フジロックフェスティバル’12 晴天・最高来場者数の3日間をレポート

コラム by 編集部 2012/09/18

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カンカン照りの太陽の下、苗場にただいま!はじめまして!の声が上がる。7月27~29日の3日間で今年も開催されたフジロックフェスティバル’12。数々の熱いステージ、日に日に黒くなっていくフジロッカー、おいしいフェスごはん……近年には珍しく3日間ともに好天に恵まれた中駆け抜けた当日の模様をお届けしよう。

1日目

初日GREEN STAGEのスタートを飾ったのはTHE BACK HORN。「始まったぞー、フジロック!!」の声に、ステージ前はもちろん来場直後で場所取り中の人々も踊りだす。ヴォーカルの山田将司は「最初にフジに出たのは13年前、ステージはLevi’s NEW STAGE(現ルーキー・ア・ゴーゴー)。そして今年、このGREEN STAGEに頭で出れることが嬉しい」とフジへの特別な思いを語った。

WHITE STAGEでもHEY-SMITHがスタートからトップスピードで走り出した。メンバーはすでに上半身裸。「ライブハウス出身だろ!みんな周れー!」と煽ると、またたくまにモッシュの嵐が巻き起こった。

アコギ1本でGREEN STAGEに1人現れたのは、2度目の来日となるエド・シーラン(ED SHEERAN)。伸びやかな歌声はもちろんのこと、その場でギターの音や声をループさせていきつつオーディエンスをアゲていくテクニックにも驚かされた。そのパフォーマンスに、彼を初めて見るであろう観客も曲が進むにつれて目が離せなくなっていく。フェスの醍醐味というものを感じられるステージの1つだった。

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木道亭で出くわしたのは3日連続出演のONDA VAGA。通りがかりに南米の香りを感じる心地よいサウンドに体を揺らしながらFIELD OF HEAVENに向かう。ONDA VAGAは2日目にレポートしていく。

FIELD OF HEAVENではハンバートハンバート×COOL WISE MANが登場。「ラストダンスは私に」「おなじ話」の陽気なスカ・アレンジが炎天下のこの時間にピッタリはまる。そして中盤、シャネルズの名曲「ランナウェイ」のカバーで観客は大盛り上がり!

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ここで再びGREEN STAGEに戻り、アダム・ヤングのソロ・プロジェクトであるアウル・シティー(OWL CITY)を拝見。すでに後半に差し掛かってはいたものの、スタートがやや遅れたためか数曲を楽しむことができた。キラキラ、ピカピカという表現がぴったりのポップな楽曲たちを次々に披露していく。デビュー・シングルであり名曲の「ファイヤーフライズ」ではアダムが観客にマイクを向け大合唱が起こった。

雰囲気はガラリと変わり、続いては2011年に続いて出演のThe Birthday。花柄シャツで現れたチバが「ハロー」と声をかけ、「ROKA」が始まった。「これだよ!」と言いたくなるような、皮膚がビリビリする疾走感あるロックに自然と体が揺れ、拳が上がる。「Buddy」「ゲリラ」「なぜか今日は」などなど、あっという間に駆け抜けラストの「Storm」を演奏し終えると、「ありがとう、また来年」とチバは言い残し、鮮やかに去っていった。

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オアシスの曲をやる、と当初よりリアム・ギャラガーが語っていた今回のBEADY EYEのステージ。 その予告どおり「ロックンロール・スター」「モーニング・グローリー」の2曲が披露されると、会場は大合唱に包まれた。リアムは「ロックンロール・スター」をノエルに、「モーニング・グローリー」をノエルのバンドであるハイ・フライング・スマーフスに捧げると語った。

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ここでWHITE STAGEに移動し、DJ KENTAROの超絶ターンテーブル・テクニックをステージ後方&上部のモニターで堪能!去る6月27日に発売された「CONTRAST」のリリースツアーのファイナルに位置づけられた今回、満を持してのWHITE STAGEということで、集まった観客も昼間にたまった熱気を大放出する踊りようだ。後半、スペシャルゲストのFIRE BALLが登場すると会場のテンションもさらにうなぎ登り。フジロックの夜も本番だ。

