ビギナーのためのスラップ・テクニック/MI Japan ベース・クリニック

MI JAPANベース・クリニック by 南埜啓 2013年7月16日

スラップに憧れて練習を始めたはいいけれど、“どういうフレーズを弾いたらいいのか……”なんて、早くも壁にぶつかっていませんか? 今回は、そんなビギナー諸君にバッチリの練習素材を伝授。これをマスターしたら自在に組み合わせて、自分だけのフレーズを考えてみるのも楽しいぞ!

こんにちは、MI大阪校の南埜です。今回のテーマはスラップ。特に初心者には“スラップは難しい”と感じている人が多いでしょうし、“何をどうやって練習したらいいのかわからない”という人もいるでしょう。実際に、僕も最初は何から手をつけたらいいのかわからない状態でした。ここでは同じ悩みを抱える人のための練習素材として、僕が普段から多用しているフレーズや奏法を紹介していきたいと思います。あせらず取り組めば必ず弾けるようになりますので、頑張って練習してみてください。

Ex-1 左手×右手のコンビネーション 1
難易度 ★☆☆

スラップをリズミカルに弾きこなすには、左手と右手の連携が欠かせません。Ex-1の3&4拍目には大きな“×”が登場しますが、これは左手で鳴らすゴーストノートのことで、右手のサムピング&プルにうまく混ぜると、フレーズをパーカッシブに聴かせることができます。この奏法を使うミュージシャンとしては、ラリー・グラハムやルイス・ジョンソン、マーク・キングなどが有名ですよね。

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肝心の弾き方ですが、まずは余計な音が鳴らないようにするために、左手の人差指で全部の弦に軽く触れ、ミュートしておきます。次に残りの指で弦をヒットするのですが、その際に手のひらと指の軌道を自分のほうに向けるのがポイント。こうすることで、自然と大きな音のゴーストノートが出しやすくなるはずです。これがクリアできたらフレーズを弾いてみてほしいのですが、大事なのは左手と右手のタイミングをうまく合わせること。左手のゴーストを鳴らすタイミングが早すぎても、反対に遅すぎても、ノリの良い演奏にはなりません。

ちなみに、左手ゴーストがなかなかキレイに出せないという人は、ベースの弦高を下げてみるのもひとつの手です。弦高が高いと弦のテンションに左手が負けてしまい、“バチッ”という音がきれいに出づらいですからね。

Ex-2 左手×右手のコンビネーション 2
難易度 ★☆☆

続くEx-2はEx-1の発展形で、ここでもやはり右手と左手の発音タイミングに注意してください。Ex-1は左手のゴーストノートと、右手サムピングのパターンだけでしたが、ここでは1小節3拍目に右手人差指のプルで鳴らすゴーストが登場します。2拍目オモテからの発音順は、右手サムピング→左手ゴースト→右手プル→左手ゴースト→右手サムピング……とトリッキーになり、やや複雑なコンビネーションが求められます。とは言え、手順さえ覚えてしまえばすぐに弾けるはず。遅めのテンポから始めて、じっくり練習してみてください。

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このように少々複雑なフレーズをコピーするときのアドバイスですが、譜面を見ていきなりコピーしようとするのではなく、まずは適当な言葉を当てはめて、どんなリズムなのかを口ずさんでみるのがオススメ。この譜例の1小節ならハンマリングがポイントで、冒頭で2音がつながり、最後で2小節に向けてクっている部分を考え、僕なりに言葉を乗せると“タイ、ア、ツ、ピ、タ、プ”という感じです(笑)。もちろん好き好きで構わないので、自分なりの言葉を見つけて練習してみてください。

Ex-3 スラップでコード弾き!
難易度 ★★☆

Ex-3はスラップにコード弾きを織り交ぜたフレーズです。1小節2拍目ウラにはさっそく3和音が登場しますが、これを僕が弾くときの指使いは、押弦する左手は人差指:4弦、中指:2弦、薬指:1弦。右手は親指:4弦、中指:2弦、薬指:1弦でつまみあげるように鳴らします。

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スラップしながら瞬時にコードを押さえ、3音ピッキングのフォームに移行するのが難関ですが、これらの動作は当然、すべてを同時にこなさないと音が鳴らないうえにリズムもずれてしまいます。スムーズなフォーム・チェンジに気を配りながら練習してください。

