さりげなく役立つ!? 右手のテクニック×4/MI Japan ベース・クリニック

MI JAPANベース・クリニック by 加藤一海 2012年8月9日

バンドやアンサンブルのなかでは、”縁の下の力持ち”と言われることも多いベーシスト。しかし一見しただけでは目立たなくとも、うまいプレイヤーほど細かなテクニックを駆使していることも多い。そこでさりげなく、かつセンス良く曲を彩るために覚えておきたいのが、ここで紹介する4つのテクニックだ。

INTRODUCTION

初めまして、MIジャパン大阪校の加藤一海です。今回のテーマは”右手のテクニック”。これを4つ、紹介していきたいと思います。

最初に言っておくと、どれもあまり派手な奏法ではありませんし、なかにはアンサンブルで使っても、気づいてもらえないかもしれないような表現もあります。しかしこれらのテクニックを駆使すれば、さりげなく、そしてセンス良く音楽に躍動感を与え、表情豊かに彩ることだって可能です!

『ベーシスト 闇に隠れて 生きるモノ』(←五・七・五)……僕が勝手に作ったこのスローガンを、ぜひ心に掲げてください。ベーシストたるもの、大きな懐で音楽をあと押ししてやろうではありませんか!

【MI×ベーマガ】OPEN HOUSE/加藤一海

テクニック1:”2フィンガー・ミュート”で躍動感を!

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最初は2フィンガーのフォームそのままで、どちらか片方の指を弦上に乗せたままのミュート状態でピッキングして、ゴースト・ノートを出す奏法です。これを適度に混ぜることによってパーカッシブな効果が生まれ、フレーズに躍動感が出ますね。

まずは試しに、適当なポジションを左手で押さえたまま、右手は2フィンガーでピッキングする位置に両方の指を乗せ(図)、この状態を基本にしつつ交互にピッキングします。このとき”ポコッ”という音程感のない音が出ればOKですが、アタックが弱いと”ホワァ〜ン”というムダな倍音が出てしまいがちなので注意してください。

フォームを覚えたら上のフレーズを弾いてみましょう。拍のオモテに”×”があるので、いきなりゴーストから入ります! 譜例の下の”人”や”中”は、右手のどちらの指でピッキングするかを示したもの。この順番を守りつつ、ミュートした音と実音の違いを感じながら、両方をスムーズに切り替えられるように注意してください! ちなみに、この奏法をマスターするとピッキング・スピードが格段にアップする効果もあります。

テクニック2:流麗な響きの”アルペジオ”

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続いてはアルペジオ(分散和音)で、アコギでもよく聴く奏法をベースでやってしまいましょう!

テクニックの面で難しいことは何もないので、さっそくフレーズを弾いてみましょう。肝心なのは右手のピッキングで、ここでは親指、人差指、中指の3本を使います(図)。1小節を例に挙げると、1&2拍目は3弦→2弦→1弦→2弦、3&4拍目は3弦→2弦→1弦の順番ですが、3弦を親指、2弦を人差指、1弦を中指に対応させるとスムーズに弾けます。また音を出さない4弦は、放っておくとノイズの原因になるので、親指の付け根あたりでミュートしておきましょう。ここでやっかいなのは、なんと言っても4拍目ウラの8分休符! すぱっと音を止めるには、親指付け根のミュートを維持したまま、親指の指先と人差指、中指も使って4本の弦をすべてミュートすることが大事です。

以降も左手はルート、3rd、△7th、♭7th、オクターヴを押さえてコードを作りますが、特に4弦を使うフレーズでは、効率の良い運指とミュートの方法を考えて押弦フォームを考えてみてください。

テクニック3:スパニッシュ風味の”コード・ストローク”

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次はコード・ストロークです。スタイルによっていろいろな弾き方や呼び名がありますが、ここではフラメンコ・ギターの奏法を応用した”ラスゲアード”を練習してみましょう。

下のフレーズでは、左手は前項のように和音を押さえ、右手はアップとダウンの2種類のストロークを使います。まずはダウンですが、スラップのように親指以外を握り込んでグーに近い形を作ります。この状態から親指をネック・エンド付近に固定して、指を一気に広げましょう。図を見てもわかるように、おもに中指と薬指の爪が当たることになりますね。次にアップの動きですが、曲中で使うときは前述のダウンと組み合わせることが多いです。方法はダウンでストロークしたら、ふたたび指を握ったフォームに戻るときの動きを使って音を出すだけ。指の腹で弾くことになるので、慣れないうちは少し痛いかもしれませんが、頑張ってください!

なお、譜例の左手は1&3小節がコードの5thを最低音にした転回系の音使いで、2&4小節は5th抜きで作ったフォームです。こういった和音の構成も考えながら練習するクセをつけると、応用範囲が広がりますよ。

テクニック4:繊細な癒しサウンド”ピッキング・ハーモニクス”

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最後はピッキング・ハーモニクスです。この奏法は人工ハーモニクスやピンチ・ハーモニクスと呼ばれたりもしますが、ひとつの奏法にさまざまな呼び名があるのもおもしろいですよね。

ハーモニクス(倍音)の原理は難しいので説明は割愛するとして……ここでは奏法に特化して説明していきましょう。下の譜例は、左手は譜面どおりにポジションを押さえますが、大事なのは右手の動きです。左手で押さえたフレットから、サドルまでの長さのちょうど半分になるポイント(ハーモニクス・ポイント)を親指で軽く触れておき、人差指でピッキングすると同時に親指を弦から離します(図)。2本の指で弦をつまむように交差させる感じで、成功すると”ポーン”という澄んだ音が鳴ります。キレイに発音するのが難しいですが、根気よく続けてください。

なお、ハーモニクス・ポイントは弦長の半分の位置だけではありません。各小節とも1回目は解説どおりに半分の位置で、2回目は1/4の位置で弾いてみてほしいのですが(譜例の場合は、ジャズベなら前者がフロントPU付近、後者がリアPU付近)、それぞれで音程が違います。

まとめ〜最大のポイントを伝授!

これはあらゆる練習のコツとして言えることですが、自分のなかで”弾けるようになってきた”と思えたら、鏡などを使ってフォームを客観的に見る、録音して聴いてみるなどすると、頭のなかで思い描いていた理想形との差がわかりやすいはずです。音楽スタイルと同様に、奏法や音色だって十人十色です。この記事を参考にして、あらためて自分の楽器と向き合ってみてください!

ちなみに、ここで紹介した4つのフレーズは、どれも同じコード進行をもとに作っています。これらを重ねて録音していくと……なんと、曲のイントロのようなフレーズのできあがり! DTMや録音機材を持っている人は、ぜひ試してみてくださいね! ベースの音ばかり重なるので少々気持ち悪いかもしれませんが(笑)、そこはあなたの低音愛でカバーしてください。

加藤一海(かとうかずうみ) プロフィール

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高校時代にエレキ・ベースを始め、同時にライヴハウスでのバンド活動や、セッション活動もスタート。高校卒業後はヤマハ音楽院大阪校に進学して、塩崎裕、福栄宏之の両氏に師事。以降はロック・バンドやピアノとのデュオをはじめ、セッションやサポート、レコーディングなどで活動しつつ、ポップス・バンドのunder Bar、ベース・デュオ・ユニットのBitersにも参加。MI大阪校では、さまざまなジャンルに対応するための運指テクニック、リズムやトーンを駆使してグルーヴするためのレッスンなどを担当している。

■本記事について

本記事は『ベース・マガジン2012年7月号』掲載のページを転載したものです。

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