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「今観るべき」という意味ではGREEN STAGEのThe Stone Rosesとどちらを観るか本気で迷うところである。初日WHITE STAGEのトリを飾ったのは、2011年世界を席巻したポストダブステップの新星、ジェイムス・ブレイク(JAMES BLAKE)。2人のメンバーとともに落ち着いた雰囲気で現れると、アルバム『ジェイムス・ブレイク』からの楽曲を中心に披露していく。注目すべきは複雑なループやシークエンスなどを、メンバーがその場で構築/演奏しているということだ。そこに重なる透明感ある歌声と、反して喉が圧迫されそうなほどの超重低音は心を掴まれるに十分。トリにふさわしい、圧巻のステージを見せてくれた。
これにノックアウトされ、続いてRED MARQUEEで行われた彼のDJセットへ向かった人も多かったであろう。

2日目

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2日目はスティーヴ・アルビニをプロデューサーに迎えた2ndアルバムを1月に発売したCLOUD NOTHINGSから。ステージから客席を撮影するなど緩い雰囲気な彼らだが、演奏は疾走感に溢れたオルタナ・ロックで、否応なくテンションを上げさせてくれた。

続いてWHITE STAGEに現れたのは、インスト・ロックバンドMONOが20名規模のオーケストラと編成したMONO with The Holy Ground Orchestra。強い日差しの中に現れた白昼夢のような、物語性の高いステージを見せてくれた。

少し出てきた風が心地いいORANGE COURTへ、ONDA VAGAに会いに行く。アコギ、クアトロ、トロンボーン、カホン、トランペットの編成でお祭り気分を盛り上げる彼らの周りにはすでに大勢の観客が集まっていた。コーラスのハーモニーが美しい「オンダ・バガのテーマ」でゆったりと始まったと思いきや、一気にノリのいいサウンドへ。そしてザ・タイマーズの「デイ・ドリーム・ビリーバー」が披露されるや場内のテンションは最高潮を迎え、サビではOGANGE COURTじゅうが大合唱となった。

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入場規制が入るほどの人、人、人。今年のフジ中人口密度No.1だったのはWHITE STAGEのサカナクションだったのではないだろうか。1曲目「バッハの旋律を夜に聴いたせいです。」の途中でやっとのことでステージが見える位置までたどり着いた。誰もが耳にしているであろうヒット・チューンの連続で会場は終始大合唱だ。「僕の花」の後は、登場時につづいて再びクラフトワークさながらにメンバーが横一列にMacを操るフォーメーションとなり「僕の花(remix)」を披露。と思うと、流れるようにバンド形態に戻って「ネイティブダンサー」へ、切れ間なくとことん躍らせてくれる。とともに、演奏にピッタリと合ったライティングとレーザーの演出といった魅せ方も抜群にいい。

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人波があまり引かないのは、続くジャスティス(JUSTICE)を待ちわびる観客のため。着々とステージの準備が進む中、ファンにはおなじみの例のセットが現れた。積み上げられたマーシャル・アンプの塔が両側に鎮座し、間にデジタル機材のデコレーション、そして中央に発光する十字架。その住人であるグザヴィエ・ドゥ・ロズネとギャスパール・オジェの2人が現れ演奏が始まるや否や、観客は緩急あるダイナミックなエレクトロ・サウンドに操られ踊り狂う。背後のネオンとアンプの塔、そして発光する十字架……と思うと十字架セットが左右に開き、中からピアノが出現して演奏が始まったり、終わるとセットも閉じたり。演出にも度肝を抜かれっぱなしのステージであった。

3日目

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ニューオーリンズを拠点にジャズのみならずファンク、ヒップホップの要素を取り込んだ多様な音楽性とライブのクオリティの高さから人気を集めるギャラクティック(GALACTIC)。今回はスペシャルゲストとしてLiving Colourのコリー・グローバー(Corey Glover)とRebirth Brass Bandのコリー・ヘンリー(Corey Henry)が参加した。お腹に響くスタントン・ムーアのドラムから始まり、すこぶるソウルフルな歌声を聴かせてくれるコリー・グローバーと縦横無尽にトロンボーンを吹きまわるコリー・ヘンリー。GREEN STAGEは一気にアッパーなムードに包まれた。

