10分に懸けるアマチュア・ミュージシャン12組の熱いぶつかり合い! HOTLINE2013 JAPAN FINAL レポート

コラム by 土屋綾子 2013/11/25

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去る11月3日(日)、恵比寿ザ・ガーデンホールにて、島村楽器主催のコンテスト「HOTLINE」全国大会が行われた。なんと今年は過去最高の2,966組が参戦。その中から、地区大会(エリアファイナル)を経てこの日を迎えた12組の猛者たちがステージを彩った。その激戦の模様をレポートしていこう。

北は北海道から南は鹿児島までの各エリアから選ばれた総勢12組のミュージシャンたち。ファイナルでは1組10分の持ち時間で2曲までのライブ・パフォーマンスをし、それを観た7名の審査員と会場の人気投票からグランプリと各賞が選ばれるという仕組みだ。審査員はギタリストの洪栄龍氏、アレンジャーの大堀薫氏、ギタリストの宮脇俊郎氏、ベーシスト・アレンジャーの高橋竜氏、徳間ジャパンコミュニケーションズ取締役の白石博一氏、そして島村楽器会長の島村元紹氏、同社社長の廣瀬利明氏の計7名。会場内は出演者の応援に訪れたファンや友人、そして毎年HOTLINEを観に来ているという方などで満員、立ち見も出るほどだった。

トップバッターは群馬・信越エリア代表の4人組バンド、REVERSE DOG LIBERTY(リバースドッグリバティ)。ボーカルの大輝が「恵比寿ー!」と叫ぶと、場内も一気にライブハウスのムードに変わる。1組目という非常にプレッシャーの高い状況にも関わらず、安定感のある演奏には驚かされた。

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2組目のthe ORES(ジ・オーレス)は東京エリア代表。登場と同時に応援に来た観客から声援が上がり、多くのファン(男子が多め!)がステージ前に集まった。ステージを縦横無尽に駆け回るはじけまくったパフォーマンスながら透明感あるボーカルを、技術の高いギター、ベース、ドラムの3人が支える。男子が燃えるのもうなずける、骨太のロックを聴かせてくれた。

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次に登場したのは九州エリア代表、ソロでアコギ弾き語りをしている中原智志だ。大橋トリオを彷彿させるトラッド・スタイルにシルクハットと丸眼鏡が、美しいけれど言葉選びが不思議な楽曲とあいまって、さわやかだけど狂気をはらんだ奇妙な世界に誘う。弾き語りの技術も確かで、多彩なテクニックを駆使し観客を飽きさせないパフォーマンスを魅せた。

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4組目は北関東・埼玉エリア代表のクランケスター。30代後半とファイナリストの中では最年長の3ピース・バンドが奏でるのはまさにハジケまくる青春のロック! 活目すべきはパフォーマンス力。自虐の入ったMCで心を掴まれたか、2曲目「びきびき」でベース・ボーカルの泉が振り付けを観客に促すと、なんと場内全員がそれに応じるという盛り上がりを見せた。

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次は伍次元ポケット。ヴィジュアル色を感じる見た目の雰囲気にとらわれていると、彼らの曲の骨太感に吹っ飛ばされた。ボーカルMëGが手がける歌詞はメッセージ性が高く、声量ある歌声で聴かせる。楽器隊、特にドラムが力強いビートで土台を支え、広がりあるロック・チューンが出来上がっていた。

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関西エリアから参戦した6組目は、中学校の同級生で組んだという平均年齢21歳の4人組、Wing of Wind(ウィングオブウィンド)。 メンバーは若いが全員演奏力が高く、レフティーのギターはストロークを前後に揺らしたり速弾きしたりと熱いプレイを見せた。 大阪ビッグキャットが目標と言う彼ら、12月にアルバムを発売予定とのことだ。

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出演バンドも半分を過ぎ、お次はRED in BLUE(レッドインブルー)。エレクトロとラウドのミクスチャー感ある、力強いハードロック・バンドだ。 バリエーション豊かに展開を変えていく楽曲を基調にしつつ、ボーカルがオートチューンを使っているのがバンドの世界をより個性あるものにしていた。

