうなって思いますね。

木暮:すげー引用してるんだよね、昔のリリックを。で、対訳見るとそれも結構よくて。ああ、こういうことなんだっていう注釈も入ってて。

ROY:ラップってすごく言葉で遊んでる感じありますもんね。日本だとラップ好きな人口が少ないから読み込んでくれる人も少ないって思っちゃうなー。落語とか俳句とか古いものはそういうのが得意ですよね。

木暮:そうなんだ。

ROY:俳句って松尾芭蕉が出てくるまで、文字を操れる上流階級の遊びだったから、千年くらい言葉遊びしてたらしいですよ(笑)。引用とか相当入り組んじゃってると思いますよ。

川崎:スケールでかくなったな、いきなり(笑)。

ROY:「カワサキバイクでぶっ飛ばす、ギターで鳴らすフィードバック」みたいなのだったらすぐできますけど(笑)。

川崎:すげーベタじゃん(笑)。でもアメリカ人、川崎って名前すぐ覚えるよ。好きみたい。

木暮:マッチョなやつが乗ってるらしくてさ。カワサキのバイクに。

ROY:お前はカワサキとなんか関係あるのか? って感じになります?

木暮:「ガッデム!カワサキー!!」ってアメリカ人の友達がことあるごとに言ってたぞ。

ROY:バイクの一族だと思ってるんですかね?

川崎:アメリカから「ハーレー・ダビッドソン」っていう人が来たみたいなもんだよ。そういう感じでいじられてんだと思う。

ROY:なるほど(笑)。

川崎:そういえばロイ、タイいったんでしょ? すごいね。俺も行きたい、旅行では何度か行ったけど、そういう(フェスなどをやる)土壌じゃないと思ってた。

ROY:ビッグマウンテン・ミュージック・フェスティバルってやつですね。さっき言ってた鎮座DOPENESSとKAKATOで出ました。2日間で15万人ぐらい来たみたいですよ。

木暮:タイのフジロックみたいな感じだ。

川崎:ものすごいでかいじゃん。現地の人に呼ばれたの?

ROY:現地でがんばってる日本の人っすね。

川崎:いいねー。

ROY:(蓮沼)執太も一緒でした。タイってなぜか日本の渋谷系を源流とする音楽が流行ってるみたいで、なんか理由があると思うんですけど。たぶんそういうニュアンスで呼んでもらえたみたいっすね。

川崎:コーネリアスとか?

ROY:小山田さん去年出てるんですよ。Salyuと一緒に。

川崎:へー、俺らも行きたいな。

ROY:タイでフリッパーズ・ギターの「フレンズアゲイン」がめちゃくちゃ流行ったらしいのと、アニメの『一休さん』とか谷村新司の「昴」とかも有名みたいで。リサーチして曲作って、持って行ってって感じでした。

木暮:なるほどね。

ROY:それで思い出したんすけど、その制作の時、鎮座DOPENESS、俺より全然遅刻してましたよ。

木暮:ロイより遅刻するってやばいね。

川崎:もう集合時間を午前6時ぐらいにしとけばいいんじゃない?

ROY:絶対無視するんですよ。しまいには「ごめん、今日行けなくなったから家でがんばる」とか言ってくる。

川崎:がんばれよ(笑)。タイいいなー。

ROY:バンアパも海外けっこう行くじゃないですか。

木暮:日本に来た海外のバンドと対バンしたときに仲良くなって、「呼んでよ」って言うと呼んでくれんの。泊めてよって交渉してさ。

ROY:やりに行くよ! って感じすね。

川崎:そうそう。

木暮:でさ、極悪な場所で寝たりすんの。靴が埋まるぐらいフカフカのカーペットの上に犬がいてさ、どこにフンがあるかわからないような状態なわけ。で、そのままじゃ危険すぎるから上からビニールシート敷いて寝袋で寝るみたいな。そうなってくるともう酔っぱらうしかない。気絶するように寝て、朝「わー!」って起きる。

川崎:俺、これは無理だと思って、外で寝ようとしたらさ、外の気温がマイナスになってて、凍死寸前で起きるみたいな。気がついたらそこらへんに置いてあった40cm角くらいのスポンジを腹の上に載せてるだけの状態でさ。「おれ本当せっぱつまってたんだな」って思った。
風呂あがってタオルがなかった時とか、足ふきマットしかなくてさ、荒井とか超潔癖なのに「ウワアアアアー!」って言ってそれで拭いてたり。

ROY:(笑)。俺も潔癖だから想像するだけでキツイです。

川崎:まぁでも海外って、行くとおもしろいよね。ドライっつーか、文化が違うと生活習慣が全然違うからさ、「嘘でしょ!?」みたいな場面が多すぎて。

木暮:しゃべるときものすごい近いやつとかいたよな。俺の顔と3センチくらいの距離まで自分の顔持ってきて喋るとか。なんか変なもん食ってたんだと思うけど(笑)。

川崎:楽しい思い出だよね。

ROY:もっと海外の話してほしいです。

川崎:台湾は便所事情が悪かったな。拭いた紙を流しちゃいけないからトイレの端に積まれてるんだよ。

ROY:タイもそんな感じでした。

川崎:そういえば栄一が1回詰まらせたことあるよね(笑)。

木暮:長時間移動してきたらさ、6人くらい続けてトイレに入るじゃん。それで最後が俺で。流したら「ゴー」ってね……。それはアメリカの普通の家だね。

ROY:最悪だ。

川崎:で、家主のお父さんがきてさ、トイレ見て「フ○ーック!」とか言ってて。

ROY:業者を呼んだ?(笑)。

川崎:いや、あっちのやつらってまず自分で直そうとするんだよね。

木暮:俺たちは別の部屋で待ってたんだけど、遠くから「フ○ーック!」って聞こえてくんの。

川崎:また別のときだけど、アメリカのライブハウスで原がトイレ行ってさ、戻ってきて「ちょっと来て」って言うの。で、いったら便座も扉もなくてさ。「ちょっとだれか来るかもしれないから見てて」って言われて見張りしたこともあった。扉ないってなんだよって。

ROY:なんすかそれ(笑)。

木暮:多分中で悪いことしないように外すんじゃないかな。

ROY:そっかそっか。アメリカンすね。

木暮:犯罪防止なんだろうね。

川崎:まあ、そういう経験をバンドではしましたよっていう(笑)。

ROY:だいたいトイレの話でしたね。海外の(笑)。

川崎:いや大事だよ。日本最強だよ。

木暮:川崎ちゃんとしゃべってるじゃん(笑)。

―次回に続く

環ROY

環ROY

ラッパー。宮城県出身。主に音楽作品の制作とパフォーマンスを行う。これまでに最新作『ラッキー』を含む4枚のフルアルバムを発表。第17回文化庁メディア芸術祭推薦作品『ワンダフル』(MV)を発表。国内外の様々な大型音楽イベントへ出演。



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