LOVE21:クリスマスに欲しいのは……

I LOVE YOUから始める英詩のレトリック by 中山美樹 2013/12/07

欧米の新旧ヒット・ソングから隠れた名曲まで、特に印象的な英詞を紹介するLOVEいっぱいのコラム『LOVEレト』。21回目はマライア・キャリーの「恋人たちのクリスマス」(原題 All I Want For Christmas Is You)。1994年リリースの4枚目のアルバム『Merry Christmas』からのリード・シングルで、大ヒットした彼女自作のクリスマス・ソング。今ではクリスマスの定番ソングになっていて、いろんなアーティストがカバーしているわよね。

「All I Want For Christmas Is You」by Mariah Carey

 

日本でクリスマスといえば恋人たちが一緒に過ごす日だけど、欧米では基本的に家族が集まって一緒に過ごす日。クリスマスイブに豪華なディナーを食べ、夜中にクリスマスツリーの下にサンタさんが置いていったプレゼントを翌朝開ける……待ち切れない子供たちは大人よりも早起きして、パジャマのままでクリスマスツリーに直行するのが季節の風物詩ね(笑)。

イギリスなどではクリスマスの翌日がBOXING DAYと言って休日なの。この日はもともと教会が貧しい人たちのために募ったクリスマス・プレゼントの箱を開ける日だったことから、こう呼ばれるようになったみたい。この溢れる愛情がクリスマス精神よ。

 

さて、この曲。タイトルの「All I Want For Christmas Is You」(クリスマスに欲しいのはあなただけ)が示すように、LOVEいっぱいのラブソング。クリスマスにする一連の行動が歌詞の中に上手に織り込まれているの……全部「要らない」という形で。

I don’t care about the presents underneath the Christmas tree
(クリスマスツリーの下のプレゼントなんてどうでもいいの)
Santa Claus won’t make me happy with a toy on Christmas Day
(クリスマスにもらうオモチャなんかじゃ喜ばないわ)
I’m just gonna keep on waiting underneath the mistletoe
(ヤドリギの下であなたを待ち続けるつもりよ)

ここまで「欲しいのはあなただけ!」と繰り返しリクエストされて、サンタさんもオモチャを届けるなんて無粋な真似はしないと思うけど、好きな人やパートナーとクリスマスを過ごしたいなら、クリスマス前に一生懸命サンタさんにお願いしないとね。

3つ目の歌詞の中に出てくるヤドリギ(mistletoe:ミスルトウ)はクリスマスには欠かせないもの。天井から吊るされたヤドリギの束の下に入った人は必ずキスをするという風習があるのよ。映画などで主人公がmistletoeを手に持って好きな人に近づき、「ほら!」と相手の視線を上に誘ってキスをする場面があるでしょ? あれはこの風習に基づいているわけ。反則技だけど(笑)。

 

また、アメリカのクリスマス・ブーケにはシナモンなどのスパイスや松かさが入っていて、この香りもクリスマス到来を実感させるものよ。ツリーやプレゼントで視覚を、豪華なディナーで味覚を、親しい人たちの笑い声やトナカイのベルの音で聴覚を、ブーケで嗅覚を満足させたら、残るは触覚。愛しい人と触れ合って満足させて欲しいわ。Wish you a very merry Xmas!!

中山美樹(Miki Nakayama)

ミュージシャンの取材に特化した通訳/翻訳というマニアックな仕事を1980年代終わりから続けている。これまで取材通訳、電話取材、インタビュー翻訳をしたアーティストは数知れず。歌詞対訳したアルバムも数多く、近年は日本人アーティストから歌詞英訳の依頼もしばしば舞い込み、レコーディング時の発音指導も行っている。その愛情あふれる通訳/翻訳でミュージシャン、ライター、編集者からの信頼も厚く、取材現場やライブ会場で仲良しミュージシャンとハグする姿がしばしば目撃される。書籍『ミック・カーン自伝』(リットーミュージック刊)の翻訳も行っている。

TUNECORE JAPAN