マイブラ終わりの雨、BRAHMANの伝説的ステージ、そしてパーティー・モンスターSkrillex!/フジロック’13レポート

コラム by 土屋綾子 2013/08/16

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7月26日~28日の日程で開催されたフジロックフェスティバル’13。今年もいくつものステージで驚きや笑顔、感動が共有されたことだろう。RandoM編集部は昨年に引き続き今年も現地取材を敢行! まずは1日目のCJ RAMONEに始まり、RON SEXMITH、RHYE、MY BLOODY VALENTINE、BRAHMAN、FLYING LOTUS、Skrillexの模様をお届けしよう。

昨年は3日間好天に恵まれたため、強烈に日焼けしたもののカメラなどが雨に濡れることもなく非常に動きやすかったが、今年もそうだという保証はどこにもない。さらに会場となった苗場スキー場には、前夜祭前ですでにたっぷり夕立に見舞われた。キャンプサイトでは「雨が降ってこそのフジロック!」と張り切るフジロッカーたちの声が聞こえてくる。とりあえず長靴を履き、雨具の準備も万端にして入場ゲートに向かった。

青空の下、ラモーンズの名曲でモッシュ!
CJ RAMONE

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ゲートをくぐり、山の気持ちいい空気を感じながら、グリーンステージへ直行する。PAより後ろも余裕があり、会場に到着しての1杯を楽しむ観客たち。モッシュ・ピットに目を向けると、なにやら大きな紙を各々手に持った集団が。紙には「GABBA GABBA HEY」の文字。ステージ後ろの「AMERICAN PANK」フラッグを見詰めながら、彼らはCJ RAMONEの登場を今か今かと待ちわびる。
時間になり、「HEY!HO!Let’s Go!」の声に迎えられ、ヤンキースのキャップ姿で現れたCJ RAMONE。メンバーはSocial DistortionからギターのJohnny “2 Bags” Wickersham、ドラムに同じくDavid Hidalgo, Jr.という3ピースでの布陣だ。登場するなり「Judy Is A Punk」「Blitzkrieg Bop」をプレイ。この晴天の下でラモーンズが聴けるとは、なんて贅沢!とばかりにモッシュ・ピットはすでにお祭り状態だ。そのままのテンションで「Beat on the Brat」「Psycho Therapy」 「Do You Wanna Dance」などラモーンズの名曲を次々に演奏していく。最高潮のままラストは「Pinhead」。ステージには「GABBA GABBA HEY」の看板を掲げた、ピンヘッドならぬFUJI HEADが乱入! ファンも負けじと看板を上に揚げてアピールする。後方の観客もみんな笑顔で体を揺らしていて、初っ端から本当にハッピーなライブを観られた。

灼熱の中、ひと時の涼やかな時間
RON SEXMITH

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ここで昼食を買いにオアシスに寄り、その足でレッドマーキーに。ベーシスト、ドラマー、キーボーディストとともに、淡い色のジャケットを着たロン・セクスミスがステージに現れる。オーディエンスが口々に「ロンさま!」と声をかける。曲がはじまるなり、静かで涼しい風が吹くようなロンの歌声が響き渡った。夜時間帯にしっとりと聴くのもいいが、昼間でもレッドマーキーの屋根の下、ひと時暑さを忘れさせてくれた。ロンはこの後、オアシス内GAN-BANのイベント・スペースに場所を移してのトークショーとサイン会も開催。熱心なファンとの会話を楽しむなど終始和やかな時間を過ごしていた。

ノイズに震えて雨が降る
MY BLOODY VALENTINE

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グリーンステージ後方に「mbv」の文字が掲げられる。先日、フジの余韻冷めやらぬ中発表された「再来日」の報も話題のマイブラが晴天のグリーンステージにやってきた。「I Only Said」が1曲目。PA後方に居たのだがボーカルがあまり聴こえず、その分マイクに向かって歌う姿が観たくなり、少しずつ近づいてみる。間断なく続く轟音と、向こうの空からムクムクと近づく白い雲。不穏な空気が漂い始めた。メンバーが全員ギターを弾いた「Wonder 2」からラストまで、音が増幅して固まりのように迫り、そこに投げ入れられた私たちを取り囲んでいくようだ。最後の「You Made Me Realise」が終わるなり、ポツポツと来ていた雨が堰を切ったように本格的に降り始めたのも印象的だった。

