5:CC OO の 4CD vs 40曲配信

音楽からとんでみる/蓮沼執太 by 蓮沼執太 2011/11/21

2012年1月1日に4枚組CDアルバム『CC OO(シーシーウー)』を発表する。

ーベルUNKNWONMIX/HEADZから、2010年発表のライヴ・レコーディングアルバム『wannapunch!(ワナパンチ!)』以来、2年ぶりのリリースとなる。2010年に『wannaounch!』、2011年に2枚組レコード『POP OOGA PLUS(ポップ オーガ)』、そして2012年に4枚組CD『CC OO』と、元旦発表は3年連続になってしまった。今作の発売日はレーベルのオーナーでもある佐々木敦さんが決めてくれたので、まったくの偶然というわけだ。

このアルバムはいわゆる過去作品がすべて入っているベスト的アルバムではない。僕が自分のスタジオでレコーディングし発表したオリジナルアルバムは2008年9月発表の『POP OOGA』で、それ以来約3年間、アルバムに向けての制作していなかった。
だけど、オリジナルアルバムを発表していない間も、僕は多くの音楽を制作してきた。
それらのほとんどがすべて、ここには収録されている。全40曲の約4時間半のヴォリューム。
作品を深く聴き込むには、どのくらいの時間を要するかは僕にもわからないが、自信ある重量感だと思っている。

その内容は、
過去Western Vinylから発表し、現在は廃盤になっている2ndアルバム『OK Bamboo』(2007)と前述のアルバム『POP OOGA』(2008)からのリアレンジ曲だったり、2009年に僕がおこなったフリー・ダウンロード・プロジェクト『9つの音楽をダウンロードする』からの楽曲だったり、公開レコーディング・イヴェント作品『音楽からとんでみる1』で限定公開したSUN RAカヴァーでもある音源曲だったり。
他にも、今年2011年に東京国立近代美術館で開催された『イケムラレイコ うつりゆくもの』展覧会でのインスタレーションのために制作した音楽や、友人でもあるパフォーマンス・カンパニー・快快(faifai)『Y時のはなし』劇中音楽のリアレンジ曲、瀬田なつき監督との共作映画『5windows』オリジナル・サウンドトラックからの数曲、そしてイラストレーター・のりたけ『IT IS IT』展示イメージ音楽、作家・古川日出男らとのグループ『the coffee group』のインストゥルメンタル楽曲。今年では、ファッションブランド・シアタープロダクツ『2011 Spring/Summer』コレクション・ショーの音楽、シングル『Shangfai』(2010)からのユニクロ広告曲用のアレンジ・ヴァージョン、HEADZの音楽誌《ヒアホン》創刊用レーベル・サンプラー音楽のために作り、後にWindows Phone au by KDDI CMのタイアップにもなった「Earphone & Headphone in my Head」、漫画家・西島大介のオルターエゴ『DJまほうつかい』楽曲のリミックス、ヨコハマトリエンナーレ2011特別イヴェントでのライヴ録音、あとは自ら指揮を執るオーケストレーション「蓮沼執太フィル」のコンサート・ライヴ録音、そしてバンド・アンサンブル「蓮沼執太チーム」の音源や、2011年制作のオリジナル新曲「Hello Everything」も収録している。

と、本当にたくさんの人々との関係がこの作品を現前させてくれている。

感じるのは、もう4枚組というフレームを使っての”おかしみ”は最後かもしれないなぁ、ということだ。世界では、もう当たり前にiTunes Music Storeなどで全40曲を、またはそのうちの数曲をダウンロード購入する、という感覚かもしれない。
僕自身は聴き方は自由であるべきで、フォーマットの考え方はいつだって多様であってほしいと思っている。テープで聴こうが、ラジオで聴こうが、レコードで聴こうが、ポッドキャストで聴こうが、mp3で聴こうが。大げさではなく、それは僕の知ったことではないのだ。作家が細かなステイトメントを発表するよりも、リスナーは自分に合った環境で、自由に、作品を体験できるのが一番であってほしい。しかも、それは常に流動的でなければならない、とも感じている。時間とともに変化していくものだと思っている。

ただ、僕はこの『CC OO』では、CDフォーマットでのリスニング環境のためのマスタリングをROVOの益子樹さんと行った。そして、アルバムのデザインを佐々木暁さん、アートワークを金氏徹平さんと作業をしている。

この4枚組というCDパッケージは、それに付いてくるたくさんの印刷されたライナーの紙だったり、CDのプラスチックの盤だったりと、「物」としてのこだわりも、毎回のことながら大切にして作られている。ダウンロード配信から捉えたら、到底無駄なことをしているように見えるかもしれない。だけど、考えてみれば、僕らは、常に、創作に付き纏うこんなような余剰感を楽しんでいるんだと思う。

とにかく、文頭のURLで1日1曲の試聴がスタートしました。みなさんにとってお気づきの多い作品になりますように。ぜひ楽しんでください。

 

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この夏の旅行より@新島

蓮沼執太

蓮沼執太 1983年東京都生まれ。東京藝術大学大学院映像研究科研究生修了。音楽作品のリリース、蓮沼執太フィル/チームを組織して国内外でのコンサート公演、コミッションワーク、他ジャンルとのコラボレーションを多数制作する。音楽祭『ミュージック・トゥデイ』を企画・構成をする。主な個展に『音楽からとんでみる3|have a go at flying from music part 3』(2011年 ブルームバーグ・パヴィリオン|東京都現代美術館)、『音的|soundlike』(2013年 アサヒ・アートスクエア)。舞台作品に『TIME』(2012年 神奈川芸術劇場、国立新美術館)、音楽アルバムに4枚組CD『CC OO|シーシーウー』(2012年 HEADZ / UNKNOWNMIX)。 http://www.shutahasunuma.com/

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