おつかい9:ポップでチープで雑多なタイの音楽フェスBig Mountain Music Festival 復習編

いしいのおつかいミュージック by いしいこうた 2014/02/03

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昨年12月7日、8日の二日間、カオヤイで開催された野外音楽フェス「Big Mountain Music Festival 5」。今回はそのレポートをお届けします。

当日はバンコクのファランポーン駅でタイ国鉄のディーゼル列車に乗り込み、会場の最寄りとなるパークチョン駅まで移動。午前10時に出発して13時半頃には到着する予定のところが、実際に目的の駅に着いたのは14時を過ぎた頃でした。日本で30分も鉄道が遅れることなんて、何かしらの事故に見舞われないと起きないと思うのですが、これがこの国の通常運行のようです

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駅前にあった食堂で昼食をとり、事前に手配してもらっていたバンで会場まで向かうけれど、道路はフェス会場へと向かう車で大混雑。なかなかたどり着くことができません。更にホテルのチェックインにも手間取り、実際に会場入りできたのは17時過ぎでした。

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▲会場までは大渋滞

諸々の遅れのせいで楽しみのひとつだった、2年ぶりに復活を遂げたKiiiiiiiのライブに間に合わなかったのが残念で仕方ありません。バンコクから会場までのアクセスは乗り合いバンを利用するのが一般的なのですが、あえて鉄道で移動することを選んだのが裏目に出ました。

会場として利用されているのは、世界自然遺産にも指定されているカオヤイ国立公園のそばにあるサーキット場。周囲は森林に囲まれ、バンコクに比べて空気も美味しく感じられます。
普段レースなどで自動車やバイクが走る、舗装されたサーキットコースがそのまま歩道として機能しているので、足下を気にせずにぐるりと周遊することができます。そのためか、日本の野外フェスで見られるようなアウトドアファッションに身を包む人は少なかった印象です。スカート姿の女性や、半袖半ズボンにサンダルという、かなりラフな服装の人も多く見かけました。

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Big Mountain Music Festivalの見所は、総勢100組を超えるアーティストのライブパフォーマンスだけではありません。アーティストの演奏に負けず劣らず個性的なステージデザインも必見というか、否応無しに目に飛び込んできます
今回は、大小合わせて8つのステージが用意されていました。ステージには、ただのライブ演出に留まらない観客を楽しませるギミックが仕込まれていて、まるでサービス精神の塊のようです。

なかでも一層目を引いたのが、観覧車のある「FERRIS WHEEL STAGE(観覧車ステージ)」。今回のフェスの中でも最大規模のステージで、舞台裏では小型の観覧車が絶えず回転しています。しかも、観客はその観覧車に乗り込んでライブを見下ろすことができるのです。僕も実際に乗ってみたのですが、タイの人気バンド「BIG ASS」の出番直前で、大勢の観客はステージの周りに集まっていいる様子を見渡すことができました。

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▲観覧車ステージ

この観覧車はタイの移動式遊園地でよく見かけるものなのですが、日本の遊園地にあるものとは違って、結構速いスピードでグルグルと回転します。しかも一度ゴンドラに乗り込むと何周もさせられて、なかなか降りることができません。スタッフの裁量によるのか、乗っている時間も5分から人によっては15分以上だったり、てんでバラバラ。ちなみにこの観覧車はサマソニ2013のアイランドステージにも設置されたのですが、その時は実際に人が乗ることはできなかったそうです。

日本からの出演となるbomiやKAKATO、前回の記事でMVを紹介したYellow fangなどがパフォーマンスを行った「PAK CHONG(パークチョン。フェス会場の位置する群の名前でもあり、最寄り駅の名前でもある)」ステージは、なぜか精子と卵子をモチーフにした装飾が施されていました。ステージ奥にある卵子を模した真っ白な球体が、照明効果によってウゴウゴとうごめいているように錯覚させられたりもしました。生命の神秘を感じさせなくもないけれど、なにしろ人の身長の2倍近くもあるサイズなので、正直ちょっと気持ち悪い

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▲精子と卵子のステージ

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KAKATO出演時の様子は、このMVのラストで少し見ることができます。

蓮沼執太フィルが出演したのは「HARN STAGE(ガチョウステージ)」。その名前の通り、日中はかわいらしいガチョウ型の巨大バルーンが膨らんでいるのを遠くから見ることができたのですが、日が暮れて蓮沼執太フィルの演奏時にはなぜか跡形もなく消え去っていました。

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▲ガチョウステージの蓮沼フィル

ステージ前は芝生の広場になっているので、座ってくつろぎながら演奏を聴く人がたくさん。とても心地の良い空気が漂っていました。

同ステージで蓮沼フィルの次に演奏をしたのは、結成から20年にもなるタイロック界の重鎮的バンド「Modern Dog」。あっという間にステージ前は人で埋め尽くされ、熱いムードに早変わり。発表したばかりの新曲を披露し、大盛況でした。

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▲Modern Dog

ビル5、6階ぶんの高さはありそうな、牛型の建造物がある「COW STAGE(牛ステージ)」。この巨大な牛の表情がアーティストの演奏に合わせて切り替わるのですが、その動力源はなんと人力。裏側に常時人間が待機していて、目の模様が描かれたパネルなどをめくったりしているのです。アナログすぎて感動しました。

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▲牛ステージ

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▲牛の裏側。よく見ると動かしている人がいるのがわかります

その他にもサーカステントのよう見た目のもの、タイ料理でモチ米を入れる容器の形をしたブースを設置したもの、どのステージも見た目に楽しく飽きさせません。

▲モチ米ステージ

▲モチ米ステージ

歩き疲れたら、ずらりと並んだタイ料理屋台で食事。さらにはタイマッサージ屋、床屋さんまで用意されているので、足先から頭のてっぺんまでリフレッシュすることができます。

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タイで有名な怪談「メーナーク」を題材にしたお化け屋敷のような建物もあったので入ってみました。不気味な外観とは裏腹に、中には記念撮影用の顔ハメパネルがいくつか用意されているだけ。てっきり驚かせる人がいたりするものだと思っていたので、予想を大いに裏切られました。

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ポップでチープ、けれどもとにかく情報量が多い、現代のタイらしさが凝縮されているような「Big Mountain Music Festival」。音楽フェスというよりも、まるで遊園地のように楽しむことができました。

次回もまた行きたいです!

いしいこうた

いしいこうた

1988年生まれ。編集者。Webマガジンの編集などを経て2013年3月より意味もなくバンコクへ引っ越す。編著書に『GIF BOOK』(BNN新社)など。環ROY『ワンダフル』MVには5秒間タイっぽい映像を混ぜておきました。



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