ベースの演奏ガイド”指板の歩き方”/MI Japan ベース・クリニック

MI JAPANベース・クリニック by 佐藤健二 2011年8月25日

幅広いポジションで表情豊かな演奏をするには、指板上に散らばる音を覚えることが不可欠。しかし、ちょっとしたポイントを知っておくだけで、音を見失う失敗もグッと少なくなるのだ! そんな魅惑の演奏ガイド──題して”指板の歩き方”をお届けしよう。

INTRODUCTION

初めまして、MI JAPAN仙台校の佐藤健二です。

今は夏真っ盛りで旅行に行く人も多いと思いますが、旅先で道に迷うと不安になりますよね? それと同じで、ベースを弾くときも指板上で迷子になると、とても不安になります。かと言って、毎回同じポジションで同じフレーズしか弾くことができないというのもつまらないもの。そういうわけで、ここでは快適な演奏のガイドとなる、”指板の歩き方”についてレクチャーしたいと思います。

指板がクリアに見渡せるようになると、(1)自分がキーやコードに対してどのような音を使っているのかがわかる、(2)フレーズごとに効果的なポジションを選べるようになる、などのメリットが得られるのです。

MI JAPAN 仙台校 BIT科講師 佐藤 健二 Bass Magazine2011年8月号記事

STEP1:ポジションを作る〜ワン・ポジションで弾く

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ベースはコードに合わせてフレーズの平行移動が可能な楽器であり、それは演奏するうえで大きなメリットになります。しかし指板がクリアに見えていない状態で、ただテンプレートのように覚えたコードの形をルートに合わせて移動するだけになってしまうと、スケールとコード・トーンの関係が捉えづらくなってしまいます。

ベースの指板にはフレットとポジション・マークがあるだけで、見た目でわかりやすくポジションを区切るようなものがありません。そこで、まずは頭のなかで国境線を区切るように、それぞれポジションを作ってみましょう。このときの基準は”左手が最も効率よく押さえることができる形”にすること。これを踏まえて、Cメジャー・スケールをいろいろなポジションに分けたものが図1です。ポジション分けが終わったら、まずはどれかひとつのポジションを使って1曲を通して弾いてみましょう。 この場合はコードごとにポジション・チェンジをする必要がなくなるため、スケールとコード・トーンの関係が把握しやすいのがメリットですね。

ワン・ポジションで弾ける音を把握するには、スケール練習とあわせてコード・アルペジオを弾いてみると理解が早いと思います。Ex-1では3フレットまでの音でアルペジオを弾いていますが、ベースの音域の都合上、4和音を弾くと音を上に重ねられない部分も出てきますので、その際はTAB譜のように1オクターヴぶん落として弾きます。曲を通して弾くときも、これと同様にしてみてください。

このときのポイントは、ポジション内のトーナル・センター(調性の中心になる音、Ex-1の場合は丸で囲ったC音)と標準スケール (同様にCメジャー・スケールの各音)を常に意識することです。それを踏まえて、Ex-1上段の指板図のように、コード進行にあわせてコード・トーンが移り変わってみえるようになるのが理想。曲に合わせて鍵盤が光る、子供用のキーボードみたいなイメージですね。

STEP2:ポジション・チェンジに挑戦!

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ワン・ポジションで1曲を通して弾けるようになったら、次のステップは異なるポジションをスムーズに行き来することです。ポジション・チェンジは、おもに(1)音域の拡大、(2)弦やポジションごとのニュアンスの違いを出す、(3)弾きやすいポジションを選ぶ、ということを目的にする場合が多いと思います。ベースやギターは異なる弦に同じ音が複数ありますから、ポジション間の行き来は、それぞれの弦上にあるトーナル・センターを目印にするとスムーズです。旅行でも、道に迷わないためのコツは大きな建物などを目印にすることですが、これが指板の見方に関してもそのまま当てはまるわけです。先ほど説明した”どのポジションで弾くときもトーナル・センターの音を意識し続ける”ということにつながってきますね。

これを理解したらEx-2に挑戦です。Ex-1と同じ要領で、今度はポジションをまたぎながらコード進行に合わせたアルペジオを弾いてみましょう。このとき、(1)トーナル・センターの音、(2)スケールの構成音、(3)コードの構成音が見えているかを確認しながら弾いてみてください。譜例のキーはCですが、キーが変わってもメジャー・スケールの音の配列は変わらないので、ひとつのキーで弾けるようになればスムーズな移行ができると思います。

STEP3:フレーズ別・ポジション移動の考え方

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最後に、曲中でよく見るパターンを例に、実践的なポジション・チェンジを考えてみましょう。

例1:複数のポジションを経由する

プリングやハンマリングのように、1本の弦上を移動していくようなフレーズで複数のポジションをまたぐ場合には、自分が今、どのポジションにいるのかを忘れてしまいがちです。しかし、このときも常にポジションと、ポジション内の音の配列を意識しながら弾くことが大事。Ex-3は考え方の一例ですが、常にトーナル・センターとポジション内の音が頭のなかに見えている状態が理想です。

例2:離れたポジションに移動する

ベーシックなリフのなかに高域のフィルを入れるようなケースが、これに当てはまります。Ex-4ではキーをCmとして、Cナチュラル・マイナー・スケールで弾いています。これはE♭メジャー・スケールと同じ構成音になりますが、指板上ではCの音を中心に見るようにすると、大きく高域に飛んでもポジションや構成音を見失わずに済みますよね。

最後に……

指板がクリアに見られるようになれば、プレイに対する理解が深まり、ベースを弾くのがさらに楽しくなります。指板の見方は読譜と同じで、スタイルやジャンルに関係なく、訓練すればするほどはっきりと演奏に反映されてくるスキルです。これをきっかけに、取り組んでみてもらえたら嬉しいです!

佐藤健二(さとうけんじ)プロフィール

bit-SatoKenji17歳からエレキ・ベースを始め、パット・メセニー、矢野顕子、サンバランソ・トリオなどに影響を受ける。甲陽音楽学院在学中に上山崎初美氏にコントラバスを、その後はベースや音楽全般を瀬川信二氏、子安フミ氏、石ヶ森宗悦氏に師事。現在はセッション/サポートを中心に活動しつつ、MI JAPAN仙台校でも教鞭を執る。

■本記事について

本記事は、『ベース・マガジン2011年8月号』掲載のページを転載したものです。

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