Love 4:冷えきる前に繋げる方法

I LOVE YOUから始める英詩のレトリック by 中山美樹 2013/04/05

欧米の新旧ヒットソングから隠れた名曲まで、特に印象的な英詞を紹介するLOVEテンコ盛りコラム『LOVEレト』。4回目は倦怠期に入ったカップルのデュエット・ソング「ジャスト・ギヴ・ミー・ア・リーズン」をピックアップ。クールなP!NK姐さんと最近注目度UP中のFUN.のシンガー、ネイト・ルイスとのデュエットで、倦怠期に入った男女の本音がちらりほらりと垣間見られるの。

P!NK「Just Give Me A Reason」

まずこっちはP!NK姐さんがべっぴんなオフィシャルPV。

こっちは最近増え始めているオフィシャル歌詞ビデオ。ファンが作る歌詞ビデオに面白いのがあるからアーティスト本人も始めたのか、それともそういうビデオの歌詞に間違いが多いから始めたのか……謎だわ(笑)。

「Right from the start, you were a thief, you stole my heart(最初からあなたは泥棒だった、私の心を盗んだの)」で始まる一目惚れラブソングと思いきや、いきなり「You’ve been talking in your sleep(ずっと寝言を言ってるわ)」それも「Things you never say to me(絶対に私には話さないことを)」って……もしかして相手の心変わりを疑っている?

でも疑ってはいるけど「(Give me) Just a second we’re not broken, just bent(壊れたわけじゃなくて少し折れ曲がっただけと一瞬思わせて)」そして「We can learn to love again(また愛し方を覚えられるって)」とお願いしているあたり、まだ愛しているからこそ修復可能と思いたいのよね。わかるなぁ。

そしてネイト君登場。「I thought we were fine(僕たちは大丈夫だと思ってた)」ときて、「It’s all in your mind(全部君の妄想さ)」と。

あ〜妄想なのね…と安心していると、「There’s nothing more than empty sheets between our love(二人の間にあるのは冷たいシーツってだけのこと)」と爆弾発言! えっ、寄り添って寝てないの!? ダメじゃん!

その後で「だってこうじゃない」「いや、それはこうだよ」的な掛け合いがあって「We’ll come clean(本音で話そうよ)」とP!NK姐さん。そうよね、お互いに心の内を吐き出して正直になることが大事よね。「come clean」は「白状する、泥を吐く、打ち明ける」という意味。隠していることをさらけ出してクリーンになるってイメージ。

面白いデュエットだから前置きが長くなったけど、今回の注目フレーズは「It’s in the stars, it’s been written in the scars on our hearts(そういう巡り合わせなんだよ、二人の心の傷跡に書き込まれてるんだから)」。最初のit’sは it is の短縮形で、2つ目のit’sはit has の短縮形なので間違えないで。

注目すべきは短いセンテンスの中で3回韻を踏んでいる点。stars、scars、heartsと「アーツ」という音で終わる単語を続けることで音的な流れを良くしているわけ。これは英詞を書くときに特に心に留めておいて欲しい点よ。

カノジョの妄想に付き合うカレシという感じの歌詞だけど、馴れ合いになったカップルには、多かれ少なかれ、この歌詞に共感するところがあるんじゃないのかしら。この曲を覚えて、二人でカラオケで歌って倦怠期を脱するのも一つの手かもね。

中山美樹(Miki Nakayama)

ミュージシャンの取材に特化した通訳/翻訳というマニアックな仕事を1980年代終わりから続けている。これまで取材通訳、電話取材、インタビュー翻訳をしたアーティストは数知れず。歌詞対訳したアルバムも数多く、近年は日本人アーティストから歌詞英訳の依頼もしばしば舞い込み、レコーディング時の発音指導も行っている。その愛情あふれる通訳/翻訳でミュージシャン、ライター、編集者からの信頼も厚く、取材現場やライブ会場で仲良しミュージシャンとハグする姿がしばしば目撃される。書籍『ミック・カーン自伝』(リットーミュージック刊)の翻訳も行っている。

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