東京の一軒家、12面体スピーカーでevalaのライブを聴くひと時「トウキョウの家宴」

コラム by 土屋綾子(RandoM編集部) 2012/07/20

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6月10日、中野のAKICHI RECORDSオフィスにて、「トウキョウの家宴(いえうたげ)」第2弾が開催された。家宴とは、12面体スピーカー「scenery(シナリー)」をはじめとした音響機器を自作する鶴林万平氏が奈良にある自身の自宅を「sonihouse」と名づけ、人を招いて音楽と食事を振舞うイベントのこと。今回はその東京出張版の第2弾であり、サウンド・アーティストevala氏のライブ、その後に音楽評論家の高橋健太郎氏と会場の家主である山崎真央氏のトークが鶴林氏の進行で行われ、20人の観客が集まった。

今回出演したevala氏は、日本科学未来館で今年3月から6月11日まで行われた企画展”世界の終わりのものがたり ~もはや逃れられない73の問い”でsonihouseの「scenery」と14面体スピーカー「sight」を用いたサウンドデザインを手掛けたほか、5月末にYCAMで行われたコンサート公演”sound tectonics #11「鈴木昭男; Studies in Sonority and Space」”で、サウンド・アーティストの鈴木昭男氏と「scenery」を使ったライブをおこなっている。

1部は、evala氏によるライブ・パフォーマンス。会場は中央に向かって設置された4台のsceneryに囲まれてランダムに座席が並べられており、参加者はまさに四方を音に取り囲まれたような形だ。水の音などの環境音やピアノの生々しい音と電子音を組み合わせ、即興的に音を配置し、重ねていく。それが外を通り過ぎる車の音、草葉のこすれる音、木造家屋の家鳴りなどと区別が付かなくなっていき、本当に雷が鳴り、雨が降っているのかと思ってしまうほどだ(後半のトークで鶴林氏はこれを「耳が開いているのがわかる」と形容していた)。観客はその不思議を味わうように、目を閉じ、耳だけを澄まして音場に身を任せていた。

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次に行われたevala氏と高橋健太郎氏、山崎真央氏、sonihouse主宰の鶴林氏を交えてのトークでは、evala氏のライブを受け、フィールド・レコーディングに話がおよぶ。

鶴林氏は「環境音というのは、バックグラウンドとしての機能があるものだと思っているけれど、evalaさんの音はとてもモノ的な響きという感じがします。それが電子音楽の響きと対等にあって、両方が同じレベルで拮抗し、同調している。こういった音は聴いたことがなかったんです。フィールドレコーディングの音なのに、evalaさんの音にしか聴こえないんです。」と感想を述べると、evala氏は「僕は客観のフィールドレコーディングは好きではないんです。それは主観であればあるほどおもしろい。子供が聴診器で遊ぶみたいに近視眼的に音を探しています。そうやって集めた時間も場所も異なる音たちがあわさって、新しい空間が立ち上がり、音楽が響きだす瞬間に出会うことは僕にとってとてもエキサイティングなんです。」と語った。

その後も、先のYCAMでのライブや、3月に東大で行われた「コンポジウム」でのインスタレーションのエピソードなどをまじえて”環境と音”"時間と音”について多様な意見が交わされた。

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「今回のためにこのスピーカーが設置されたということは、この環境は今この時間にしかないということ。1回限りの場を作ってそこで何が起こるか?を手探りながらやるのはフレッシュでいいですね。」とは高橋氏の談。ライブハウスやスタジオなどで音楽を聴くのとは違った感覚を受けられるという意味で、確かにやや特殊なイベントと言えるだろう。

家宴の締めくくりには、トラネコボンボンによる料理が登場。車麩の揚げ物や野菜を豊富に使ったサラダ、漬物など大ボリュームのメニューに舌鼓を打ちながら、参加者同士交流を深めていった。

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