ポイントを抑えてうまくなる”スラップ奏法”/MI Japan ベース・クリニック

MI JAPANベース・クリニック by 杉泰輔 2012年5月19日

スラップ奏法に憧れて、夢中で習得したはいいものの、”なぜか上達しない”"いつまでたっても弾けないフレーズがある”なんて悩みを抱える人はいるんじゃないかな? しかし悲しむなかれ! ここで紹介する小さなポイントを押さえておけば、キミのスラップは劇的に進化するはずだ。

INTRODUCTION

今回はスラップ奏法をテーマに、私が教える学校の現場でもよく見かける、陥りがちな問題点について解説していきます。

スラップは親指で叩いて(サムピング)人差指でハジく(プル)動作が基本で、このコンビネーションがとても大切になります。ここでは、それに絡めた【1】基本フォームにおける人差指の位置について、【2】どれくらいの強さでプルをハジけば良いか、そして【3】4弦のアーティキュレーション(発音の正確さ)とミュートについて、という3つのポイントを挙げて説明していきます。

 

【MIxベーマガ】OPEN HOUSE/杉泰輔

POINT 1:右手人差指の位置に要注意!

スラップで演奏するときに、右手の人差指の位置を意識して弾いている人は少ないかもしれませんね。例えば、親指で3弦をヒットしたあとに人差指で1弦を弾く場合をイメージしてほしいのですが、3弦を叩いた状態で一旦モーションを止めてみましょう。このとき、人差指はどんな状態になっていますか? 理想的なのは1弦の下にしっかりもぐり込んでいる状態(写真)で、これはなぜかと言うと、1弦とボディのあいだに指が入り込んでいればすぐにプルを鳴らすことができるからです。

よく見かけるのは、3弦を親指で叩いた”あとに”人差指をもぐり込ませる弾き方です。こうなると時間にロスが生まれてしまい、わずかながらどうしても1弦の発音が遅れてしまうので、スラップの持ち味であるパーカッシブなサウンドの魅力を殺してしまいます。

では、これを意識してEx-1に挑戦してみましょう。ゆっくりなテンポでは何となく弾けているような錯覚を起こしがちですが、譜面に指定したテンポ(♩=130)ではごまかしがききません。これをスムーズに弾くためには、サムピングと同時に人差指がきちんと潜り込んでいるかどうかが大事になってくるわけです。

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続くEx-2は4弦と2弦のコンビネーションです。親指で4弦を叩き人差指で2弦をはじくのですが、4弦をヒットしたときには当然のように、2弦とボディのあいだに人差指がもぐリ込んでないといけません。この場合、人差指の手の甲側が1弦にぶつかりそうになって(またはぶつかって)窮屈になるので、Ex-1よりも少し難しく感じるかもしれません。

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ここからは応用ですが、Ex-3はスラップながらにメロディックなアプローチをしています。隣り合った弦の移動を取り入れたアプローチで、親指と人差指のコンビネーションとしては4弦&3弦、3弦&2弦、2弦&1弦という組み合わせが登場します。これは普通のベース・ラインではあまり使わないパターンだと思いますが、ベース・ソロやメロディを弾いたりするときにはとても有効なアプローチですよ。人差指の位置に気を配りつつ、フレーズの引きだしを増やす練習だと思って挑戦してみてください。

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そしてEx-4の2&4小節は、弾いてみるとほぼ同じに聴こえますが、まったく違う奏法を使い分けています。2小節は親指をダウン&アップでストロークしたあとにプルが入るので、人差指をすばやく弦の下に潜り込ませることがポイントですが、サムピング・アップの直後なので右手の手首が安定しにくく、なかなか思うようにプルができないかもしれません。対して、4小節は3弦の開放を親指で叩いたあとにハンマリングで音を出し、そのあとに人差指でオクターヴ上の音を弾いています。この違いを知っておくと、微妙なニュアンスの差を表現できますよ。

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▲サムピングと同時に、人差指がプルする弦の下に潜り込んでいる状態。

POINT 2:人差指のプル=最適な強さを知る

このテーマには、どれくらいの音量でサムピングしているかが深く関係しています。そもそも低音というのは人間の耳に聴こえづらい音域であり、親指と人差指のコンビネーションでは、大抵の場合、親指のほうが低音部分を演奏しているはずですよね。対して人差指のプルは、より高域の倍音成分を含むために耳に届きやすいのです。

結論を言えば、”思ったより弱くハジいてもプルの音は聴こえる”はずです。ここで実験してみてほしいのですが、まずはこれ以上は弱く弾けないという強さから、だんだん音量を強くしてみましょう。反対に、ちょっと強すぎるかなというくらいからだんだん弱くしていくパターンも試してみてください。これで最適なプルの強さがわかってくると思いますが、”意外と弱くても大丈夫なんだ!”と思った人も多いのではないでしょうか。

このコツが掴めると、強すぎるプルでは力んでしまって弾けなかった速いパッセージも弾けるようになるでしょう。さらに、スラップは強くハジく奏法なので弦の寿命が短いと感じていた人にとっても、解決の糸口になるかもしれませんね。そのほかにもアクセントや強弱をつける、ゴーストノートで聴こえるか聴こえないかくらいの音量にするといったことも表現しやすくなるはずです。いずれにしても、”今までよりも弱くハジく”ことを意識してみてください。

それでは、良いことづくしのこの奏法を使ってEx-5にトライしてみましょう。指定したテンポで演奏するには、プルの音量コントロールがポイントになってきますよ。

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POINT 3:4弦のアーティキュレーションとミュート

最後のポイントとして、短い音価の4弦開放音を親指で叩く場合を考えてみましょう。こういうケースでは4弦の直後に2弦のプルを鳴らすことも多いですが、ありがちなのは4弦の実音をきれいに出せずに、結果としてミュートのかかったゴーストノートになってしまうことです。しかも、プレイヤー自身はゴーストになってしまったことに気づいていない場合も見受けられます。さらには2弦をプルした際に4弦のミュートがうまくできておらず、音が鳴りっぱなしの状態になっている場合が多いのです。

Ex-6では実音で弾けているか、ゴーストノートになっていないかを意識して演奏してみましょう。このコントロールはなかなか難しいですよ。

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スラップではどんな練習をしても、最後は親指と人差指のコンビネーションがモノを言います。今回のテーマもシンプルなようでいて深いので、時間をかけてじっくりと練習してみてください。

杉泰輔(すぎたいすけ)プロフィールmi_bm_2012_05_instructor

1971年5月生まれ、幼少の頃に父親がかけていたマイルス・デイヴィスの『ウィ・ウォント・マイルス』を原体験に持ち、聖飢魔IIを聴いてベースを始める。ベース歴はもうじき四半世紀。さまざまなバンドやセッションを経てジャンルレスで活動しており、2001年からはMI JAPAN福岡校のBIT科講師としても教鞭を奮う。このセミナーには2011年5月号(フレットレス・ベースのススメ)以来、4度目の登場だ。最近は喫茶エトワールというバンドの星屑萬次郎というベーシストに間違われることも多いとか……。近々アルバムもリリースするという噂。

■本記事について

本記事は『ベース・マガジン2012年5月号』掲載のページを転載したものです。

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