マンガ結構いいんじゃないか?説 – U-zhaan、GOMAとの話(2)

会って話してわかること by 環ROY 2013/05/15

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前回に引き続き、新幹線の中。U-zhaanさんが眠ってから、GOMAさんと「脳の使い方、ものの理解のしかた」の話になりました。

環ROY(以下R) うーん、なんか基本は聞いたなぁ。

U-zhaan(以下U) いや、もっと聞いたほうがいいよ、後で凝縮したほうが。

R なんかおもしろい質問を俺にしてくださいよ(笑)

U なんてやつだ(笑)なんてインタビュアーだ。

R 一応インタビューする前はある程度勉強してかないとだね。まぁでも基本駄話だよ。楽器の話じゃなくてもいいんですよ。

(U-zhaanが眠り始める)

GOMA(以下G) なんだろうね、インターネットで育ってる人ってどうなんだろう。

R 俺今までそれでしたよ。ネットで見れりゃいいやって。

G 俺らのときとはもう世代が違うよね。学校でインターネットやってたってことやろ? そういうのなかったもん。

R 最近すごい思ったのが、年とってくるといろんな人と会うじゃないですか。すごいかしこい人とかに会ってみて、喋るとすごい教養深いなって、勉強されてるなって思う人に会うと、「勉強の仕方が違ってるな」って思う。

G 勉強の仕方が違うってどういうこと?

R インターネットでバババーっと散発的に見てて、いっぱいあるイメージを、遠くから見て「ああ、こういう感じだ」ってしてる勉強っていうよりは、1個だったら1個で組み上げてて、ちっちゃいのをいっぱい作って遠くから見てるっていうイメージ……伝わります?コレ。

G うーんなんか、漠然としてるけど。俺は……インターネットを見る人、そこで勉強する人って自分の目的があってそこを見ていると思うから、自分の必要なことしか見いひんやんか。逆に本とかで勉強するってなると、そこに付随すること、そこにたどりつくまでのことも読んでいかな、わからない。

R そう、俺、それが言いたいの(笑)そうそう。

G 言い方が複雑すぎてわからへん(笑)。

R そっか。それに付随する、一見いらないような横道があることによって、たどり着いたときにちゃんとつながる。

G 想像力っていうかさ、それがすごい働いてる気がする。インターネットは自分の疑問に対する答えを調べるのはすごいいいとは思うねんけど。時間も短縮できるし。だから両方、どっちが悪いとかじゃなくて、使い分けをね、理解するようになってくる。だからインターネットを見るときの脳の使い方と本を読むときの脳の使い方は違う、っていうのを今聞いてすごいわかった。

R 同じ文章だけど……

G その違いが、なんなのかようわからへん。事故の前は全部コンピューターでやってたやん、曲作りから、何から何まで。それが事故の後に全然でけへんようになってるから。いまだにコンピューターの画面見るときに、脳の疲労がはんぱない。
最初は(本を読むのも)文字が全部絵みたいに見えて両方ムリやってんけど。脳の中でも「見る」っていう脳の部分と、それを「理解する」部分は違うと思うんだけど、そこの回線が俺は切れちゃったから。事故の後はしばらく絵みたいに全部見えてた。

R 見ることが意味のほうに紐づいてってくれないってことですよね?

G そうそう。意味がわからへん。それが「紐づかへん」……なんかラッパーみたいになってきた(笑)すべての言葉がラップ調になってきた。

R 複雑?

G ちょっと複雑やなー。見るのと理解するのはな、関係あるねん。
本はある程度見れるようになってきたけど、コンピューターがいまだに見られへんっていうのはなんかやっぱり脳の使ってる部分が違うと思うね。

R なんか電子書籍が今流行ってるっていうか、電子書籍元年! みたいになってて、iPadみたいなのでいっぱい本を買えるっていう仕組みが多くでてきたのが、2011年とか12年とかのタイミングなんですよ。で、特に2012年はKindleが日本で本格的に展開しますよって年らしくて。どこかのネットの記事では、電子書籍で小説とか、本を読むとは言うけど、リアルの本を読むときと脳の使い方が違うとも言われているしなぁ、みたいなことが書いてあって、なるほどと思って。

G それは言われて納得する。

R 俺もすげー納得しましたよ。なんか自分がいまいちあほなのってこう落ち着いて本読んでねえからだなって思いましたもん。

G 読んでるやん。

R 落ち着いてですよ、落ち着いて本を読むかどうかってこと。ネットだと早くなってるじゃんと。

G まぁそれ、言うてもインターネットのええところだもんね。ほしい情報を最短で見れる。そのために、そういうものを構築していったから。

R いい点は、ほしい情報まで最短で行けるってことだけど、悪いところでもあるんでしょうね。

G なんでも簡潔にしていくと人間の本来持ってた能力の、今までやったら使ってたところがどんどん退化していくんやろうな。その分そこと違うところが逆にふくれていく。何百年後とかに人間自体の生態が変わってそうな気がする。今まで買い物に行って、足つこうてさ、体動かしてたのもそんな、なくなってくるやんか。

