オオルタイチ インタビュー ~ 変化する感性のままに生み出された新アルバム

コラム by 土屋綾子(RandoM編集部) 2011/01/18

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1月23日(日)に待望のニューアルバム『Cosmic Coco, Singing for a Billion Imu’s Hearty Pi』を発売するオオルタイチ。プリミティブかつ宇宙的な音楽に非言語の歌詞が乗るという特徴的な楽曲スタイルと、即興的なエフェクトを交えたライブ・パフォーマンスなどから、今注目を集めているアーティストの一人だ。本記事では、「奇才」とも称される彼の楽曲制作環境、発売する新譜について伺った。オオルタイチは終始丁寧な物腰でひとつひとつの質問に答えてくれた。
記事末尾ではオオルタイチからのメッセージ・ムービーも公開中!

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OORUTAICHI

1999年に活動を開始。打ち込みのトラックの上に非言語による”歌”をのせるスタイルを展開。オオルタイチとしてのソロ活動以外にもバンド・ウリチパン郡をはじめとしたさまざまなユニットのほか、トクマル・シューゴなど他ミュージシャンへのリミックス提供から舞台、演劇への楽曲提供など幅広い活動を行っている。

http://www.okimirecords.com/

–まず、オオルタイチさんの楽曲のイメージについてお尋ねします。
ポップで個性的なリズム/メロディーはどのように生まれたのですか?

音楽的な遍歴はいろいろとあるんですが、打ち込みを始めたのはダンスホールレゲエの影響が大きいですね。それまで即興で音を重ねていくというやり方で、完全に生の世界でやっていたんですけど、そのダンスホールレゲエに衝撃を受けて、今まで生でやってきてた世界観と打ち込みの世界観が同時に出せそうな予感がして、それでRolandのシーケンサーとサンプラーを買ったのが始まりです。
ただハードのシーケンサーとサンプラーを使っている期間はそんなに長くありませんでした。Macを使ってすべてその中でやったほうが安上がりだし、いろんなことができると思って、そこからどんどん打ち込みにのめりこんでいきました。
その間にエイフェックス・ツインやドアーズの楽曲に出会って、その世界観とかがオオルタイチとしての活動をやる大きなきっかけになりましたね。
で、その後2003年にオオルタイチとしてファースト・アルバムを出しました。

今回のアルバムを出すまでにもさらに変化があって、前までは自分のリズム感が、聴く人によっては土着的な感じだったと思うんですが、そこをもう少しストレートなビートの感覚でやりたいなという思いが出てきました。

–「オオルタイチ語」とも言われる非言語の歌詞はどのように作られるのですか?

歌詞は完全に即興で作ります。最初にバーッと歌って、その後に語感を意識して細かく書き出してみて、最終的に一番いい文の形にしていきます。

–それは、その抑揚やイントネーションが「何かの言葉っぽい」という方向に持っていくのですか?

いえ、完全に語感だけを意識していますね。意味とかはないけどめちゃめちゃというわけでもないのですが、メロディと語感との兼ね合いですね。何回か即興で録っていて「あ、今のいいテイクやったな」と思ったらそこをブラッシュアップしていくみたいな感じです。

–ありがとうございます。では次にオオルタイチさんの楽曲制作環境を教えてください。ライブではABLETON Liveを使っていましたが、制作時もLiveを使っているのでしょうか?

制作時はCubase SXを使っています。オーディオインターフェースはTC electronicのKonnekt 24Dを使用しています。
以前までMacを使っていたのをWindowsに変更したのですが、そのときに使用していたものがWindowsと相性がよくなくて。そのときにちょうどKonnect 24Dが評判がよかったので購入しました。
楽曲の7割はソフトシンセをMIDIで打ち込んで、3割はラインでハードのシンセを使ったりしています。マイクはほとんどボーカル録音に使っていますが、たまにギターの音のサンプリングにも使いますね。

–ハードウェアシンセは何をお使いですか?

今回の作品では80年代っぽい音が欲しいところがあったので、80年代のリズムマシンとか、YAMAHAのDX7とか、いくつか機材を購入して録りました。
今回リズムマシンは結構買いましたね、安めのものですが、すごく買ってよかったのはKAWAIのR-100っていうやつで、マイナーでめっちゃ安いやつなんですけど、音はLinnDrumみたいないい音が出るんです。KAWAIはとにかくよかったです。安いし、音作りも細かくできたりとかしますし。

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–音をとるときにこだわっていることはありますか?

ボーカルはなるべくスタジオに入って録るようにしています。そのときにこだわっていることは……音質も大事にしたいんですが、その場の勢いも重要だと思っています。なので、スケッチのような状態のものを最初に勢いで録って、それを元にちゃんとしたものをスタジオで録って、というパターンが多いかも知れないです。

–ミックスについてですが、今回はある程度まで自分で仕上げてからエンジニアに最終的なミックスをお願いしたと伺いました。そのときに、「ここまでは自分でやる」という基準みたいなものはあるのでしょうか?

