LOVE22:幸せを揺り起こせ!

I LOVE YOUから始める英詩のレトリック by 中山美樹 2013/12/22

欧米の新旧ヒット・ソングから隠れた名曲まで、特に印象的な英詩を紹介するLOVEいっぱいのコラム『LOVEレト』。22回目はトレインの「シェイク・アップ・クリスマス」。トレインは2002年にグラミー賞を受賞したことでも知られるサンフランシスコ出身のポップ・ロック・バンド。この曲は2009年リリースの5作目『セイヴ・ミー、サンフランシスコ』の翌年に発売されたリパッケージ盤『同:ゴールデンゲート・エディション』のボーナス・トラックとして収録されたもので、4枚目のシングルにも選ばれた曲。

「Shake Up Christmas」by Train

 

サンフランシスコのビル群が入ったスノードーム(snow globe)を揺らすサンタ・クロース(Santa Clause)の笑顔を見ているだけでクリスマス・スピリット(Christmas spirit)が目覚める優しいビデオね。

 

「Shake up the happiness, Wake up the happiness, It’s Christmas time」(幸せを揺り起こせ、幸せを目覚めさせろ、クリスマスが来たぞ)で始まるholiday spiritに溢れたこの曲。「昔聞いたあるストーリーを年を取り過ぎ(て忘れ)る前に世界中に知らせたい」といって語り始めるのが、ひとりの女の子のこととひとりの男の子のこと。

A little girl made a great big wish(小さな女の子が大きな希望を願った)
To fill the world full of happiness(世界中を幸せで満たしたいと)
And be on Santa’s magic list(サンタの魔法のリストに入れて欲しいと)

そして時を同じくして、何マイルも離れた町では……

A little boy made a wish that day(小さな男の子が同じ日に願った)
That the world would be okay(世界が平穏無事であるようにと)

And let me meet a girl one day(いつか女の子と出会えるように)
That wans to spread some love this way(僕と同じ方法で幸せを広げたい子と)
We can let our souls run free(自分たちの魂を自由に羽ばたかせ)
And she can open some happiness with me(僕と一緒に大きな幸せの扉を開けられるように)

LOVEレトと言えば「韻」(ごめん、今、勝手に作った……笑)。この曲は押韻が目白押しよ。Remember it, December it, reassemble itや、miles away, wish that day, would be okay, hear him sayや、while, smile, styleや、out there, reindeer, whereなど、実際に曲のリズムに合わせて声に出してみて。歌い易いことに気付くはず。

世界平和を願う女の子と男の子。幼い子でも世界(=自分が普段見聞きしている空間)の幸せを無意識に願うもの。親や家族の笑顔が彼らにとって一番好きで大事なのだから。それを願う日なんだもの、クリスマスは家族にとって大事な日だと分かるでしょ?

 

この曲には大人になって忘れがちな「幼子の頃の純真な幸せへの願い」が込められていると思うわ。私利私欲の風潮に流されて心が曇ってしまう大人だからこそ、クリスマスには本当に大事なものがハッキリと見えていた子供の頃の心を思い出して欲しいと思って、今回はこの曲を選んでみたわ。

みんな、Shake up the happiness! Wake up the happiness! Come on, y’all, it’s Christmas time!! Ho, ho, ho!!!

中山美樹(Miki Nakayama)

ミュージシャンの取材に特化した通訳/翻訳というマニアックな仕事を1980年代終わりから続けている。これまで取材通訳、電話取材、インタビュー翻訳をしたアーティストは数知れず。歌詞対訳したアルバムも数多く、近年は日本人アーティストから歌詞英訳の依頼もしばしば舞い込み、レコーディング時の発音指導も行っている。その愛情あふれる通訳/翻訳でミュージシャン、ライター、編集者からの信頼も厚く、取材現場やライブ会場で仲良しミュージシャンとハグする姿がしばしば目撃される。書籍『ミック・カーン自伝』(リットーミュージック刊)の翻訳も行っている。

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