ダンス・ミュージックのジャンル別ベース・ライン/MI Japan ベース・クリニック

MI JAPANベース・クリニック by Mars 2011年12月27日

ダンス・ミュージックと言えば高揚感のあるビートが特徴だが、最近では細分化が進み、個性的なリズムの新しいジャンルが台頭している。これらの特徴をマスターして、多彩なアプローチでリスナーを踊らせることができるベーシストを目指せ!

INTRODUCTION

読者のみなさん、こんにちは。Marsです。季節はもう秋……長い夜のおともにダンス・ミュージックしてますか?

今回のテーマは、”ダンス・ミュージックのジャンル別ベース・ライン”だ。ひとくちにダンス音楽と言っても、ジャンルがかなり細分化されてきたこの頃。”そんなのわかりにくいよ!”というベーシストのために、今HOTでMUSTなジャンルをMarsの独断でChoiceしたよ。

これらの特徴を知っておけば、どんなダンス・ミュージックも楽しめるようになる! このテーマをマスターして、フロアを躍らせることのできるベーシストになろう!!

 

【MI×ベーマガ】OPEN HOUSE/Mars

ダンス・ミュージックのベースを理解しよう!

前回紹介したダンス・ロックをはじめ、ダンス・ミュージックにはいろんなジャンルがあるんだ。最近はこれらがくっついたり、まったく新しいサウンドが生まれたりすることによって、もう何と呼べばいいのかわからないような音楽も溢れている。どれもカッコイイことに変わりはないんだけど、初めて聴く人にとってはなんともわかりにくいもの。でも、基本になるリズムは似ていて、どれも体に馴染みやすくてリズムが単純なぶん、ベースのメロディやノリが細かいジャンル分けにひと役買っているんだ。今回、譜面にBPM(Bit PerMap=テンポの速さ)を載せたのは、音楽自体のスピードもダンス・ミュージックのジャンルを語るにあたってとっても重要だからだよ。じゃあ早速、僕が選んだHOTな4つのジャンルを紹介するよ☆

1:エレクトロ

これがおそらく、今一番耳にすることが多いジャンルじゃないかな? グイグイと前に出てくるハードな印象を持ったサウンドながら、リズムはすごく単純で、ちょっと速めの4つ打ちが主体になる。

▼クリックで拡大

mi_bm_2011_11_score_1

まずはEx-1を見てほしいんだけど、はじめの2音はほかにくらべて少々長めで、これが4分ではなくて付点8分音符なのにはわけがあるんだ。この手のジャンルはシンセのベースをイメージしたフレーズがもとになっているんだけど、シンセ・ベースには、エレキにお馴染みのピッキング・ストロークという考え方がない。同じ音を続けて演奏するには、指を一度離さないといけないからなんだ。でも、それは逆に言えばエレキでシンセ・ベースらしさを出すための要素にもなる。シッカリと音を伸ばしつつ、きちんと切るように心がけよう。重厚でいて歯切れが良いベースがエレクトロの魅力だからね。

その後に出てくる16分の2連は、フレーズ全体に躍動感を与えて跳ねた感じに聴かせている。いわゆるアップ・ビートと言われるものだけど、これを掴むまでには時間がかかるから、自信がなければここだけを練習するとグルーヴが掴みやすくなるよ。

2小節後半のスライドは、シンセ・ベースのピッチ・ベンドを真似たフレーズで、粘るようなイメージで弾こう。なめらかにピッチを変化させることができればOKだから、チョーキングで弾いても良いかもしれないね。

2:ハウス

最近ではエレクトロ・ハウスなんてジャンルも流行っているくらい、エレクトロに近い存在なのがハウス。 そのリズムも、限りなくエレクトロに近い印象だね。 3連符に近いけどそうじゃない、独特なシャッフル・フィーリングのリズムには、エレクトロよりも少しゆったりとした、タメのきいたベース・ラインが似合うんだ。

▼クリックで拡大

mi_bm_2011_11_score_2

それではEx-2を見てみよう。はじめに連続して出てくるタイが、ベース・メロディの核になってるよ。1小節1拍目、4弦4フレットのG#から3弦6フレットのD#の部分は、D#に移動するときにグリス気味で弾けば、シンセ・ベースのポルタメント(2音間のピッチ移動をなめらかにする機能)みたいでなおGOOD ! ここでは柔らかいタイム感を演出しよう。

その直後に登場する16分のウラ拍D# 〜8分のウラ拍G#(2弦6フレット)はシャッフルに近い感じで、譜面よりも少しだけ遅れて演奏するような感覚だ。どれくらい遅らせるのかは、その揺れが最大限に心地よくなるように集中して判断しよう。2&4小節終わりの連続した16分音符は、そのままでは間延びしがちなフレーズを引き締めていて、タイや、ループのような2小節フレーズの印象をより強いものにしている。ハウスでは凝ったコード進行やメロディが上に乗ることが多いので、ベースは1度や5度を多めに使ってシンプルにまとめているのもポイントだ。

