レイキングを使いこなそう/MI Japan ベース・クリニック

MI JAPANベース・クリニック by 杉 泰輔 2010年2月12日

MI JAPANの講師陣を招いての誌上特別セミナー。今回は、1回のピッキングで数個の音を鳴らせる”レイキング”がテーマです。使いこなすことができれば非常に効率的なこの奏法をマスターすべく、杉先生おすすめの実例フレーズを中心に勉強していきましょう!!

INTRODUCTION

こんにちは。MI JAPAN福岡校の杉です。今回私が担当する誌上セミナーでは”レイキング”を取り上げます。レイキングは、ピッキングのテクニックのひとつ。ギターの奏法で言う”スウィープ”の片道バージョンととらえるとわかりやすいかもしれません。スウィープでは、低音弦から高音弦(その逆も)に向かって弦を弾きますが、レイキングでは高音弦から低音弦に向かうのがほとんど。紹介する譜例では、最大で3音までのレイキングしか使っていませんが、想像力をたくましくして自分なりの4音レイキング奏法を編み出しても、もちろんよいですよ。

ちなみに、私が一番最初にレイキングを聴いたのは、ジャコ・パストリアスがカバーしたビートルズの「ブラックバード」だったと思います。20年くらい前の話ですが、今聴いても弾いても楽しめるフレーズです。さすがは、ジャコ!

Chapter 1:レイキングの方法と注意点

実例フレーズに取りかかる前に、レイキングの効能と注意点を説明しておきます。効能のひとつは、例えばオルタネイトのピッキングでは速すぎて弾きにくいフレーズでも、レイキングを使えば対応しやすくなること。特に弦移動がある場合には効果大です。また、1回のピッキングで弾ける音数が多いのも特徴。4弦ベースなら1回のピッキングで最大4音を弾ける奏法です。

レイキングは実音でもゴースト・ノートとしても使えますが、実音を弾くときに特に大事になるのが、”左手のミュート・テクニック”。最初に弾いた音を完全にミュートしてから次の音を弾かないと2〜3音が同時に鳴ることになり、音が濁る可能性大です(実際には、ゴースト・ノートを弾くときでもミュートはきちんとやります)。

以上を踏まえてEx-1を見てください。これはレイキングのピッキング・パターンです。

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Ex-1aは2音レイキングのパターンです。譜例では1弦と2弦を使っていますが、2弦と3弦、3弦と4弦の、全部で3種類のパ ターンができますね。Ex-1bは3音レイキングのパターンです。ここでは1〜3弦を使っていますが、2〜4弦を合わせると2種類のパターンができま す。譜例の→を見ると、常に高音弦から低音弦に向かっていることが再確認できると思います。

Chapter 2:実践レイキング・フレーズを弾こう!

やり方がわかったら、早速実践的なフレーズを弾いていきましょう。

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Ex-2:
ゴースト・ノートを混ぜたファンクのフレーズで、Aのマイナー・ペンタトニック・スケールを中心に作っています。まず1小節目ですが、2拍目で2弦から4弦に向かってレイキング。3音レイキングですが、3つ目はAの実音を弾いています。4拍目のゴースト・ノートは同一弦上でもプレイできるのですが、リズムのフィールを変えるためにあえてレイキングにしています。2小節目と3小節目も2音と3音のパターンを使っています。4小節目では、フィルインで音域が上がっていますね。これもゴーストで、ここでは32分音符をレイキングします。このフレーズをベース単体でプレイしてノリが出せたらかっこいいですよー。

 

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Ex-3:
引き続きファンクのフレーズです。ここでは、フィルインにレイキングを使っています。32分音符の嵐で譜面はややこしそうですが、実は押弦上はほとんど同じ形を平行移動しているだけです。フィルインは演奏するのが大変かもしれませんが、リズムを少しだけレイドバックさせてうしろに引っ張るように意識して弾くと心地良い感じになりますよー。でも、速いフレーズをちょっと遅れるようなニュアンスにするのは難しいですけどね。ちなみにこちらも、Aのマイナー・ペンタ中心のフレーズです。