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8組目は千葉エリア代表、the tote(ザ・トート)。前向きな気持ちを歌う、キラキラした楽曲が魅力で、キャッチーなサビが観客を惹きつける。4人全員のコーラスワークも魅力で、中でも紅一点のメンバー、さきちゃんはキーボード、コーラスだけでなくハーモニカもこなし、楽曲を彩る。地元からも多くのファンが訪れ、声援を送っていた。

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9組目は北海道エリア代表のモノポックル。1曲目は和太鼓のリズムから始まる言葉遊びのような曲で、ジャパニーズロックな雰囲気だ。続いての長い弾き語りから一気に来るバンドサウンドがストレートに響き、展開も静と動のメリハリでのめりこませる。それにエヴァーグリーンなボーカルの声が重なり、心地よい音楽を作り上げていた。

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続いてはBOYS END SWING GIRL(ボーイズエンドスウィングガール)。the toteと同じく千葉エリアの代表だ。全員19歳で、今回のジャパンファイナルは敗者復活戦(地区大会の優秀賞から1組選出の枠)でのし上がってきたという勢いある4人。テンポが速く疾走感ある1曲目と清涼感あるロック・チューンな2曲目で多彩な側面を見せてくれる。なんと観客の中には千葉ファイナルで好きになり、この日観に来たという人も。

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ラスト2組!の11組目は神奈川エリア代表のワイルドペガサスが登場。ステージ前に集まる女性ファンが多い。大学の軽音楽サークルでこのバンドを結成したメンバーは、さわやかで声量あるボーカルとギター・ボーカルの2人の歌声がさわやかなハーモニーを作り出した。メンバー全員、実に楽しそうにプレイしていて、会場内はあたたかいムードに包まれた。

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ラストの登場は、中部エリア代表のpilot(パイロット)。ソリッドな雰囲気ある1曲目の印象はそのままに、メロディアスに聴かせる2曲目も心にザクザク刺さるようだ。ネット人気投票では1位に輝いた彼ら、緩急をつけ客を乗せる展開作りがうまく、ファン(グッズのタオルを肩にかけて臨戦態勢)が多いのもうなずけた。

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これで12組のパフォーマンスが終わり、選考に入る間に昨年の王者「サンドクロック」がライブを披露した。ギター・ボーカルとキーボード・ボーカルのデュオである彼ら。去年グランプリを獲ったステージに再び立ち、気持ちの入った演奏を魅せてくれた。

そしてついに緊張の結果発表。審査員の宮脇俊郎氏が、今回はどの出演者もそれぞれに魅力があり、審査員の意見も割れたことを打ち明けたが、その中でも議論を戦わせて1組を選ぶことができたと続けた。また同じく洪栄龍氏は「見ていて涙が出そうだった。こんなに平和なイベントはありません」と語り、出演者へのリスペクトを表明した。

結果は以下の通り!

HOTLINE 2013 各賞

  • グランプリ:モノポックル
  • 優秀賞:the tote/the ORES
  • ベストボーカリスト賞:大脇一起(モノポックル)
  • ベストギタリスト賞:ジロー(伍次元ポケット)
  • ベストベーシスト賞:伊藤和孝(pilot)
  • ベストドラマー賞:TAITO(the ORES)
  • 楽曲賞 「タンポポ」:作詞/作曲 大脇一起(モノポックル)

グランプリ獲得のモノポックルにインタビュー!

ここで、グランプリを獲得したモノポックルの4人へインタビューできることに! この日はそのまま夜の便で北海道に戻るという慌ただしい中にも関わらず、時間を作っていただいた。

—まずはグランプリ獲得、おめでとうございます!今の率直な気持ちを教えてください。

大脇(ボーカル):ありがとうございます。今回楽曲賞も取った「タンポポ」という曲が、僕が17歳のとき、人生で一番つらい時期にできた曲なんです。それを新たに出会ったメンバーと演奏して、その曲も演奏も評価していただけて、あのつらい時期があったこと、そして音楽を続けていてよかったな、という気持ちです。

新岡(ギター/コーラス):高校時代から大脇が音楽やっているのは知っていて、良きライバル関係だったんですが、今は同じバンドを組んで一緒にやっています。今日やった「タンポポ」もその頃からやっている曲なんですけど、その良さが全国のみんなに認められたんだと思ってうれしくなりました。

杉山(ベース/コーラス):僕は2人が当時ユニットを結成してから、大脇と大学で出会ってあとから入った身なんですが、いちリスナーとして「タンポポ」を聴いていました。自分も素敵な曲だと思って聴いていたので、今日のことは本当にうれしいですね。

福士(ドラム):僕はもともとこのバンドに入る前にライブハウスのPAとして関わっていました。その頃からいいバンドだと思っていて、モノポックルになってから1年半くらい経った頃に入りました。そういう思いもあって、グランプリを取ってうれしく思います。あとは単純に、バンドやっててよかったなって。

大脇:みんな曲をほめてくれてるけどいいの(笑)?

