LOVE24:Home Sweet Home!

I LOVE YOUから始める英詩のレトリック by 中山美樹 2014/02/01

欧米の新旧ヒット・ソングから隠れた名曲まで、特に印象的な英詞を紹介するLOVEいっぱいのコラム『LOVE レト』。24回目はMötley Crüeの「Home Sweet Home」。1985年リリースのアルバム『Theatre of Pain』収録のパワー・バラッド。この曲のヒットが先駆けとなり、その後の長髪グラム・メタル系バンドのバラッドがチャートインするようになったの。残念なことにMötley Crüeは数日前に活動停止の発表があったけど、オリジナル・メンバーで有終の美を飾りたいって素敵なことだと思うわ。

「Home Sweet Home」by Mötley Crüe

このビデオは1985年リリース当時のオリジナルではなくて、1991年リリースのコンピ・アルバム『Decade of Decadence』に再収録したときに作られたもののようね。オリジナル・ビデオはDallas, TXでのライブで撮影されたライブ映像が入っていて、MTVでは3ヶ月連続でtop requested videoとなったの。

 

LOVEレト1周年記念の回に取り上げたこの曲、実は先週のアメリカ出張の最終日の夜、テレビCMのBGMで流れたの。「Wanna go home!」と思っていた心に染みたわよ(笑)。じゃあ、歌詞を見て行くわね。

最初に目に留まるのが次のフレーズ。

I had to run away high(どうしようもないくらい逃げたかったんだ)
So I wouldn’t come home low(家に戻るなんて思いもしなかった)

カッコ内はもちろん意訳。ここでの「high」と「low」は「思いの強さ」の高低を単語ひとつで表しているの。「have to〜」は通常「〜しなければならない」と訳されるけど、自分が「しなければならない」ということは、抗えないくらい強い思いに突き動かされるということ。「強い、激しい」という意味もある「high」の対比としての「low」という使い方には脱帽よ。ただ、「high」にはドラッグでハイになっているという意味もあるので、ドラッグ絡みのhighやlowな気分という含みを深読みできないわけじゃないわね。

次は「Just take this song / and you’ll never feel / Left alone」(この曲を受け取ってくれたら、置いてきぼりにされたなんて絶対に思わないはずだから)から続く歌詞。これから戻る先にいる愛する人への思いが込められているのがここ。

Take me to your heart(俺を君の心の中にいさせてくれ)
Feel me in your bones(骨の髄まで俺を感じてくれ)
Just one more night(あと一晩だけで)
And I’m coming off this(俺は抜けられるんだ)
Long and winding road(曲がりくねったこの長いツアー生活から)

そして……

I’m on my way(戻っている最中だから)
I’m on my way(帰る途中だから)
Home sweet home(心落ち着く我が家へと)

「be on one’s way (to 〜 )」は「〜へ行く途中」という意味。「I’m on my way to work」だと「出勤途中」となるわね。

ちなみに「Home, Sweet Home」は19世紀にJohn H Payneが作詞し、Henry R Bishopが作曲した有名な曲のタイトル。英語圏の人々にとって、「home sweet home」と聞くと同曲の有名な歌詞「there’s no place like home」が瞬時に連想されるくらい身体に染み込んだフレーズよ。

外に出て初めて「自宅」や「故郷」の良さを実感できるもの。当たり前のことが当たり前じゃない環境や状況を経験してこそ、それまで気付かなかったことを知る好機よ。Don’t be a big fish in a little barrel! OK?

中山美樹(Miki Nakayama)

ミュージシャンの取材に特化した通訳/翻訳というマニアックな仕事を1980年代終わりから続けている。これまで取材通訳、電話取材、インタビュー翻訳をしたアーティストは数知れず。歌詞対訳したアルバムも数多く、近年は日本人アーティストから歌詞英訳の依頼もしばしば舞い込み、レコーディング時の発音指導も行っている。その愛情あふれる通訳/翻訳でミュージシャン、ライター、編集者からの信頼も厚く、取材現場やライブ会場で仲良しミュージシャンとハグする姿がしばしば目撃される。書籍『ミック・カーン自伝』(リットーミュージック刊)の翻訳も行っている。

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