今に向き合う、真摯さと闘争心
BRAHMAN

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今回もBRAHMANは伝説的なステージを観せてくれた。頭の両側を刈り上げ、近所の定食屋のおばちゃんに「自転車のサドルのよう」と言われたと小ネタを披露するTOSHI-LOW。笑わせてはくれるが、ひとたびライブが始まれば、そのまま気を抜いていては置いていかれてしまうほどに熱量がみなぎる。それに応えて、ヒートアップした観客がモッシュやダイブを繰り返していく。
「鼎の問」では、YouTubeで短期間公開されたものの現在は非公開となっているミュージック・ビデオが流された。東日本大震災と福島第一原発の事故、それに対してTOSHI-LOWが取り組み続けていた支援活動が思い起こされる。どこまでも隠さず真摯に、自分の思いを私たちに伝えてくる。しっかり受け止めよう、とこちらも気合いを入れ直す。そして「PLACEBO」で観られたは、観客に飛び込んだTOSHI-LOWがそのまま人々に支えられて歌い続ける、という御馴染みの姿。その光景は、どんな言葉よりも雄弁に、彼らがファンの心をつかみ続けているのかを物語っていた。

エキセントリックな船長との宇宙旅行
FLYING LOTUS

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さて、一旦BRAHMANで止んでいた雨が再び降り始めた。地面はぬかるみ、暗闇で足元が見えにくい中ホワイトステージへと移動する。ジョン・コルトレーンを叔父、アリス・コルトレーンを叔母に持つというプロフィールからも、フリー・ジャズ的な、カオティックでスリルある場面がライブでも期待できるのでは、と思ったのだが、ある部分で想像の斜め上を行くステージだった。
まずブースの後方だけでなく前方にもスクリーンが設置されていて、それぞれイメージは連動しながらも別々の映像が投影される。どんどん眼前に現れては通り過ぎる光のビジュアルの中にFLYING LOTUSが立ち、その空間の住人になっている。観客は彼の扇動と照射される光の矢を受けて踊り狂う。かと思うと、時たまマイクを持って、おどけた様子でラップしたり「カメハメハー!」と叫んだり。かなり翻弄されたが、混沌の渦から体ごと飛んで行ってしまうような爽快なパフォーマンスだった。

“ドラゴン”に乗ってやってきたモンスター
Skrillex

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眼に見立てたスピーカーのコーンのようなものが2つ、そのそれぞれにツノのようなものが1対。そのすぐ下にコックピットのような場所が見られ、フロントにはスクリレックス(Skrillex)のロゴの一部分「ill」がエンブレムのようにはめ込まれている。そんな、まるでアニメに出てくるロボットかなにかのような巨大な物体が、ステージに鎮座している。こちらは、バルセロナで開催されたSonar2013出演時にも登場した彼の愛機“ドラゴン”だ。
突如始まる5分のカウントダウン。SEが「My Name Is Skrillex」と繰り返す。5分もじらすなんて! と思いつつ気持ちは高ぶるばかり、観客も時間が近づくごとに前のめりになっていく。
大合唱とともにカウントが0になった瞬間、爆発音とともにドラゴンのコックピットにスクリレックスが登場した。同時にホワイトステージがダンス・ミュージックにブチ上がる。そして、なんと“ドラゴン”のツノが開きだし、3対になった。さらに機体が徐々に上昇し始め、ステージから6~7mはあろうかという高さに進化したのだ!
男の子の夢の塊みたいなマシンに乗って楽しそうに観客を躍らせるスクリレックスさん(思わずさん付け)、これにはもうカッコいいやらあきれるやらで、笑うしかない。
VJは、スクリレックスのパーティ野郎ぶりがうかがえるクラブでのスナップ写真や動画の数々から、マイケル・ジャクソン「スリラー」のMVを(おそらく)インド人がパロディした映像、ネットのどこかで見たような動画や画像などがめまぐるしく転換していく。彼のサービス精神(?)は留まることを知らず、画面いっぱいの日本国旗や、「KYOTO」で映し出された迫りくる”京”“都”“市”の文字でオーディエンスを沸かせる。最後にはイギリス国旗と日本国旗を持ち、力いっぱい客席に向かって振りまくりながらステージを去っていった。楽しませていただきました。はんぱないです。スクリレックスさん。

※2日目のレポートは近日公開予定です。

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