LOVE14:二人のテーマソングは……

I LOVE YOUから始める英詩のレトリック by 中山美樹 2013/08/24

欧米の新旧ヒット・ソングから隠れた名曲まで、特に印象的な英詞を紹介するLOVEいっぱいのコラム『LOVEレト』。14回目はテイラー・スウィフトの「アワ・ソング」。2007年のデビュー・アルバム『テイラー・スウィフト』からの3枚目のシングル。高校1年生のときにエントリーしたタレントショーのために作ったこの曲は同級生から大好評だったとのこと。バンジョーがフィーチャーされたポップなカントリー曲という感じね。

「Our Song」by TAYLOR SWIFT

MVのアイディアはテイラー自身が出したそう。寝室でくつろぐ姿、ブルーのドレスを着てfront porchで歌う姿、赤いドレスでお花に埋もれる姿、黒いドレスでクールに歌う姿……どれも素敵ね♡

 

カントリー界に彗星の如く現れたテイラー。子供の頃からカントリーシンガーになることを夢見て実現させた意志の強い女性よ。でもこの曲では10代の音楽好き少女らしく、カレシと自分のテーマソングが欲しいわ!と歌っているの。

 

「I was riding shotgun with my hair undone」(ぼさぼさの髪で助手席に乗っていたの)で始まるこの歌、いきなり「riding shotgun?」と面食らう人もいるかも。この「ride shotgun」とは「助手席に乗る」という意味。元々は銃を持った用心棒が駅馬車の御者の横に乗っていたことから派生したもの。アメリカの歴史が垣間見られるカントリー曲らしい言い回しね。また「shotgun」と「undone」できっちり韻を踏んでもいるの。

 

カレシの車に乗りながら「How don’t we have a song?」(どうして2人の歌がないのかしら?)と、ふっと思うテイラー。歌詞では「How we don’t have a song」となっているけど、これはその前の「I was just thinking」(ちょっと考えていた)から続く文章なので、通常の疑問形ではなく、名詞(ここでは[ we ])と助動詞(ここでは[don’t])が普通の並びになっているの。

 

そんな彼女にカレシが「Our song is……」(僕らの曲は……)と答えるけど、これがまた微笑ましいことばかり。

Slamming screen door(音を立てて閉まるスクリーンドア)
Sneaking out late(夜遅くに忍び込むこと)
Tapping on your window(君の部屋の窓をノックする音)
When you’re on the phone and you talk real slow
([夜更けに]電話しているときにゆっくり話す君の声)
The way you laugh(君の笑い方)
The first date, “Men, I didn’t kiss her when I should have
(最初のデートで「キスのタイミング逃した!」と後悔したこと)
Asking God if he could play it again
([就寝前のお祈りで]神様に「あの場面をもう一度」と頼むこと)

 

この風景すべてが容易に想像できる日常的な事柄だけど、そんな他愛ない様子が自分たちの歌と聞いて、テイラーは助手席に座ったままで……

I grabbed a pen(ペンを持って)
And an old napkin(古いナプキンを取り出して)
And I wrote down our song(2人の曲を書き上げたの)

 

そしてできあがったのがこの曲。デート中の何気ない1コマだって歌になる良い例ね。

 

中山美樹(Miki Nakayama)

ミュージシャンの取材に特化した通訳/翻訳というマニアックな仕事を1980年代終わりから続けている。これまで取材通訳、電話取材、インタビュー翻訳をしたアーティストは数知れず。歌詞対訳したアルバムも数多く、近年は日本人アーティストから歌詞英訳の依頼もしばしば舞い込み、レコーディング時の発音指導も行っている。その愛情あふれる通訳/翻訳でミュージシャン、ライター、編集者からの信頼も厚く、取材現場やライブ会場で仲良しミュージシャンとハグする姿がしばしば目撃される。書籍『ミック・カーン自伝』(リットーミュージック刊)の翻訳も行っている。

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