LOVE3:畳み掛けて押さえ込む方法

I LOVE YOUから始める英詩のレトリック by 中山美樹 2013/03/22

欧州の新旧ヒット・ソングから隠れた名曲まで、特に印象的な英詞を紹介するLOVEてんこ盛りのコラム、略して『LOVEレト』。その3回目は一世を風靡したフランツ・フェルディナンドのセカンド・アルバム『ユー・クッド・ハヴ・イット・ソー・マッチ・ベター』収録の「Do You Want To」をピックアップ!

FRANZ FERDINAND「Do You Want To」

女の子が大声で彼らのバンド名を叫んでいるふうなシンプルかつ大胆なジャケットが衝撃的だったわよね。このアルバムの2曲目が「Do You Want To」。もうね、これは「Do you wanna…(……したいかい?)」を繰り返し歌うことで、相手に「う、う、うん」と言わせたるで〜!って感じ(笑)。

「wanna」は「want to」の発音つづり。「gonna (= going to)」や「gotta (=got to)」なども同じ仕組みよ。歌詞の中にも「I’m gonna make somebody love me(誰かをオレに惚れさせてみせる)」と、さっそくgonnaが出てきているでしょ? アップテンポな曲の場合にはこの発音つづりで書かれている歌詞がけっこうあるのよ。

さて、今回の注目フレーズは「Do you want to go where I never let you before(今まで一度も連れて行ったことのない所に行きたいかい?)」。この場合の「where」は、主人公が相手を連れて行く実際のデートの「場所」であり、これまで2人の間になかった「関係性」のことでもあるの。文法的にいえば、whereは「どこ」という代名詞なんだけど、こんなふうに接続詞として「はっきりしない場所」を示す使い方もあるのよ。

ちなみに歌詞に登場するTransmission Partyはアーティストが集まって交流するパーティーのことで、各地で行われているみたい。歌詞中の「they are all so arty」は「ヤツらはみんなアーティスト面してやがる」という皮肉を込めた言い方。「arty」は否定的な使い方をするので注意してね。我慢ならない芸術家気取りの人を指して「arty-farty」と言ったりするの。fartはオナラという意味だから、小バカにしている様子がわかるでしょ?(笑)

「Now I know that it’s you / You’re so lucky」なんて「(オレに惚れさせる相手が)君だと今わかったよ、君はめちゃくちゃラッキーだぜ」というオレ様全開のセリフね。草食男子といえども、こういうオレ様気質は心の奥底に確実にあるはず。実生活では表立って言えないことも、歌に込めて言うことはできるでしょ? 過剰なオレ様モードは毒になるけど、ときどき見せるオレ様は案外女の子の心を揺さぶるものだから、ここぞ!というときにはオトコの心意気を見せて欲しいなぁ。がんばれ、日本男児☆

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中山美樹(Miki Nakayama)

ミュージシャンの取材に特化した通訳/翻訳というマニアックな仕事を1980年代終わりから続けている。これまで取材通訳、電話取材、インタビュー翻訳をしたアーティストは数知れず。歌詞対訳したアルバムも数多く、近年は日本人アーティストから歌詞英訳の依頼もしばしば舞い込み、レコーディング時の発音指導も行っている。その愛情あふれる通訳/翻訳でミュージシャン、ライター、編集者からの信頼も厚く、取材現場やライブ会場で仲良しミュージシャンとハグする姿がしばしば目撃される。書籍『ミック・カーン自伝』(リットーミュージック刊)の翻訳も行っている。

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