―今日2曲聞かせていただいて、1曲目はジャパニーズ・ロックな雰囲気があって、2曲目は緩急あって観客を巻き込むような印象がありましたが、モノポックルのバンドの音楽性は端的に言うとどう表現できるのでしょうか?

大脇:一言で言うと「ミクスチャー」ですね。ダンスミュージックからロックまでいろんな要素を吸収しています。今日やった曲と別のものだと、1曲の中でも展開がどんどん変わったりするのがあって、ジャンルレスな印象がありますね。あとはジャパニーズ・ロックの雰囲気はみんなの好みとしてもありますね。

―今後の活動について教えてください。

大脇:はい。12月21日に、サカナクションのレコーディング・エンジニアを務めた西村サトシさんを迎えて制作したアルバムを発売します。

―それはすごいですね! アルバム制作は初めてですか?

大脇:いえ、今まで自主制作で3枚のアルバムを作ってきました。ただ次回はしっかりレコーディング・エンジニアさんに付いてもらって作りたいと思っていて、ちょうど曲のストックも音源化していないものが10数曲たまっていたので、ファンの声もありましたし、メンバーが学生やっているうちに贅沢してやろう! と(笑)。今制作の最終段階に入っています。

―発売、楽しみにしています! 今日は本当におめでとうございます!!

HOTLINE担当者 小久保昌彦氏インタビュー

そしてHOTLINEの舞台を支え続ける島村楽器営業推進部イベント推進係、小久保昌彦氏に今回のまとめとHOTLINEの魅力についてうかがった。

―HOTLINEは「ライブにこだわる」という点が醍醐味になっていますが、一貫してライブに重点を置く理由はなんですか?

小久保:近年、音源応募のオーディションが主流となり、生演奏でなく「作りこみ」の技術が評価される傾向が多くなってきたことが最大の要因です。また、楽器を始める初心者の多くは「人前で演奏すること」を目標としているので、バンド本来の魅力であるライブ演奏の場を提供し出場を目標としていただくことで、継続的活動のサポートとして機能することも考えています。

―30年以上にわたり実施してきたHOTLINEですが、ここ数年での変化(出演バンドや演奏スタイル、年齢層等)はありますか?

小久保:少し前だと3ピースバンドが多かったですが、昨年よりその傾向は減少しています。2ギターのバンドが増え、2本のアンサンブルも緻密になってきています。また、女性ボーカルが減っているとも感じました。
年齢層は、スーパーキッズ(一桁世代のバカテクギタリスト)が増えていることと、上にも継続している世代が広がっていると感じます。今回出場の「クランケスター」も30代後半ですね。

―今回エントリー数が過去最大の2966組となりましたが、より多くのエントリー者を募るためにHOTLINEの今後意識していくことはありますか?

小久保:特にありませんが、昨年グランプリを獲った「サンドクロック」や今年の「モノポックル」を含む歴代出場者の活動を支援することで、音楽を楽しむ皆さんが永く活躍されるように、アーティスト応援を今後も続けたいと思います。

―最後にHOTLINE出場を目指すミュージシャンに一言メッセージをお願いします!

小久保:出演者の魅力を最大限に伝えられる「2曲10分」のライブパフォーマンスがHOTLINEの特徴です。ビギナーの初ライブからプロを目指すためのアピールの場として、ライブならではの可能性をお試しください。皆さんの参加をお待ちしています。

 

2曲10分という制限の中で、自らの魅力を観客に100%アピールできるか? そんなシンプルかつ厳しい条件だからこそ、頂点を目指す価値があるというもの。HOTLINEはすべてのアマチュア・ミュージシャンに門戸を開いて、参戦を待っている。

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