今回の作品に関して言うと、当初はミックスまで自分でやろうと思っていたのですが、2か月くらい前に、エンジニアの葛西敏彦くんと偶然知り合えたんです。
そのときスケジュールもばたばたでミックスもどこまでできるかな?という感じだったんですが、葛西くんが連絡をくれて「もしよかったら手伝うよ」と言ってくれたんです。それで4曲、彼にお願いしました。ミックスした楽曲がそろったところで、マスタリングを出す前にプレマスタリングをしたのですが、ここもすべて葛西くんにやってもらいました。

–その上でニューヨークのマスタリング・エンジニアにお願いしたのですね。

そうです。ジョー・ランバート(Joe Lambert)というエンジニアで、JLMsoundというスタジオに所属しています。音楽のジャンルは幅広くやっている印象ですね。
海外でマスタリングしたら楽曲のイメージに広がりが出て、いいんちゃうか?ということでエンジニアを探していたんですけど、僕が好きなアーティスト……ダーティ・プロジェクターズ(Dirty Projectors)や、モーガン・ガイスト(Morgan Geist)の作品をマスタリングしているのでお願いすることに決めました。

–では次にライブでの環境についてお聞きします。ライブの構成はPCとミキサーですね。

はい。PCはWindowsで、ミキサーはMACKIEの1402-VLZ3です。

–準備段階で、エフェクトや音素材をどのように準備しておくのですか?

VSTのプラグインをたくさん持っているんですが、その中から一番ライブで効果がありそうなものを選んで、それを随時コントローラーでコントロールできるようにインプットしています。
ライヴでは、ピッチシフターとかアイソレーターのようなものをいくつかのプラグインを組み合わせて同時に作用させたりをよくします。あとは瞬間的にちょっとホワイトノイズが出るようにしたり。そういう感じですね。
ライブでトラックを流すときは、昔の楽曲は今の曲よりも音圧が低かったりこもっていたりするので1回自分でマスタリングしなおしたものを2ミックスで流しています。その上に歌を載せている状態なのですが、その歌にエコーをかけたりとか、音のほうにLiveでエフェクトをかけたりしています。

–それはその場に応じて即興的にやっていくのですか?

そうですね。突発的に入れていきます。

–ありがとうございます。では次に新譜についてお聞きします。今までの曲はトライバル感が強かったと感じられるのですが、今回の作品はよりエレクトロな要素が強まった印象があります。ご本人としても今までの楽曲と違う点が多いと感じますか?

そうですね。リズム感の好みが変わってきて、もう少しストレートなビートでも自分のやりたいことが出来るのではないかという発見があったのです。
アルバムの中で「Futurelina」という曲があるのですが、オオルタイチとしてすごく久しぶりに作って、すぐに出来上がった曲なんです。「こんな感じの曲も自分の中から出るんやな」と思って、きっと「Futurelina」を作るまでに蓄積されていたものがここで一気に出てこの形になったんだと思います。こういう4つ打ちっぽいというかエレクトロっぽい感じでも自分のやりたいことはできるんやなあという発見になった曲でした。
「Futurelina」を糸口にしてこのアルバムが出来上がりましたね。

–ボアダムスのEYE、デイダラス、OOIOOのOLAibi(オライビ)と豪華なアーティストがアルバムに参加していますが、どのようなきっかけで実現したのですか?

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最初に声をかけたのはOLAibiさんなんですが、あの人は独特の世界観を持った音楽をやっているし、僕のやっている音楽とうまくクロスできるんではないかなと思って頼みました。
EYE さんには「Futurelina」のリミックスをお願いしました。お忙しいそうだったのですが「やっぱりやりたい」と言ってくださって。実はEYE さんは僕がすごく前にCD-Rで曲を出していたときから買っていただいてたみたいなのですが、つい先日ある雑誌で対談する機会があって、そういうことなどもあってお願いできましたね。
あと、最初に国内・海外それぞれのアーティストにこのアルバムに参加してもらおうという話があって、いろんな方を候補に出していたんです。
デイダラスは、彼の奥さんとやっているLONG LOSTの神戸でのイベントを去年僕が企画して、そのときの縁もあって頼みたいなと。
それもすっごい早かったですね。楽曲を送ってすぐに「めちゃめちゃいい調子で進んでる」ってメールが来て、その2日後、正味4日くらいで来ました(笑)。それも2ミックスだけで。
U-Zhaanはかなり急遽のお願いでした。曲自体は結構前から出来てて、でもタブラのツブ状の速いビートの感じっていうのが頭にあって。で「U-Zhaanにお願いしようかなー」となんとなく思っていたら、ちょうどぜんぜん関係ないことで彼から電話が来たので、その時に勢いて「やってくれないですか?」とお願いしました(笑)。その録音は僕の自宅でしました。

