ポリリズムを使ってリズムに変化を!/MI Japan ベース・クリニック

MI JAPANベース・クリニック by 宮本旭 2011年4月20日

発想を少しひねるだけで、途端に楽曲が生き生きするのも音楽のおもしろさだ。そして今回取り上げるポリリズムは、まさにマンネリ気味のフレーズに新鮮な驚きを与えることができるテクニックである。これをマスターして、ドラマーと一緒に演奏してみよう!

INTRODUCTION

みなさん、こんにちは。MI札幌校の宮本旭です。今回は”ポリリズムを使ってリズムに変化を!”というテーマで、ポリリズムの仕組みや、実際にアンサンブルでも使えるフレーズについて勉強していきます。

そもそも”ポリリズムってなに?”という人は、まずPerfumeの「ポリリズム」という曲を聴いてみてください。この曲は日本人なら誰でも知っているというくらい有名ですが、1コーラスが終わったあとの間奏と曲の最後に、リズムが取りづらいセクションが出てきます……まさにこれが”ポリリズム”です。

今回はそんなポリリズムを使って、ロックの8ビートのフレーズに細工をしていきたいと思います。少しひねりを加えるだけで、一瞬にして曲のムードをガラっと変えることができるこのテクニックを、ぜひ身につけてください!

【MI×ベーマガ】OPEN HOUSE/宮本旭

ポリリズムを体験してみよう!

ポリリズムって何だ?

普段、皆さんが耳にする音楽の多くは4/4拍子で、特にポピュラー・ミュージックでは、そのほとんどが4や8といったリズムの集合体になります(曲自体はAメロ、Bメロなどのセクションからできていますが、これも8や16小節でひとつになっていることが多いです)。小節単位で考えても、4/4拍子では4分音符が4つで1小節。フレーズ単位でも、やはり4や8でひとかたまりになっていることが多いですね。

このことからも、4を基本にしたリズムが自然で聴きやすいことは間違いないでしょう。このなかに、あえて4で割り切れない3や5や7のかたまりで組まれたフレーズを入れることをポリリズムと言います。

先ほどのPerfumeを例に挙げると、歌詞に”ポリリズム”という言葉がありますが、この5文字を8分音符に乗せて繰り返していくと、図1のようにアクセントである”ポ”の音が小節や拍のアタマからどんどんずれていきます。同様に”リズム”と3文字を繰り返す部分でも、図2のように同じ現象が起こります。この仕組みを8ビートに当てるだけで、フレーズがとてもトリッキーになるのです。

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“3つでひとつ”のポリリズム

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では、実際にポリリズムを使ったフレーズを体験してみましょう。まずは8分音符×3つでひとかたまりのフレーズに挑戦です。Ex-1は、8分音符3つのうちの初めのふたつを弾いて、3つめを休符にしたフレーズです。これだけでもリフっぽく聴こえますが、ポイントは勢いで弾ききってしまったり、歌っているように弾かないこと。8小節というサイクルは守らないといけないので、4分音符をしっかりと体で刻み、小節数をカウントしながら弾くことが大切です。

Ex-2は、Ex-1のリフに8ビートのルート弾きフレーズを組み合わせたパターンです。4小節最後のシンコペーションからリズムが変わることで、ルート弾きのドライブ感が増したり、開放感があるように聴こえたりしますよね。バンドで合わせる際には、はじめの4小節はバスドラとベースを同じリズムで鳴らすと雰囲気が出ます。

“6つでひとつ”のポリリズム

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ここからは、8分音符6つでひとかたまりのパターンに挑戦していきます。Ex-3は8分音符6つのうち、はじめの3つを弾いてうしろを休符にしたフレーズ。Ex-1とくらべて、このほうが休符が長くスペースがあるのでヘヴィに聴こえます。注意点はやはり一緒で、”ダダダッ”と弾くのではなく、しっかりとカウントを取りながら弾くことです。Ex-4は、これに8ビートのルート弾きを組み合わせたパターンです。構成やコード進行はEx-2と同じですが、もっとスペースが欲しかったり、ヘヴィにしたいときに使えるはずです。こちらもバンドで合わせる際には、はじめの4小節のバスドラをベースと同じリズムにしてもらうと雰囲気が出るでしょう。

