LOVE23:HAPPY NEW YEAR!

I LOVE YOUから始める英詩のレトリック by 中山美樹 2014/01/13

欧米の新旧ヒット・ソングから隠れた名曲まで、特に印象的な英詞を紹介するLOVEいっぱいのコラム『LOVEレト』。23回目はABBAの「Happy New Year」。言わずと知れたスウェーデンのスーパービッグ・グループが1980年にリリースしたアルバム『Super Trooper』収録で、英語バージョンがシングルとしてリリースされたのはそれから約20年後の1999年。

「Happy New Year」 by ABBA

 

まずは、新年明けましておめでとう! みんなにとって笑顔と喜びと幸せに溢れた素敵な1年になることを願っているわよ。Happy New Year, my loves! Wishing you a lovely year full of smiles, joy and happiness!!(あ、「my love(s)」はイギリスの熟女特有の呼びかけ言葉なので、このフレーズを使うときは注意ね)

 

この曲は大晦日のパーティーが終わった後、静けさの中で新年を迎えるカップルの片方(おそらく女性ね)の気持ちを歌ったもの。なぜ女性かというと……

Oh yes, man is a fool(そう、男は馬鹿なものなの)
And he thinks he’ll be okay(これからも大丈夫と思っているわ)
Dragging on, feet of clay(男は変化を嫌う脆いものなの)
Never knowing he’s astray(間違った方向へ向かっていることに気付かず)
Keeps on going anyway(そのままのやり方を続けるの)

う〜ん、どうも上手く行っていないカップルのようね。でも相手はそれに気付いていない……オンナならこのモヤモヤした感覚が分かるはず。

そして……

Seems to me now(今の私に見えるのは)
That the dreams we had before are all dead(かつての夢がすべて絶えた様)
Nothing more than confetti on the floor(床に散らばる紙吹雪と同じ)

この後に「これからの10年間がどうなって、89年の終わりにはどんなものが待ち受けているのかしら?」と続くの。「May we all have our hopes, our will to try」(希望とチャレンジ精神を持ち続けられますように)というフレーズを見ると、この先の道のりは決してラクなものではないことが分かるわね。それでも希望と挑戦する意志だけは持ち続けたい、と。

1980年代を迎える時期に書かれたこの曲は「人間愛」という視点でも捉えることが可能よ。そして今でも「隣り合うすべての人たちが仲の良い世の中という未来像を持ち続けたい」という願いは相変わらず消え去ることはないわね。きっと地球上に人間がいる限り、永遠に続く願いなのかも。

 

世界平和という大きな変化は一朝一夕で成し遂げられないものだけど、自分の周りの人々を笑顔にすることは誰にでも出来ること。ネガティヴな出来事の多い時代だけど、butterfly effectを信じて、みんな笑顔を絶やさない1年にしてね! 笑う門には福来る(Laugh and be fat)って言うでしょ。

中山美樹(Miki Nakayama)

ミュージシャンの取材に特化した通訳/翻訳というマニアックな仕事を1980年代終わりから続けている。これまで取材通訳、電話取材、インタビュー翻訳をしたアーティストは数知れず。歌詞対訳したアルバムも数多く、近年は日本人アーティストから歌詞英訳の依頼もしばしば舞い込み、レコーディング時の発音指導も行っている。その愛情あふれる通訳/翻訳でミュージシャン、ライター、編集者からの信頼も厚く、取材現場やライブ会場で仲良しミュージシャンとハグする姿がしばしば目撃される。書籍『ミック・カーン自伝』(リットーミュージック刊)の翻訳も行っている。

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