音楽あるある話からエフェクター愛まで……「女子高生エフェクターを買いにいく!!」作者・まつだひかりの正体に迫る!

コラム by 土屋綾子 2014/02/21

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2月上旬、ニコニコ動画とYouTubeにあるアニメ作品がアップされました。題して「女子高生エフェクターを買いにいく!!」。この作者で、自身もバンドを組んでいるまつだひかりさんと、制作に協力したバンドメンバーであり夫のこいちさんの正体を知るべく、突撃してみました!

「女子高生エフェクターを買いにいく!!」はギターを始めたばかりの女子高生が楽器店に出向き、エフェクターを購入するまでが描かれているのですが、これがまた経験者にとっては、端々に現れるあるあるが他人にシェアせずにいられないんです。
それほど強い共感を呼んだこのアニメ、制作したのはいったいどんな人なんだろう? ということで、作者のまつだひかりさんを直撃しました! ギター・マガジン編集部の尾藤も同席し、“楽器あるある”についてはもちろん、2人のエフェクター愛、そしてオリジナルなイベントやバンド活動などについてトークしました。

エフェクター愛、メタルゾーン愛

―弊社(リットーミュージック)内でも、過去の青い自分を思い起こしては甘酸っぱい気分になる者が続出しました。

まつだ:ありがたい話ですねぇ。そう言っていただけるとうれしいです! 絵は趣味でずっと描いていて、いつだかからエフェクターと女子高生のつながりで絵を描くようになりました。

―それはまたなぜ?

まつだ:どっちもかわいいからです。かわいいものとかわいいものを組み合わせたら最強だ! と思って。そしてここは普通の女の子ではなく、女子高生だろうと。

―エフェクターがそれほどまでに好きになったのは、もちろんバンド活動が影響しているわけですよね。

まつだ:それもありますし、主人(こいちさん)の影響も大きいですね。もともとは主人がエフェクターや機材を集めるのがものすごく好きで。

こいち:で、いらないものとかあげて。

まつだ:それをかわいいかわいい!って。

尾藤:そしてメタルゾーンへ行ったと(笑)

―Twitterでもメタルゾーンのイラストがものすごい多いですよね!

 

まつだ:メタルゾーンが手に入りやすいんですよね。あとはやっぱりかわいいのが一番。

尾藤:メタルゾーンって絶妙にキャッチーなエフェクターですよね。すごく共感します(笑)。

まつだ:中高生御用達っていう感じがあるんですよ。

こいち:あと店員に勧められるんです。

まつだ:「やっぱいろんな音作りするんならコレっすよね!」って。

尾藤:数年前、大友良英さんにインタビューした時にメタルゾーンの話で盛りあがったことがあって。大友さん曰く「このエフェクターはメタルを弾くモノじゃない」そうです(笑)。アンプのナチュラルな歪みをもとにメタルゾーンを使って凶悪なフィードバックを作る時にメタルゾーンが活躍していると話していました(笑)。

一同:爆笑

尾藤:そういう意味でも魅力的なエフェクターですよね。

まつだ:そう、フィードバックがめちゃくちゃかっこいいんですよ、メタルゾーンは。派手ですしね。

―メタルゾーン好きは一定数居るんですね。ニコニコ動画で「大量のメタルゾーンを繋いでけいおん!のOPを演奏」っていうのがありますよね。最初3個で、こういう感じか~とか思っていたら終盤で6個になって、そこからが音としてはもうよくわからないっていう(笑)。

※YouTubeで観る

まつだ:ありましたね(笑)。そういう、踏んだらすぐ(音色で)わかるっていうところが好きですね。でもその名前からかネタ的な見られ方もあって、そこもまた愛着が沸きますね。

尾藤:コンプもあるあるですよね。最初に買っちゃって、使っても音が劇的には変わらないという(笑)。エフェクターは全部歪むものだと思って買うと、そういうことが起こるんですよね。

こいち:コンプレッサーは上級者向けですよねー。お金出して買う最初のエフェクターは歪んでほしいです。

―そういう予期せぬ出会いがあるってことは、試奏しないんですねぇ。私もお店だと緊張してあまりやりませんけど……。

こいち:ギターがあまり弾けない時期にエフェクター買いに行くと、そういうことが起こりがちですよね。

尾藤:メタ子はそこで心が折れなかったから買えたということですね。

まつだ:次回はメタ子も、よりスタンダードなエフェクターを購入できるようになればと(笑)。

こいち:好きなミュージシャンの足元にならって買ってみて、思ってた音と合ってるか違うかの試行錯誤もありますしね。

尾藤:入り口はそれでOKで、どんどん失敗してわかっていくものですよね。

こいち:そうですね。それに、まだ技術が追いついてなくて使いこなせないっていうのも「あれ?」となる理由のひとつだと思うんです。

まつだ:いくつかエフェクターを使ったり、アンプで音作りができるようになってから、メタルゾーンの価値がわかってくると思います。なんでもそうですけど、食わず嫌いで使わないなんてもったいない。