Ex-5も Ex-3と同じく6つでひとかたまりのフレーズですが、こちらははじめの4つ分を弾いたパターンです。弾く音をひとつ増やして、休符をひとつ減らしただけなのですが、実音が4、休符が2と数えやすいフレーズなので、弾いた印象がまた違いますね。ちなみに、このフレーズにもルート弾きを組み合わせて弾いてみてください。するとどうでしょう?Ex-4とくらべてはじめの4小節が少し違うだけですが、後半の聴こえ方が変わっていることに気づいたでしょうか? このように前のフレーズやリズムによってニュアンスが変わることも、覚えておくときっと役に立つと思います。

“3つでひとつ”をシャッフルに!

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Ex-6&7では、改めて3つでひとかたまりのフレーズについて考えてみましょう。Ex-6は8分音符3つの長さをすべて実音で弾いていて、はじめのふたつ分を4分音符、3つめを8分音符にしたパターン。ここでは4分をE音、8分をD音で弾いていきます。これまでと違って休符がないので、さらにシビアにリズムを感じてしっかりと弾きましょう。

Ex-7はドラムと合わせて弾いてほしいフレーズなのですが、ベースはEx-6と同様に弾き、譜例のとおりに4小節で一度フレーズを完結させてみましょう。そして5小節からまた弾きはじめ、6小節4拍目ウラからは今までの4分音符を8分にして、そのふたつめを休符にします。こうすることで、シャッフルなどでよく見られる”ダッタダッタ……”の3連符のリズムに聴こえてきます。そこから通常のフレーズに戻れば、ものすごくトリッキーに聴かせることができるのです。ちなみに、ドラマーには最初の4小節を普通の8ビートで、5小節からベースのアタックと同じところでビートを打つように叩いてもらうと、もう完全に3連符に聴こえますね。そこからストレートなリズムに戻ると、まるでテンポが変わったような効果を演出できます。

最後に……

今回紹介したネタを、僕自身はロック・バンドの作曲やアレンジで使うことがあります。ベースでメロディアスなリフを作ろうとしても、やはりギターにはかないませんし、”リズム体で何かおもしろいリフを作れないか? “と考えたときにポリリズムに行き着きました。ここで取り上げたフレーズ以外にも5や7の数を使ったりと、応用範囲は広いですからね。さらに今回はほぼルート音しか使いませんでしたが、そこにメロディを当ててもたくさんのフレーズを作れると思います。この仕組み自体はジャズのセッションでもよく使われるので、基本を知っていればいろいろな場所で生かして、楽しく演奏できるはず。リズムやアクセントで遊べてしまうのはリズム体の特権であって、それに音程が加わった楽器がベースです。これを機に、少しでも遊び心を持ってリズムに接してもらえれば嬉しいです。

宮本旭(みやもとあきら)プロフィール

bit-miyamoto_akira平成元年2月生まれ。07年にMI JAPAN札幌校に入学し、在学中は自身のバンドで遠征やワンマン・ライヴを行なうなど、精力的に活動。この間にIKUOやポール・ジャクソン、櫻井哲夫といった国内外の有名アーティストのセミナーを受講し、ポール・ギルバート(MR.BIG)とのセッションにも参加した。09年の卒業と同時に同校のBIT科TA(※)に就任し、同年11月には楽器フェアのESPブースにて2日間にわたってデモ演奏を行なう。2010年にサポート・ベースとしてSAPPORO CITY JAZZに参加し、現在はバンドやユニットのサポートなどで活動中だ。

※TA:アシスタント・ティーチャー。MI JAPANのオリジナル制度で、優秀な成績で卒業した学生のなかから選抜され、おもにアンサンブル授業の講師アシスタントとして、母校で音楽の仕事ができる。TAの立場から、日々ミュージシャンの育成に携わることになる。

■本記事について

本記事は、『ベース・マガジン2011年4月号』掲載のページを転載したものです。

→『ベース・マガジン2011年4月号』の詳細を見る

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