次に3小節ですが、3拍目ウラではコードの構成音が少し変わっているのに気づいたでしょうか(細かい話ですが、直前までのフォームがm7で、この音だけはdim7コード。フォームはそれぞれ3弦ルートや4弦ルートの形などがありますが、ここでは4弦ルートにしています)? そのため押弦フォームも少し変わり、左手は中指:4弦、人差指:2弦、薬指:1弦となります。押弦する指の入れ替えは慣れないうちは難しいかもしれませんが、根気強く練習してみてください。

Ex-4 ハンマリングで小指を鍛える
難易度 ★★☆

Ex-4はハンマリング・オンを中心に構成されたフレーズです。これを弾くときの押弦ですが、例えば冒頭ならば開放弦に続いて1弦7フレット:人差指、9フレット:小指というように、4小節をとおして使う指は2本だけで済みます。ハンマリングでは薬指をよく使うという人も、この機会に小指で練習してみてほしいのですが、最初は弾きづらかったり小指の音がうまく鳴らなかったりと、いろいろと問題が出てくるかもしれません。しかし小指が使えると、ハンマリング以外のフレーズもラクに弾けるようになるメリットがあります。

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そしてこれまでに注意点として挙げていた発音のタイミングですが、このフレーズを弾くときにも同じように気にしてみてください。特に小指を使い慣れていない人の場合は、ハンマリングの発音タイミングを待ちきれなかったり、指がついていかずに遅すぎたり、ここだけリズムがよれてしまいがちです。これを防ぐためにもメトロノームを使って、遅めのテンポから弾き始めるのが上達の秘訣。指の使い方が身についてきたら、2弦や3弦を中心に練習してみるのも良いでしょう。

Ex-5 仕上げの総合フレーズ
難易度 ★★★

最後のまとめとして、今回練習した要素をすべてまとめた総合フレーズを用意しました。リズムは16分音符が主体ですが、基本的にはこれまでに登場した譜例の2小節ぶんを1小節にまとめたものだと考えてもらえればOKです。目標は♪=130と少し速めのテンポでも弾けるようにしたいところですが、そのくらいになれば弾きごたえも充分にあるはず。こういった速いフレーズを弾くときに大事なのが、“どれだけ力を抜いて弾けるか? ”です。ムダに力んだ状態ではサムピングが追いつかなかったり、リズムがよれたりしがちなので、できるだけ脱力することを心がけてください。

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さらに“これでは物足りない! ”という人にオススメしたいのは、メトロノームを使ってクリックのウラに合わせる練習方法です。オモテのクリックに合わせようとすると、多少リズムがずれていてもなんとかなってしまうのですが、ウラだと途端に難易度が上がります。特に3小節のコード弾きの部分などは、かなり難しく感じるはず。これがサラっと弾けるようになれば、かなり力が抜けてきている証拠ですので、頑張って挑戦してみてください!

左手ゴーストやコード弾き、ハンマリングなど、スラップは相性の良いテクニックと組み合わせることで、簡単かつ華やかにアレンジしやすいのも魅力です。今回の内容を踏まえて、ぜひともオリジナルのパターンを研究してみてください。そしてスラップが難しくてなかなか上達しないという人も、あきらめずに練習すれば必ずできるようになります。僕は学生のときに、楽器屋の試奏で目立ちたいがために必死でベースを練習しましたが(笑)、中身はどうあれ目標を持つことも、ベースがうまくなるための大事な要素だと思います。みなさんも、ぜひ目標を持って練習に取り組んでみてください。

南埜啓

131016-i-bass-13071988年6月21日生まれ、香川県出身。高校を卒業後、音楽専門学校に進学。在学中からさまざまなバンドやレコーディングを経験し、卒業後はMI JAPAN大阪校のほかにも、ロキシー・ミュージック・スクールで講師を務める。好きなベーシストは青木智仁、鈴木渉、須藤満などで、自身のバンドBlky、TRICKandTREATでも精力的に活動中。

本記事について

本記事は『ベース・マガジン2013年7月号』掲載のページを転載したものです。

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