 

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Ex-4:
今度は、スウィングのベース・ラインです。4ビートは一般的に、1小節に4分音符を4つ弾いてリズムを作りますが、ウッド・ベースの演奏を聴くと、ウラ拍で実音やゴースト・ノートを弾いて、リズムをより強調している場合があります。そのウッドの演奏では開放弦を使っているようにも聴こえることがありますが、エレキ・ベースでやるとこんな風になりました。2音、3音のレイキングでウラ拍をゴーストで弾いています。このラインも、ベース単体で弾いてノリが出せたらかっこいいですね。

 

▼対応動画 【MI×ベーマガ】OPEN HOUSE/杉 泰輔「レイキング」#1

 

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Ex-5:
Ex-4に続きスウィングのリズムで、ここではソロを弾いています。そのなかで、”3連符の4つ取り”をやっています。4拍3連とも呼ばれるもので、1小節のなかで4つでひとかたまりのフレーズを3つ弾くものです。ここでは、ひとかたまりフレーズの2〜4つ目の音をレイキングです。譜例は、Dドリアンのモードを想定していて、単純に言えばキーがCのダイアトニック・コードのアルペジオを弾いています。このように、アルペジオを弾くのに、レイキングはピッタリな奏法なのです。

 

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Ex-6:
またまたファンクのグルーヴに戻ってきました。これはE一発のフィルイン、またはソロのアイディアです。譜面は見るのもイヤになるくらいややこしそうですね。譜面に書かれている丸数字は、どの指でピッキングをしているかを書いています。(1)は人差指、(2)は中指となっています。これを見ると、レイキングとはいえ完全なオルタネイト・ピッキングになっているのがわかると思います。リズム的には”6連符の4つ取り”、つまり6連符のなかで4つひとかたまりのフレーズを中心にしています。ちなみにこれはEドリアンを使っていて、Dメジャーのダイアトニック・コードのアルペジオです。

 

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Ex-7:
最後は、Ex-6と同様のファンク・グルーヴで、こちらはソロのアイディアです。今までに紹介したアイディアにはないテクニックが盛り込まれていますが、わかりますでしょうか? 2音レイキングで、1番目の音と2番目の音の間に開放弦に向けてのプリング・オフが入っているのです。このアイディアを使うと、たくさん音を弾いているように聴こえ(まあ、ある程度はたくさん弾いているのですが……)、ソロを盛り上げたいときには役に立つテクニックと言えますね。リズム的には、”16分音符の3つ取り”から6連符のリズム・チェンジを途中にはさんでいます。もっと速く弾けるという人は、32分音符まで細かく弾いてみても、おもしろい効果が得られるかもしれません。

 

▼対応動画 【MI×ベーマガ】OPEN HOUSE/杉 泰輔「レイキング」#2

いかがでしたか? レイキングの実例をやってみましたが、今回の例はあくまで私自身がやりやすく、かつよく使っているテクニックを紹介したにすぎません。これをヒントに、自分の弾き方を模索し、自分なりの演奏を見つけ、さらにその方法論を持てるようにがんばってください。それでは、続きはMIで。

杉泰輔(すぎたいすけ) プロフィール

bit_sugi10歳くらいの頃に父親がかけていたマイルス・デイヴィスの『ウィ・ウォント・マイルス』を原体験に持ち、運命に導かれるようにベースを手にする。ロック、ポップス、ファンク、R&B、フュージョン、ジャズ、さらにはクラシックまでさまざまなセッションを行なう活動をしながら、01年4月からMI JAPAN福岡校のBIT講師としても教鞭をふるっている。多岐にわたるジャンルのセッション現場で鍛えられた経験をもとにした授業が人気を集めている。

■本記事について

本記事は、『ベース・マガジン2010年2月号』掲載のページを転載したものです。

→『ベース・マガジン2010年2月号』の詳細を見る

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