–ありがとうございます。最後に、読者のみなさまへメッセージをお願いします!
(内容は以下動画を参照)

オオルタイチ イベント&ライヴ・スケジュール

  • 2011年2月4日 (金) Phew 「Five Finger Discount」 発売記念ツアー
    心斎橋Club Quattro
    OPEN 18:00 / START 19:00
    LIVE: Phew (with 石橋英子、ジム・オルーク、山本精一、山本達久、山本久土、向島ゆり子、bikke (guest)) / guest: OORUTAICHI
  • 2月6日 (日) presented by contrarede x 森雄大(neco眠る) LIARS Japan Tour 2011
    大阪sunsui
    OPEN 18:00 前売4,200円 / 当日4,700円 (+1D)
    LIVE: LIARS / OORUTAICHI / オシリペンペンズ / and more…
  • 3月11日 (金)“JAD FAIR (USA) & PSXO (USA) JAPAN TOUR 2011″
    大阪sunsui

    OPEN 18:00 / START 19:00
    前売3,000円 / 当日3,500円
    LIVE: JAD FAIR (from USA / Half Japanese) / OORUTAICHI & YTAMO / PSXO(from USA) / M.A.G.O.
  • 3月21日 (月・祝)MaNHATTAN TOUR “Giant Stomp”
    大阪sunsui
    OPEN 17:30 / START 18:00
    前売2,500円 / 当日未定
    LIVE: MaNHATTAN (赤犬 /ex The Miceteeth) / OORUTAICHI / みにまむす / カスカシオ

OORUTAICHI, Singing for a Japanese Pi Tour

  • 2月25日 (金) 札幌 Spiritual Lounge
    OPEN 18:30 / START 19:00
    前売2,000円 / 当日2,500円 (D別) Lawson ticket Lコード:14942 (12/30発売)
    LIVE: OORUTAICHI (with VJ SphinkS) / マレウレウ / ヒゲの未亡人 / マイク・チェッカーズ
  • 2月26日 (土) 東京 SuperDeluxe
    OPEN 18:00 / START 19:00
    前売2,800円 / 当日3,300円 (D別) e+ 1/8発売 (e+ 11:00~, SuperDeluxe 15:00~)
    LIVE: OORUTAICHI (with VJ SphinkS) / 康本雅子 / キセル。DJ: Shinco (スチャダラパー)
  • 2月27日 (日) 仙台 Club Shaft
    START 19:00
    前売2,000円 (1D) / mobile members 2,000円 (2D) / 当日2,500円 (1D) (予約はお店まで)
    LIVE: OORUTAICHI。Guest DJ: Kamatan (PANGAEA)。DJs: BOW (ZUNDOKO DISCO) / Ryo Kinoshita (Vinyl Diz)。ART: Kaz.。and more…
  • 3月4日 (金) 金沢 social
    OPEN 21:30 / START 22:00
    前売2,000円 / 当日2,500円 (ともにw/ 1D)
    LIVE: OORUTAICHI (with VJ SphinkS) / ヒゲの未亡人。DJs: Lomanchi (PPTV/Aspara) / モカ
  • 3月5日 (土) 名古屋アポロシアター
    “石橋英子『carapace』/オオルタイチ『Cosmic Coco,Singing for a Billion Imu’s Hearty Pi』 double release party”
    OPEN 18:00 / START 19:00
    前売2,500円 / 当日3,000円 (D別) e+、Lawson ticket Lコード:48017, Pia 127-077 (1/15一般発売)
    LIVE: 石橋英子 (with ジム・オルーク、須藤俊明、山本達久) / OORUTAICHI (with VJ SphinkS)
  • 3月6日 (日) 大阪ブリーゼ小ホール
    OPEN 17:30 / START 18:00
    前売3,000円 / 当日3,500円
    LIVE: OORUTAICHI (with VJ SphinkS) / 康本雅子 / and more..
  • 3月8日 (火) 福岡 Voodoo Lounge
    OPEN 18:30 / START 19:00
    前売2,000円 / 当日2,500円 (+1D)
    予約:yokotin_bアットhotmail.com
    LIVE: OORUTAICHI (with VJ SphinkS) / ヒゲの未亡人 / nontroppo / 525 stockton / and more…
  • 3月12日 (土) 沖縄 浦添groove
    OPEN 19:30 / START 20:00
    前売2,500円 (D別) / 当日2,800円
    予約:ishikur0アットgmail.com (0は数字のゼロ)
    LIVE: OORUTAICHI (with VJ SphinkS) / ヒゲの未亡人 / ピラルク / びおんオーケストラ / 桐尾渓と外野席 / おそるべき / サノケイタ。DJ:目利きのできる毛が三本(DJきらきら富山さん、DJ大爆笑、DJもしもし)

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