音楽業界が待っているデモ音源ってどんなもの? 「コンペで勝てる楽曲の作り方!! 作曲家最前線VOl.2」レポート

コラム by 編集部 2013/01/07

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去る2012年12月12日、東京コンテンツプロデューサーズ・ラボにて興味深いセミナーが開催された。「コンペで勝てる楽曲の作り方!! 作曲家最前線VOl.2」と題されたこのセミナーは、アーティスト・マネージメントを長年手がけてきた山口哲一氏(バグ・コーポレーション)と、ジャニーズエンターテインメントのディレクターとして多数のヒット曲を手がけた後にフリーのプロデューサーとして活躍中の伊藤涼氏による、トーク・イベント。今回は「音楽業界はこんなデモ音源を待っている!!」というテーマが設定され、どんなデモ音源がコンペを通過できるかを解説していくとのこと。作曲コンペというのは、あるアーティストの新曲を作家に発注するのではなく、公募して選んでいくスタイルのこと。山口氏も伊藤氏も、コンペには応募する側と募集する側の両方でかかわった経験があるため、具体的なアドバイスが期待できそうだ。そのため当日は作曲家を目指す若者が多数詰めかけ、両氏のトークに加え、デモ音源のクリニックや質疑応答なども行なわれた。早速、その模様をレポートしていこう。

一般教養講義

イベントは、まずは音楽業界の一般教養とでも言えそうな6つのテーマに沿ったトークでスタート。その内訳は、1プロ音楽家の定義と種類 2プロ作曲家になるきっかけはどうつくる? 3プロ作曲家の持つべき倫理と業界常識 4コンペの勝ち方と仕事の増やし方 5コンペに勝ったら気をつけること 6長く音楽で食っていくためには というものだった。

どれも興味深いテーマだったが、随所にリアルな体験談なども挟みながら解説されるので、肌感覚で音楽業界のことが理解できた。これから音楽業界に飛び込もうという受講者には、とても刺激になったのではないだろうか。

質問コーナー

続くコーナーでは、受講者から事前に集められた質問に対して、山口氏・伊藤氏が答えていった。質問は”作曲を担当したアーティストに会える確率はどれくらいですか?”"発注を受けてから締め切りまでの最短期間は?”"時代や流行を意識した作曲のコンセプトや手法について教えてください”"ピアノやギター1本でのデモはアリですか?”"生計はどのように立てていますか?”などとバリエーションに富んでいたが、現役で活躍している山口氏・伊藤氏ならではの具体的な回答は、作曲家として生きていくこと、コンペで勝てるデモを作ることに対して、確かなビジョンを見せてくれた。

 

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▲伊藤氏(L)と山口氏(R)のトークの様子

デモ音源の生クリニック

そしていよいよ、受講者が持ち込んだデモ音源の生クリニックが始まった。1曲ずつ再生しては、山口氏・伊藤氏の講評と受講者とのディスカッションが続いていく。人前で自作曲が再生され、しかも評価されるということで、これは受講生にはかなりの緊張が強いられたはずだ。しかし「オケが歌の邪魔になっている」「歌メロをもっと目立たせた方が良い」「イントロが長すぎる」「ルーツっぽさとポップスは相反する」などのダメ出しは参考になったようで、多くの受講生がメモを取っているのが印象的であった。

そもそもコンペというものは、なぜ通らなかったのかは教えてもらえないわけで、こうしたアドバイスを生で受けられるのは貴重な機会と言えるだろう。単なるトーク・イベントではなく、こうしたインタラクティブ性があるのは、このセミナーの大きな特徴と言えるだろう。なお、残念ながら時間の関係で数名の受講者の作品が再生できなかったが、こちらはメールで講評が送られるとのことだった。またセミナー終了後は、別室にて講師と受講者の”名刺交換タイム”も設けられていた。受講生1人ひとりと話し込む山口氏・伊藤氏は、確かな手応えを感じていたようであった。

そして”山口ゼミ プロ作曲家になる方法”へ

今回のセミナーの高評を受け、2013年1月より”山口ゼミ プロ作曲家になる方法”がスタートするとのこと。これは山口氏・伊藤氏を中心に、有名サウンドプロデューサーの浅田祐介氏、島野聡氏、アニメソングのプロデューサーとして大活躍の佐藤純之介氏らが講師を務める少数精鋭の全8回の講座だ。本気で作曲家になりたい人は、参加されてはいかがだろうか?

山口哲一

1964年東京生まれ。株式会社バグ・コーポレーション代表取締役。
「SION」「村上”ポンタ”秀一」「村田陽一」等の実力派ミュージシャンのマネージメントを手がけ、音楽プロデューサーとして 「東京エスムジカ」「ピストルバルブ」「Sweet Vacation」などの個性的なアーティストを世に送り出した。
音楽における、ソーシャルメディア活用法の実践的な研究の第一人者でもある。プロデュースのテーマには、ソーシャルメディア活用、グローバルな視点、異業種コラボレーションを掲げている。
(社)日本音楽制作者連盟理事、『デジタルコンテンツ白書2012(経済産業省監修)』編集委員を務める。
著書に『ソーシャルネットワーク革命がみるみるわかる本(ダイヤモンド社)』
2012年10月25日リットーミュージックから『ソーシャル時代に音楽を”売る”7つの戦略』を出版。

伊藤涼

千葉県生まれ。2001年にアメリカ、マサチューセッツ州ボストンのBerklee College of Music卒業。帰国後、ジャニーズ事務所が運営するレコード会社Johnny’s Entertainmentに入社。
近藤真彦、少年隊、Kinki Kidsの音楽ディレクターを経て、2004年にデビューしたNEWSのプロデューサーになる。2005年には修二と彰の『青春アミーゴ』をミリオンセラーに導き、その後も山下智久のソロシングル『抱いてセニョリータ』のヒット、TEGOMASSをジャニーズ初の海外デビューや、タイの兄弟ユニットGolf & Mikeの日本デビューを仕掛けた。
2009年6月にJohnny’s Entertainmentを退社し、同年7月に株式会社マゴノダイマデ・プロダクションを設立。音楽に関する企画運営をしながら、フリーのプロデューサー・作家としても活動する。「ここにいたこと (AKB48)」「走れ!Bicycle (乃木坂46)」の作曲者。

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