こいち:メタルゾーンももっとみんな使うといいですよ。改めて使ってみると新しい発見があるかもしれない。

まつだ:そうそう。

―メタルゾーンに対する萌え方がありますね、お2人とも(笑)。

こいち:って言ってると僕らメタルゾーンの営業をしてるみたいですね(笑)。

▲まつださんが一番好きなエフェクターを持ってきてもらいました。左がメタチュー(メタルゾーンの蓋を交換して塗装を変えたもの!)、右がメタルゾーン。おすすめのセッティングは「単体で!」とのこと。

▲まつださんが一番好きなエフェクターを持ってきてもらいました。左がメタチュー(チューナーにメタルゾーンの蓋をつけて本体を塗り変えたもの!)、右がメタルゾーン。おすすめの使い方は「バッファを前に挟む!」とのこと。

「ゆがみ系」は誰もが通る道……

尾藤:アニメの最初で「歪み(ゆがみ)系」って出てきますよね。僕も編集部入ったばかりのころ間違えて怒られました。

―私も入社当初、会議中に思いっ切り「ゆがみ」って口走って、先輩に笑ってない目で「ひ ず み」と言われたことがあります。

まつだ:そうなんですか! 確かに文字だけで触れていたら分からないですよね。

こいち:軽音楽部に入ってたりしたら「ひずみ、だぜ」って先輩から言われる瞬間があると思うんですよね。それで代々受け継いでいくみたいな。

まつだ:家で1人でこっそりやってる人は、あれを「ゆがみ」って読んでそのままでいることが多いと思います。

―……私軽音楽部だったんですよね……。

一同:あれええ~~~!?

―私はベーシストでそのころエフェクターにまだまだ意識が向いてなくてですね……。ギタリスト同士が話してることは分からないなと思っていたんです。

尾藤:男の子同士の話って感じですよね。

まつだ:エフェクターって、ミニ四駆とかそういうものに近い存在って感じがしますもんね。

―そういったあるあるネタは人から聞いたりするんですか?

まつだ:だいたいは(こいちさんと)2人で話したり、あとは自分の経験だったりが元になってますね。あと「ないない」もやってます。Twitterとかで1枚絵で出したりしてます。

 


尾藤:うちでも初心者向けのページがあるんですけど、そこは「あるある」の宝庫かもしれないですね。アンプの使い方の手順とか、アーミングとはなんですか?とか。

―わからなくても何とかなっちゃうがために、自己解決してることって多々ありますよね。

実家の蔵を改造して開催している「蔵フェス」

―まつださんはバンドを2個やっていて(nakanoiseバンド、デロッピードロッピー)、加えて「蔵フェス」っていうイベントをやっているんですよね。

まつだ:はい。実家の蔵で音楽イベントをやってます。蔵の中を改造して、ちょっと防音して機材も置いて。ちっちゃいライブハウス、とまではいかないけれど、できる限りの設備を整えてライブができるようにしました。
デロッピードロッピーのメンバーでもある兄が主に企画して、気になるバンドが居たら声をかけてやってます。

―実家ということは、ご家族も音楽好きだったりするんですか?

まつだ:そうですね。父がレコード好きで集めていて、子供のころから聞いていましたし。だから蔵を改造するってときも「もう蔵使わないからいいか~」って反応で。
そもそも実家の場所が駅からすごく遠くて、スタジオに行くにも長距離を移動しないといけなかったんです。それもあって「蔵、ちょうどいいじゃん。ここスタジオにしよう」となって。夏場でなければ蔵でも大丈夫です(笑)。

こいち:夏の蔵フェスはやばかったね。床がみんなの汗でびっちょびちょになってた。

まつだ:TIALAっていうハードコア・バンドを呼んだので、そのときはみんな死にそうになってましたね。酸欠状態で。

―蔵フェスは過去何回やっているんですか?

まつだ:20回です。不定期ではありますが。家族が協力してくれて、母がカレーをつくってお客さんにふるまってくれるんですよ。お客さんには一応参加費だけ、お酒飲まない人は1,500円、飲む人は2,000円で飲み放題。

こいち:あとはライブ観てても、外で遊んでてもいいっていう感じで。

まつだ:最初は身内だけでやってたんですが、最近ぽつぽつ知ってもらってて、知らない人から「行っていいですか?」って連絡が来ます。ただ場所が遠いので、「成田空港駅まで来てください」って言って、

尾藤:そこから飛行機に乗る、と思いきや。

まつだ:車で迎えに行きます(笑)。

―蔵のキャパはどれぐらいですか?