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実に10年ぶりのフジロック出演となった井上陽水は、「リバーサイドホテル」「氷の世界」「夢の中へ」「少年時代」……日本人なら誰もが知っている名曲を、惜しげもなく次々に披露していく。途中のメンバー紹介や「みんな、ありがとう、サンキュー」という言葉。そしてラストは「傘がない」。多くの”誰か”の人生を形作ってきた音楽を目の前にして、嬉しくも厳かな気分にさせられる。ドラムに山木秀夫、ベースに高水健司、キーボードに小島良喜、佐藤準、ギターに長田進と名プレイヤー達をバンド・メンバーに従え、長いキャリアに醸成された貫禄のライブ・ステージングを見せ付けてくれた。

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ジャック・ホワイト(JACK WHITE)名義でのソロ活動開始から、男性のみ/女性のみのバンドを引き連れ、どちらと共にステージに上がるかを当日決めているという彼が本日選んだのは、女性のみのTHE PEACOCKS。面々は水色のワンピース、ジャックも同じ色の衣装とテレキャスターで現れた。ライブはホワイト・ストライプスの「Dead Leaves and the Dirty Ground」で始まり、彼のキャリアを彩る名曲の数々を披露。THE PEACOCKSの各メンバーとの見せ付けるようなコンビ・プレイも目に楽しく、ハッピーな気分にさせられる。が最後の超名曲「Seven Nation Army」のギターが始まると、一気に男気モードにスイッチ。ギター・ヒーローの圧巻のパフォーマンスを120%楽しめるステージだった。

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根をはってしまっていたGREENを一旦離れ、初出演のジェームス・イハ(JAMES IHA)を観にRED MARQUEEへ……と思ったのだが、時すでに遅し。会場をはみ出るほどの観客で、とても中には入れそうにない。伸び上がってやっと姿が見られるという位置で、終盤の「Speed Of Love」を聴く。Facebook上で今回の演奏曲リクエストの受付を行っていただけにセットリストが気になっていたが、次に披露したのはスマッシング・パンプキンズの「Mayonaise」! 驚きと感激が会場を包んだのは言うまでもない。ジェームス・イハは9月末に再び来日予定だ。

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デビューから実に35年を迎え、今回出演のElvis Costello & The Impostersでロックの殿堂入りも果たしたまさしく御大、エルヴィス・コステロが夜のGREEN STAGEに現れた。「Lipstick Vogue」「High Fidelity」「Radio, Radio」と70~80年代の今も色あせることのない名曲を次々に、全開で疾走していく。ほぼ休みなしの全14曲、会場は大いに沸き立った。

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後ろのほうまで人がみっちり集まっていながら、そわそわした静けさも漂う。ただじっとレディオヘッド(RADIOHEAD)を待つ、約4万人。ステージ後方には12台の正方形ディスプレイ、客席前方の画面もそれに合わせて6分割されている。トム・ヨークらメンバーが登場し「Lotus Flower」の演奏が始まると、それらの画面には各メンバーの手元や顔が映し出された。曲調につれて青から赤へ変化していく照明と呼応するように、山向こうの雲に雷が光る。「Idioteque」で一旦ステージを去ってしまったが、これで終わるわけがない!という期待のアンコールに呼び戻された。前半は最近の曲が中心だったが、後半は「You And Whose Army?」「Planet Telex」と、”レディヘ世代”には痺れる曲のオンパレードだ。トム・ヨークのマイクに取り付けられた数台のカメラが彼の顔面をクローズアップでディスプレイに映し出し、フェティッシュな雰囲気を醸し出した。最後は「Paranoid Android」と実に贅沢なセット・リスト。はじけるような感覚ではないが、”静かに燃え尽きる”そんな気分で、フジロックの幕は降りた。

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