3:ダブステップ

エレクトロよりも少し遅れて流行り始めたのが、このダブステップ。今ではかなり市民権を獲得していて、どんなクラブでも聴けるようになってきているね。

mi_bm_2011_11_zu_1

まずは図1のリズム譜を見てほしいんだけど、このジャンルのリズムは、いわゆる4つ打ちとは少し違う。テンポ自体はわりと速めなんだけど、1&3拍目にバスドラ→スネアの順番で、まるでハーフ・タイムのように太いビートが来るのが特徴だ。

▼クリックで拡大

mi_bm_2011_11_score_3

これを踏まえてEx-3では、はじめの4弦3フレットG音はハーフ・チョーキングのような感じでピッチを上げ下げして、音が途切れないようにしっかりと伸ばそう。このブレた感じがフレーズを粘り強く、そして3拍目のスネアを重く感じさせていて、聴き手を引っ張り込むんだ。

その次に来る16分の連打は、4小節の3連フレーズと合わせて、まさにダブステップらしさの象徴と言える。シンセ・ベースでは、これをLFOやフィルターを使って、瞬時に切り替えながら演奏するんだけど、ビートに音が少ないぶん目立っているよね。

意外とBPMが速いので、特に4小節では16分から3連への切り替えに気をつけよう。オクターヴを使って、さらにシンセ・ベースらしさを演出するのもGOODだね☆。

4:ダンス・ロック

そしてコレ! みんな大好き、ダンス・ロックだ。

mi_bm_2011_11_zu_2

図2のリズム譜を見ると、いわゆるロックの8ビートとは少し違っていて、4分音符で鳴っているバスドラが特徴的だね。さらにはハイハットにも秘密があって、一般的な4つ打ちでは、8分音符がオープン/クローズと交互に並んでるんだけど、今回の譜例では16分。それがチョット遅めのBPMと相まって、力強い感じを与えてるんだ。

▼クリックで拡大

mi_bm_2011_11_score_4

それではEx-4を見てほしい。各小節とも1拍目に来る4分音符はルートを押さえるのがセオリーで、ここはハッキリとコード感を出しつつ、ほかの音よりも力強く、しっかりとバスドラを捕らえて演奏するようにしよう。

それに続く16分ウラからのフレーズは、はじめの4分で8ビートの印象を残したまま、少し跳ねた感じで入れるようにしたい。……これがなかなか難しくて、このビートのハイハットは、細かく言えばただのストレートじゃなくて、シャッフルに近いフィーリングのストレートなんだ(笑)。でも、そのおかげでビートに泥臭いロックっぽさを与えているんだね。

最後に……

今回紹介した4つのジャンル、なんとなく特徴を掴めたかな? ダンス・ミュージックの世界では、いろんなジャンルが日々ミックスされているんだけど、それぞれは遠いようで近いんだ。どのジャンルもそれぞれの重要なポイントを押さえつつ、ダンス仕様にアレンジされてるところが醍醐味で、新しい組み合わせを見つけられれば、もっとカッコよくて踊れる曲を作れるんじゃないかな。

Mars(マース)プロフィールmi_bm_2011_11_instructor

Paraele Stripesのベース・ヴォーカル、プログラミング&LEDメガネ担当。MIハリウッドを卒業後、アメリカでスタジオ・ミュージシャンとしての活動から災害救済のためのチャリティー・イベント制作、ローカル・アーティストのプロデュースまで、多岐にわたる活動を展開する。

帰国後はParaele Stripesを始動し、ex.ビート・クルセイダーズをはじめVelvet Teenなど、多くの国内外アーティストと共演。ダンス・ロックを広めるための布教活動で全国を飛び回っている。自身の活動としても、数々のリミックス・ワークやレコーディング、アーティストとしての作品を日々世に送り出している。

MI福岡校ではBIT、BVTの講師を務めており、このセミナーには「踊れるロックのベース・ラインを体験しよう!」以来2度目の登場だ。

■本記事について

本記事は、『ベース・マガジン2011年11月号』掲載のページを転載したものです。

『ベース・マガジン2011年11月号』の詳細を見る

MI JAPAN OPEN HOUSE:3誌連動・動画クリニック

mijapan-footerlogo.jpg

MI Japanは、ハリウッドにある世界最大級の音楽学校MI(MUSICIANS INSTITUTE)の日本校として、全国6ヵ所に拠点を置くミュージシャン養成機関。

MI JAPAN各校の詳細はmusicschool-navi.jpで!

OPEN HOUSEロゴ

MI Japanのプログラムを1日に凝縮した体験レッスンのこと。レギュラー講師によるクリニックなどにも,レベルを問わず誰でも参加可能。参加には予約が必要。スケジュールなどは、http://www.mi-japan.com/event/open-house.htmlでチェック!

3誌連動動画クリニックに登場した講師陣のプロフィールはこちら

TUNECORE JAPAN