R 本読んだほうがいいなって思いました。だから。勉強するなら。

G 絶対うまいことやらなあかん……脳の刺激にも確実になるもんね。
あと俺、事故の後マンガが読まれへんようになった。マンガ読むのって意外と複雑なことやってて、絵と字と、

R あとコマの順番、進みの規則性を理解するとか。

G そうそうそう。みんな意外と自然と読めてるやんか。脳の神経が切れたらそれがでけへん。まぁそれも徐々にできるようになってきたけど。

R ちゃんと論文書いてる人とか、探したら居そうっすよね。それもネットで調べちゃうんすけど(笑)。

G 今はインターネットがなかったら無理だよ。

R 俺は、なるべくネットから情報を得るのは控えたいと思ってますね。

G お?

R 最短で行けるってそんないいことじゃねえなあって。気づいてくる。

G そこにいくまでの試行錯誤と得られる情報って、意外とでかかったりするしね。そのプロセスでしか得られへんような、会話を膨らませる要素であったりとか、特にラップやってたりとかすると、言いたいことがあってそれを一言で表現してしまったらすぐ終わるけど、プロセスでどこまで膨らませれるか。

R ホントそういうの大事にしないで来ちゃったなって最近超反省してますよ。

G 気づいたって事は次のステップに向かってるってことだね。

R そうすね。そうだといいっすね。

G そういうの気づくタイミングってあるよね。

R 大事っすよね。大人になる感じですね。

G 俺も事故にあってなかったら、そんなにいろいろ考えてなかったよ(笑)。

R マンガ読むのとかその後どうなりました?

G 今(事故後)3年目にしてようやく読みやすい感じになってきたよ。だいぶ脳がつながってきてる。

R そっかー。そういわれると、マンガが複雑っていうのは象徴的な話ですね。

G 見るのと読むのと理解する、その線がぐるぐる関係してる。

R マンガ結構いいんじゃないか説。

G 脳には俺、いいと思う。

R めっちゃ含蓄ありますね、今の。マンガはよくないって言われて育ったけど。

G 読む内容がな、あんまりにもひどいやつやったらよくないかも知れへんけど、内容がいいマンガいっぱいあるし。共感できるような、そういうマンガなら全然問題ないと思うし。脳の老化防止にもつながると思う。年取れば取るほどマンガ読まなくなる人多いけど、そういう人ほどマンガ読めばいいんちゃうかなと俺は思う。
自分の脳の回復過程を自分で見ててそれはすごい体感した。

R スゴイ。本も読みます?

G ぼちぼち読めるようになってきた。

R 映画とかは?

G 映像系も見るけど、いまだにほとんど覚えてない。そのときどきはおもろいって思うけど、2時間とか続くとわからへんようになる。最近は脳ががんばってきたから、再生されてきて。だいぶそういう楽しみがわかってきた。

R 生まれ変わっちゃってますね。人が。

G わからへんけどね……

(みんな眠りはじめる)

U-zhaan

ザキール・フセイン、オニンド・チャタルジーの両氏にタブラを師事。2000年よりASA-CHANG& 巡礼に加入し4枚のアルバムを発表後2010年に同ユニットを脱退。その後U-zhaan×rei harakamiとして「川越ランデヴー」「ミスターモーニングナイト」を配信リリース。タブラ100%テクノユニット、salmon cooks U-zhaanの名義でも3枚のアルバムを発表。その他yanokami、七尾旅人、UA、HIFANA、SUPER CARなど数多くのアーティストの作品にもタブラ奏者として参加している。著書に『ムンバイなう。』。

GOMA

ディジュリドゥアーティスト/画家
単身で渡豪した、オーストラリアで数々のコンペティションに参加し入賞。 98年アボリジニーの聖地アーネムランドにて開催された「バルンガディジュリドゥコンペティション」では準優勝し、ノンアボリジニープレイヤー として初受賞という快挙を果たす。国内外の大型フェスにも多数参加し、自身の10周年の活動をまとめた映像制作をしていた09年、交通事故に遭い高次脳機 能障害の症状が後遺しMTBI(軽度外傷性脳損傷)と診断され活動を休止。事故後まもなく突然緻密な点描画を描き始める。2010年夏に行われた初の個展 『記憶展』開催。その後も懸命にリハビリを続け再起不能と言われた事故から苦難を乗り越え2011年6月に静岡で行われた野外フェスティバル「頂」にて シークレットゲスト出演をし、FUJIROCK FESTIVAL’11にて伝説のライブを行い、奇跡の復活を成し遂げた。

環ROY

環ROY

ラッパー。宮城県出身。主に音楽作品の制作とパフォーマンスを行う。これまでに最新作『ラッキー』を含む4枚のフルアルバムを発表。第17回文化庁メディア芸術祭推薦作品『ワンダフル』(MV)を発表。国内外の様々な大型音楽イベントへ出演。



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