それぞれの音楽を健やかに表現した、ジム・オルークと蓮沼執太@LIQUIDROOM 8th ANNIVERSARY フォト・レポート 2012.9.10

コラム by 土屋綾子(RandoM編集部) 2012/10/09

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蓮沼執太とジム・オルーク、気鋭アーティストの競演が、恵比寿リキッドルーム8周年のアニバーサーリーで実現した。当日の模様を、写真を中心にレポートしていく。

99年のソロ・アルバム『ユリイカ』やソニック・ユースでの活躍はもちろん、近年ではくるり、坂田明、大友良英、石橋英子ら日本のクリエイターとの仕事で活動の幅を広げているジム・オルーク。今回のバンド「レッドゼツリン」は、前作に続いてプロデュースした石橋英子のアルバム『Imitation Of Life』に参加した「もう死んだ人たち」のメンバーによるものだ。
MELT-BANANAの初代ドラマーを経て現在はuminecosoundsのベーシスト、レコーディング・エンジニアなども行う須藤俊明(b)、ヴァイオリンやチェロなど弦楽器で大島輝之のユニット「弧回(こえ)」にも参加している波多野敦子(violin)、山本精一や内橋和久、灰野敬二からカヒミ・カリィ、ハウシュカまで多岐に渡るアーティストと共演・活動する山本達久(Drum)、そしてPANICSMILEのドラマーのほか2010年に発表したソロ・アルバム『Drifting Devil』で注目を浴び、その後の活動も国内外で高い評価を受けている石橋英子(Piano)。スキルとセンスを併せ持った彼らは、今”一緒にやりたい”と思って集まっている面々だと言えるだろう。

対して、年明けから4枚組のアルバム『CC OO(シーシーウー)』を発表、その後も自身のアンサンブル「蓮沼執太フィル」を率いてのライブ・ツアーを繰り広げた蓮沼執太。CM委託作曲や展覧会、その他コラボレーションなども積極的に手掛け、周囲の人々を巻き込みながら活動を展開する姿は、若手クリエイターの中でも特に存在感を増している。

彼を囲むフィルのメンバーも、そうそうたる面子が揃う。
ドラムにはd.v.dやその他ライブ、サポートメンバーでもそれぞれ活躍しているイトケンとJimanica、ギター/ベースにはdetune.の石塚周太、ギターに蓮沼の長年の友人でもある斉藤亮輔。Jimanica、石塚、斉藤の3人は「蓮沼執太チーム」としてSUMMER SONIC 09にも出演した。
管楽器はサックスに音楽家/批評家の大谷能生、ユーフォニウム奏者の権藤知彦、フリューゲルホルンに三浦千明が参加。そしてバイオリン/ベースに千葉広樹、ビオラに手島絵里子、マリンバにK-TA、スティールパンに小林うてな、PAにはエンジニアの葛西敏彦、ボーカルに木下美紗都という大所帯だ。
さらに今回は、ライブ用に書き下ろされた楽曲のラップ・パートで環ROYが参加するという豪華バージョン。今年初めから管楽器隊を拡充した蓮沼フィルが、さらにもう1段階進化した編成でこの日に臨むこととなった。

演奏は、本番前のちょっとしたアクシデントのためか序盤は乱れたが、曲を重ねるごとに素早くリカバーしていった。そのプロセスも含めて普段よりもスリリングな印象を覚えたし、ステージ上でグルーヴの渦巻いていく様子が非常にリアルに感じられた。

「『蓮沼執太フィル+環ROY』ってことではなく、蓮沼執太フィルのラップパートを俺が演奏するって編成だったんだよ。そういうラップをやらせてもらえてスゲー新鮮で楽しかったよ。」ライブ後にTwitterでこう語った環ROY。彼を加えて演奏された新曲では、環がその日の蓮沼フィルのアクシデント話をアドリブでリリックに盛り込み、会場を沸かせた。
また蓮沼執太と権藤知彦のバースデーを祝うサプライズも行われるなど、MCや曲間はメンバーの和やかな雰囲気に会場とも包まれた。

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ジム・オルークとレッドゼツリンの時間。舞台袖からギターを演奏しつつ現れたジム・オルークは、激しい緩急を伴うプレイを開始する。つづいてメンバーが登場。石橋英子の赤いワンピースとタイツ、山本達久の赤いドラムセット、ジムの赤い木目のギターという”レッド”コーディネートがさりげない。「どの曲をやるかは毎回ステージで決めます。曲は実に難しくてメンバーはほとんど1年間勉強しています」とのことだが、ジムが出す音に瞬時に対応する、まさに丁々発止とも言えるメンバーの演奏を見るに、彼らは十分ジムのオーダーに答えられる技術があると再確認させられた。

最後はジムの97年のインスト・アルバム『Bad Timing』1曲目「There’s Hell In Hello But More In Goodbye」。耳馴染みあるメロディから始まり、徐々に恍惚感を覚える轟音へと移行していく。ジムを聴いてきた人には思いいれも大きいであろう曲。オーディエンスも喜びをもって観ていたことだろう。

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SET LIST(蓮沼執太フィル)

  1. wannapunch!
  2. Discover Tokyo
  3. Sunny Day in Saginomiya
  4. Door of the Cosmos(SUN RA cover)
  5. Shangfai
  6. Earphone&Headphone in my Head
  7. PLAY0
  8. YY2
  9. TIME
  10. Hello Everything
  11. 新曲(untitled)
  12. ONEMAN

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