目指せ、理系ベーシスト! トリック・フレーズ入門!!

MI JAPANベース・クリニック by Y.O.U. 2015年2月19日

 毎年2月号と言えば、そうです、僕の登場です。というわけで、お久しぶりの皆様も初めましての皆さまも、等しくまとめてこんにちは、Y.O.U.です。前回登場の直後に、ESPさんとモニター・アーティスト契約を結ばせていただきまして、今回はその楽器を余すところなく紹介するという裏テーマを抱きつつの登場であります。って、あれ、裏テーマ先に書いちゃったよ。先行き不安ですね!! 今回のテーマは“目指せ、理系ベーシスト!”ということで、音楽を数学的視点から捉えてみようという、この時点で諸兄の3分の2が読む気をなくしたのではないかという大きな不安を抱きましたが、大丈夫、僕は文系出身です(え?)。“目指す”わけですから、文系な諸兄にこそ読んでもらいたい。だってほら、理系のほうがモテますし(笑)。さぁさぁ、毎度支離滅裂な前口上はこの程度でサクッと矛を収めておきまして、早速、迅速SSDドライヴ並みの軽快さで、本題に入っていきましょう!! レッツプレイ!!

 STEP1 4/4 vs 3/8

皆さん、“ポリリズム”って言葉、聞いたことあります? “複数の異なる拍子が同時に演奏されている状態”と書いて理解できる人は、むしろ文系脳。ざっくり表現すると、例えば4/4で演奏されている楽曲の最中、“オレはひとりで7/8気分を味わっちゃうぜ、おっとお前らはついてくるなよ!?”とかいう非常に迷惑な発想をアンサンブルに持ち込むことです。本当に、何を考えているのかわかりません。たぶん、病気だと思います。

仕組みはこうです。例えば4/4拍子=8分音符で考えると8つ分、というのは小学生でもわかる簡単な構図ですが、そこに8分音符3つとか5つとか6つとか、とにかく8の倍数、約数じゃない数で構成されたフレーズを導入するのです。倍数とか約数とか聞いて、目が焼き魚みたいになっている諸兄の顔が目に浮かびました。反省。仕方がないので、手っ取り早く譜面を見てもらいます。まず【譜例1】、3つ割りと表現される、8分音符3つぶんの固まりを連続的に配列した、4/4の譜面です。

ひとつ、演奏してもらう前に注意点があります。メトロノームに合わせる場合は、4/4でアクセントが付くように設定してください。8ビートのリズムマシンに合わせるのが最適ですので、そちらを推奨します。

 

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  アクセントがついている部分が、フレーズの頭。だんだん頭がズレていっているのがわかると思います。ちなみに4/4では、8分音符が1小節に8つ入ります。今このフレーズは8分音符3つで構成されているので、3と8の最小公倍数を求めると=24。8分音符24個分で一巡、ということはつまり、3小節で一巡するということです。ただし、3小節で終わってしまっては音楽的でないので、譜例は4小節目の終わりで辻褄を合わせています。これをフレーズに応用すると、譜例2のようになります。

 

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ロック系の楽曲で、キメ部分とかで使われそうなフレーズでしょう? 実際に、こういうフレーズを演奏したことがある方も多いと思います。バンド全体でユニゾンすればキメになりますが、それでも誰も演奏していないだけで、4/4感がその場には存在しています。露骨にやるだけではないのが、ポリリズムの醍醐味だったりしますね。

 

STEP2 トリック・フレーズへの応用

単純に同じ形を繰り返すだけがポリリズムではありません。瞬間的にリスナーを騙すために、瞬間的に繰り出される割り算フレーズが、時に非常においしい仕事をしてくれるものです。次に紹介する【譜例3】はそんなトリッキーさを内包したフレーズです。

 

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冒頭2音目(F#音)から5つ割りフレーズが始まっています。譜例3は2小節でひとつのフレーズ、という形をとっており、1小節目と2小節目の間は、まさに5つ割りの最中。8ビートのドラムに乗せると意外と普通なフレーズに聴こえてしまいますが、ドラムもユニゾンさせると……(笑)。

 

STEP3 三連割り

ここまではおもに8分音符を使用したアプローチを紹介してきましたが、ここで登場するのが三連という存在です。そもそもこの三連という概念、例えば3連8分であれば、8分音符ふたつ分のなかに音符を3つブチ込む、という行為なわけで、そう、まさにポリリズムなのですね。でも普通に3連符を演奏するだけではつまらないし、トリックにもなりません。そこで、3連符をふたつ割りしてみましょう。こうすることで、例えば.=120の8ビートが鳴っているとすると、同時に.=180で8分音符を弾いている、という、そろそろ帰って来れない領域に旅立てます。うん、自分で書いててこう言うのもなんですが……キモチワルイ☆ まずは、どういうことになるのか実際にフレーズを見てもらいましょう。

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はい、全っっ然ポピュラーじゃありません。的確に表現する言葉を探った結果思い浮かんだのは“苦行”でした(笑)。いやいや、ちょっと待ってください。これはあくまで“素材”なんです。これをどう調理して音楽的におもしろい料理に昇華できるかが腕の見せどころ。さぁ、自分に適度なプレッシャーがのしかかってきやがったぜ。

 

STEP4 実践フレーズ

というわけで総まとめフレーズです。変拍子ではないのに変拍子に聴こえる、という大命題を“やりすぎない”範囲で表現しようと思いましたが……まぁ、ちょっとやりすぎちゃったよね。まぁ、人生、時には、自分の身のほどに合わないチャレンジも必要だ、ということにしておきましょう! ねっ!

 

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冒頭は8分3つ割り〜5つ割り(1〜2小節)、次に16分3つ割り(3〜4小節1拍目まで)、割ってないのに割って聴こえる3拍(4小節2拍目〜)を経て、16分7つ割り(5小節)、再び16分を3で割って(6小節)、3連ふたつ割りから通常の16分に到達(7〜8小節)。んー、“高校生でも弾ける”がモットーの僕の記事としては、少し難易度高めだったかも。でも、基礎さえしっかりできていれば、あとは理解するだけです! 頑張ってみてください!

 

まとめ

さて、今回はちょっと頭を使おう、というテーマでお届けして参りました。“人間は考える葦である”とはパスカルの言葉ですが、最近、考えてもいなければ葦のように柔らかくもない、“考えられない柿”のような方が増えているように思います。あくまで所感ですけどね。たまには小難しいことを考えて、脳細胞を活性化させましょう(笑)!

テクニック的にはそこまで高難易度ではないですが、“難しいことをしている!!”と思わせるには、テクニック以外にも方法があるんだぜ、ということを知っていただければ幸いです。では、また来週ふしぎのせか……もとい、来年このコーナーでお会いしましょう! たぶんね! ごきげんよう! あ、僕の楽器の話、全然しなかった!!

 

本記事について

本記事は『ベース・マガジン2015年2月号』掲載のページを転載したものです。

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