“流れ”で弾ける!?簡単ソロ・アレンジ術/MI Japan ベース・クリニック

MI JAPANベース・クリニック by 杉 泰輔 2010年10月19日

“ベースでソロを弾く”なんて聞くと腰が引けてしまう……そんな人は、今回のテーマをチェックしてほしい。難しく思えるソロのフレーズ作りも、ちょっとしたポイントを知っておくだけで、こんなにわかりやすく簡単になるのだ!

INTRODUCTION

ベースの役割と言えば、まずはアンサンブルのボトムを支えることでしょう。しかし、たまには前に出て、ライヴ会場を沸かせるようなソロが弾きたい!……というのは、ベーシストのひそかな願望(?)だと思います。

とはいえ実際にソロを弾くとなると、”どうしていいかわからない”という声をよく聞きます。もちろん、コード(ハーモニー)やスケールに関する知識が必要になる場面もあります。しかし、ちょっとしたポイントを押さえておくだけで、しっかりとストーリー性のあるソロが弾けるようになるのです。

そのキーワードは、ズバリ”流れ”。ここでは音楽の理論的なことは少なめにして、”流れ”をテーマにベース・ ソロの構築術を解説していきます。これさえ知っておけば、あなたも簡単にベース・ソロが弾けるはず!

▼対応動画【MI×ベーマガ】OPEN HOUSE/杉 泰輔「ソロ・アレンジ術」#1

▼対応動画【MI×ベーマガ】OPEN HOUSE/杉 泰輔「ソロ・アレンジ術」#2

Chapter 1:起承転結に分割して考える

今回は、16小節のソロの場合を例に考えていきましょう。単純に16小節と言っても、その長さをきちんと体感するのは、慣れないとなかなか難しいものです。そこで、まずは16小節を4分割して、4小節ずつのブロックに分けてみます。こうすれば、ソロ全体の長さの把握も楽になりますよね。とはいえ、やみくもにソロを弾いても散漫な印象になるだけ。そこで、最初に各ブロックに名前をつけて、それぞれの構成と役割を簡単に決めておきます。すなわち、【1】最初の4小節=起、【2】2番目の4小節=承、【3】3番目の4小節=転、【4】ラストの4小節=結。……そうです、16小節を”起承転結”という4つの”流れ”で捉えるのです。

次に、それぞれのかたまりでどういうフレーズを弾くのかをイメージします。【1】起:ストーリーの始まりなので音数は少なめに。【2】承:起の部分を受けてストーリーを広げ、音数を増やす。【3】転:承から一転してストーリーを別の展開に持っていく。そのために印象的なフレーズを組み込む。音数は必ずしも多くなくてOK。【4】結:ストーリーを終わらせるパート。終わりを告げるための、ラスト1小節くらいがとても大事になる。

この”流れ”の付け方を基本にして、ソロにトライしてみましょう。譜例では、Aの一発で合計16小節のソロ(Ex2〜5)をやってみました。使っているスケールはAのマイナー・ペンタトニックを中心に、♭5音であるE♭、それからクロマチック・スケールを少々加えるといった感じです。テンポはBPM88で、曲調はファンク・ビートにしてみました。

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mi_bm_2010_10_score1-5

Ex-1は曲の基本となるグルーヴを示しており、1小節と3小節は同じフレーズです。譜面ではゴースト・ノートを多用しているように見えますが、実際にはごく小さい音で鳴らすだけで良いでしょう(とはいえ、ノリを出すためには重要です)。

さて、ここからが本題。Ex-2はソロの起にあたるフレーズで、基本のグルーヴと同じように1拍目にルートのA音を弾いて、スムーズにソロに移行しようとしています。また音数は少なめで、1小節と3小節はほぼ同じパターンになっていますね。

Ex-3)は承のフレーズで、ここからは1拍目のA音がなくなります。また、ここでも1小節と3小節はほぼ同じパターンです。

Ex-4は転のフレーズで、一気にハイ・ポジションに跳んだり、コードを弾いたりしてソロ全体に広がりが出るようにしていま す。今までの流れをガラリと変える、まさに”転”のフレーズだと言えますね。しかし、ここでも1小節と3小節目はほぼ同じパターンをキープしている点に注 目してください。

そしてEx-5は結の部分で、転の部分よりも少しだけ動きのあるフレーズにしています。奇数小節の前半2拍と後半2拍はオクターヴ違いのフレーズになっており、最後の部分は下降フレーズを弾いていて、ソロが終わる感じを表現しています。ここもまた、奇数小節は同じパターンになっていますね。この結の部分はストーリーを終わらせるのにとても大事なブロックですが、それ以上に、基本となるグルーヴにしっかりと戻る(=曲の基本にしっかりと着地するようなイメージ)ことも重要です。特にジャム・セッションなどでは、自分が弾いていたはずの基本グルーヴを忘れてしまって着地できない……なんてケースもよく見かけます。極端に言えば”終わり良ければすべて良し”ですから、ここはきちんと締めたいところですね。

ちなみに、奇数小節でパターンの繰り返しを意識しているのには、ソロのなかでフレーズのまとまり感を出す目的もあります。そのほかに大事なことは、特にバンドのアンサンブルのなかでソロを弾くなら、ほかの楽器に効果的なサポートをしてもらうことでしょう。動画では、転の部分からエレクトリック・ ピアノのバッキングが入ってきますが、これは転のイメージ演出にひと役買っています。同じ部分で入るドラムのライド・シンバルも、同様の効果を与えていると言えますね。そして、やはり小節の長さをしっかりと把握しながら演奏するには、ある程度の経験が必要です。慣れるまでは友達に手伝ってもらい、カウントしてもらいながら弾くのもひとつの練習法だと思います。これは意外と効果的ですよ。

Chapter 2:応用課題にチャレンジ!

次は応用篇として、起承転結を意識しながら、違うリズムで16小節のソロにチャレンジしてみてください。

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課題となる基本グルーヴはEx-6で、キーやコードは先ほどと変わりませんが、BPM69のハーフタイム・シャッフルと呼ばれるリズムを使っているのでだいぶ印象が変わったのが伝わると思います。回答例は動画を参照してほしいのですが、このソロにしても考え方はまったく同じで、基本は4小節ごとに流れをつけたパターンです。特に転の部分はハイ・ポジションの音を使ったコード弾きで、先ほどの例とほぼ同じフレーズです。

そしてもうひとつ、Ex-7ではBPM163での基本グルーヴ・フレーズを紹介しておきます。動画の例では32小節の尺で演奏していますが、テンポが早いので今までの16小節ソロと長さはあまり変わりません。

16小節のソロ構築術はいかがでしたか? ここで紹介した方法は、あくまでも一例に過ぎません。ただ、何をどうして良いかわからないという場合には、参考になるはず。何度も繰り返してみることで、自分なりの方法が自然とできてくるはずですよ。とにもかくにも、まずはトライしてみましょう!

杉泰輔(すぎたいすけ) プロフィール

bit_sugi10歳くらいの頃に父親がかけていたマイルス・デイヴィスの『ウィ・ウォント・マイルス』を原体験に持ち、運命に導かれるようにベースを手にする。ロック、ポップス、ファンク、R&B、フュージョン、ジャズ、さらにはクラシックまでさまざまなセッションを行なう活動をしながら、01年4月からMI JAPAN福岡校のBIT講師としても教鞭をふるっている。多岐にわたるジャンルのセッション現場で鍛えられた経験をもとにした授業が人気を集めている。

 

■本記事について

本記事は、『ベース・マガジン2010年10月号』掲載のページを転載したものです。

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