ピック弾きの可能性を再検証!/MI Japan ベース・クリニック

MI JAPANベース・クリニック by 河本奏輔 2013年6月16日

“ベースで速弾き! ”というと、なにやら偏ったプレイに思われがち。しかし技巧的なプレイには、ピッキングや運指といった基礎力の高さが求められるのも事実だ。それを逆手に取れば、あらゆるベーシストに向けた基礎トレに生かせるのでは……!? 今回は、そんな斬新な発想に基づく練習法を伝授しよう!

こんにちは! MI東京校の河本奏輔です。今回のお題は“2フィンガーでの速弾き”。ソロをとる頻度の高いジャズやフュージョン、高速ユニゾンを聴かせるメタルやハードロックならともかく、一般的に速弾きが必要とされる場面は少ないはず。しかしベースで速弾きをするためには、ムダのないピッキングと運指、そして両手の動きをシンクロさせるタイミングといった、基礎力の高さが必要です。裏を返せば、速弾き用の練習はベースの基礎力アップにも生かせるということ。“速弾きなんて……”という人も、ぜひ挑戦してみてください!

Part 1 まずはピッキングを固める

速弾きには、精度の高いピッキングが不可欠です。指の振り幅をコンパクトにしたムダのない動きと、手は脱力しつつも弦に当たる瞬間の指先に力を込める瞬発力。それによって得られる立ち上がりの速さとツブ立ちの良い音は、フレーズにスピード感をもたらします。まずは最小限の力と動きで弾きつつも、しっかり音を出せるようにすることが最初の課題と言えるでしょう。

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Ex-1は16分音符をひたすらピッキングする練習です。リズム譜に合わせて適当な音程を当てて弾いてみてほしいのですが、先述の注意点を忘れずに、音のツブがきちんと揃うように意識してみてください。

Ex-2では、そこにアクセントを加えています。もちろんアクセントが付いた部分は強く、それ以外は普通にピッキングするのですが、このときにできる限りの音量差をつけてみてください。この状態で練習していると、自分のプレイのダイナミクス・レンジを知ることができます。以上を踏まえて、弱く弾きつつもしっかり音が出せるタッチを身につければ、自然とスピード感も出せるようになるはずです。

Part 2 ディミニッシュ・フレーズのエクササイズ

Ex-3 〜5は、速弾き系フレーズにもたびたび登場するディミニッシュ・スケールをアルペジオで弾くフレーズです。このスケールは、左手の薬指&小指を強化する練習に最適。ディミニッシュ系には2種類あり(右図)、“全音→半音”の順に構成されたディミニッシュに対して、“半音→全音”になるのがコンビネーション・オブ・ディミニッシュ(略してコンディミ)で、これらはシンメトリカルな音程構成を持っています。

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Ex-3は16分音符で弾く練習で、薬指&小指の運指をスムーズに心がけること。遅めのテンポから始めて、音のツブが揃うようにピッキングしましょう。

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Ex-4では、アルペジオを1拍3連の4つ割りにしてみました。1音ずつ音が変わる忙しいフレーズですが、両手のタイミングに気をつけてください。

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Ex-5はAのディミニッシュの階段フレーズ。左手の指は指板からの距離が最小限になるようにスタンバイしておき、速く弾いてもすべての音が聴き取れるように、音ヌケとツブ立ちを意識してピッキングしましょう。

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Part 3 ホールトーン・スケールのエクササイズ

続いてはホールトーン・スケール(図)を使った練習フレーズです。

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このスケールは、ほかのスケールやハーモニーとのコントラストを打ち出したいときに真価を発揮しますが、これ単体であまり頻繁に使われるというわけではありません。しかしトレーニングの観点から言えば、各音程がすべて全音の間隔で構成されているため運指がしんどいので、速弾き系のテクニカル・フレーズに求められる“左手のストレッチ”を鍛えるにはもってこいなのです。もちろん、これを速く弾くだけでもなかなかトリッキーに聴こえますよ。

Ex-6はAのホールトーン・スケールによるフレーズ。左手の運指は5フレット間をカバーするポジショニングが必要になるので、ストレッチの状態で弾き続けることになります。そのぶん指板から指が離れてしまいやすく、音が途切れやすいので気をつけましょう。

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Part 4 まとめの実践トレーニング

それでは最後のお題。Ex-7は、ジャズ・ギタリストのマイク・スターンの楽曲「ティパティナーズ」(1999年作品『プレイ』収録)のAメロから抜粋しています。

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Am7の一発進行というシンプルなサウンドでありながら、ディミニッシュ・フレーズを織り交ぜたカラフルなメロディがおもしろいフレーズです。譜面上はシンプルですが、弾いてみるとなかなかややこしく、薬指と小指を多用する運指なので、速く弾くには両手ともにムダのない動きが求められますね。

今回のすべてのトレーニングに言えることですが、まずはゆっくり確実に弾けるようにしてから、演奏のクオリティを落とさずにどこまでテンポを上げられるかがポイントです。両手の基礎能力は、今回のテーマである速弾きはもちろん、すべての演奏に影響してきます。“速弾きは基礎練習”だと思って、たくさんベースを弾きまくりましょう!

河本奏輔

131016-mi-bass-1306ジャズ/フュージョンを中心としたオールラウンダー・スタイルで、多彩なジャンルのレコーディング&ライヴ・サポートから、教則本の執筆まで手掛ける。最近はアニソンや演歌にも足を踏み込んでいるほか、自身のユニットTryAngle Panicでは1stアルバムを制作中!

本記事について

本記事は『ベース・マガジン2013年6月号』掲載のページを転載したものです。

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