まつだ:うーん、ぎゅうぎゅうに入って30人ぐらいかなぁ……。完全アットホームなイベントですよ。あと来られなかった人のためにUSTREAMを配信しているんですけど、田渕ひさ子さんと吉村秀樹さんが観てくれたり。そのときだけ閲覧人数増えたんですよね。

こいち:いつもは4とかなんですけど(笑)。だいたいの人は実際に来てますしね。

まつだ:普段もnakanoiseバンドのライブを配信したりとか、ネットを使うことで、お手軽に観てもらえるなって思っています。そのほうが新しく知ってもらう機会も多いですし。

―埼玉県深谷市の一軒家でバンドメンバーが野菜を作りながら共同生活をして、近所の家同士が離れてるから防音あんまりしなくても練習できる! っていう人たちがいます(※『OTOTOY』インタビュー記事参照)。
「蔵フェス」もそうですけど、いろんなことが解決した場所があるならば、そこでやればいいじゃん! っていう発想はすごくいいですよね。

こいち:ああ、mothercoatですね。

まつだ:窮屈感がないのはいろいろといいですよね。自分で工夫しながらやるっていうのは好きですし、楽しいです。

アニメ公開の出発点は「エフェクターナイト」

―今回のことはアニメがきっかけでしたが、普段はバンド活動と「蔵フェス」、かと思えば「女子高生と楽器」の組み合わせでイラストや漫画も描いてますよね。

まつだ:はい。最初は周りの人の楽器と機材はそのままで、人だけ女子高生化したイラストを描いていたんですが、この表紙(下写真左)は田渕ひさ子さんに了承を得てギターを描かせていただきました。

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尾藤:マニアックだなぁ~。「ぼくの考えたさいきょうのメタルゾーン」(笑)。

まつだ:以前ローランドの方とご挨拶させていただいたことがあって。ちょっと作ってくれないかなと期待しています(笑)。

―まつださんの今回のアニメがお披露目になったのは秋葉原GOODMANでの「エフェクターナイトvol.3」ですよね。これはどんなイベントなんですか?

まつだ:あれは飲み会ですね(笑)。TACOBONDSの小川さんが主催で、エフェクター好きが集まっての飲み会がやりたいなってことで企画されました。
それでいざやってみたら、知らない人なんだけど「俺もエフェクター好きだ」って人が集まってきて。

こいち:自分のエフェクターを見せに来てて(笑)。バンドを組んでなかったり、通販で買ってたりする人は、自慢する人が身近にいないっていうのもあったと思います。

―あ~。自分のがいかに通用するかを見せたい! っていう。

尾藤:それすっごいわかる。

まつだ:そういうわけで、じゃあ2回目はもっとイベントっぽくしようかってことで私もさそっていただいて開催されました。
その中で、1人持ち時間10分ぐらいでステージに立って話す時間があったんですけど、だいたいみんな自分のエフェクターの紹介で「こういうエフェクターで、こんな音が出ます」っていう解説をしてたんです。
そこで私はちょっとした耳休め的な感じで、プロジェクターを使って、メタルゾーンの説明をしました。

こいち:パワーポイントで。やっぱり初めて買ったエフェクターがメタルゾーンって言う人は多かったね。

まつだ:そうだね。「俺も俺も」って。あとは年代別メタルゾーンの解説などをしました。「初期・中期・後期で塗装の具合が違う、初期のほうが文字の色が薄い(黄色っぽい)」とか。で、先日の第3回で、アニメを作らせていただきました。

こいち:もう1回パワーポイントじゃつまんないかなーって。

まつだ:どうせなら前よりも上に行きたい!って(笑)。

尾藤:僕も今回土屋(インタビュアー)がツイートしてるのと、同時多発的にFacebookとかでも別々の人がシェアしてたのを見て知りました。

まつだ:わぁー。ほんとにうれしいです。

―アニメの第2話の公開は、次のエフェクターナイトで、ですか?

まつだ:うーん、でもいろんな人から「続きまだ?」って言ってもらえているので、どうしましょうね。実は完全にあの1回で終わらせる気だったんですよ(笑)。

こいち:そう、終わる気だったんですよ。次回予告とかもネタとして考えてて(笑)。

まつだ:あれがオチのつもりだったんですけど、「これは次回も楽しみだなー」ってコメントが多くて、「ああっ」って(笑)。もうここまで来たら、ありがたいので。

こいち:でもここまで反響があるとは思いませんでした。エフェクターナイトでは30人ぐらいが観てたから、ネットに上げても100人くらいかなと思ってたので。

まつだ:上げたのも夜中だし、ヒーコラ言ってなんとか作ったものだったので、ぜんぜん伸びないんだろうなって思ってて、起きてビックリしました。あんなに広まるとは。
でも次回予告しちゃったからには、続きを作ろうと思ってます(笑)。

こいち:タイトルも言っちゃったからね(笑)。

▲まつださん(右)とこいちさん(左)。かなりの楽器好きなお2人のお話がたっぷり聞けました!

▲まつださん(右)とこいちさん(左)。かなりの楽器好きなお2人のお話がたっぷり聞けました!

まつださん、こいちさん、ありがとうございました!
「女子高生○○を買いにいく!!」次回も楽しみです。そして 「蔵フェス」は次回3月29日(土)に開催されるとのことです。こちらも必見!!

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