ピック弾きの可能性を再検証!/MI Japan ベース・クリニック

MI JAPANベース・クリニック by Mars 2013年5月16日

基本中の基本がゆえに、軽く見られてしまいがちなピック弾き……。しかし歯切れの良いリズムとクリスピーなトーンは、この奏法ならではのものだ。ビギナーも熟練者も、そして指弾き主体のベーシストも、改めてピック弾きの奥深い魅力を見直してみてはいかが!?

こんにちは、みなさん。MI福岡校、BIT講師のMars(マース)です。けっこう久しぶりの登場ですね☆ 今回のテーマはピック弾き! 一見ベタな奏法に思えますが、最近では意外と見かけなくなったような気もする。僕も昔はライヴの打ち上げでそれぞれの持論を持ち寄り、朝まで議論しあったものだけど……今一度、ピック弾きへの熱を取り戻したい! ということでこのレッスンに触れて、ピック弾きベーシストはもちろん指弾きベーシストにも、ピック弾きの新たな魅力に気づいてもらえたら嬉しい。

Part 1 いろいろなピッキング・フォーム

まずはピッキングの種類について説明しよう。写真1はスタンダードな“オープンハンド・ストレート型”。ピックを握る手が開いているからオープンハンド、ピックが弦とボディに対して垂直だからストレートかな。このタイプは細かいピッキング時にも安定感が高いので、これからピック弾きを始めようっていう人には一番オススメ☆

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写真1

次に写真2は少し変わったスタイルで、手がグーの状態になっている“クローズド型”。注目してほしいのは弦に対するピックの角度だ。いわゆるグーフィーというタイプで、通常は素直にピックを振ればネック側の面が弦に当たることになるけど、これはわざとブリッジ側から入れているのが特徴。両者ともに弦に力を伝えやすいというメリットがあるが、サウンドや弾き心地は変わってくるので、好きなほうを選べばいい。

写真2

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そして写真3はブリッジ・ミュートと言って、わざと音を柔らかく、短く鳴らしたいときの奏法。ミュートの具合は、右手の手刀をブリッジに当てながら前後に移動し、音程が残るポイントを弾きながら探ってみよう。これは曲中の静かなセクションや、細かいリズムに向いていると言える☆

写真3

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Part 2 オルタネイト・ピッキングの基礎

実際にピック弾きで演奏するとき、その肝と言えるのがダウン→アップを交互に繰り返すオルタネイトだ。やり方は人それぞれだけど、ここでは手首の回転を利用した弾き方をオススメしたい。この上下運動を8分音符のリズムに合わせるのが基本で、4分音符の場面でもリズムからずれないように、ウラ拍でははじいた気持ちになって弦をスルーしよう。とにかく、手の反復運動をキープし続けるのがポイントだ☆

それでは練習として、Ex-1を見てみよう。マイナー・ペンタトニックを基本にしたフレーズで、1&4小節に登場する4分音符を、8分音符の手の振りで演奏することに注意したい。それ以外はほぼ8分音符のみのフレーズだが、2&3小節はなかなか難しいパッセージなので、左手のポジション移動のことも考えながら弾くといい。

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続くEx-2は、“休符をしっかり演奏する”ことがポイントだ。音符や休符が8分であろうと4分であろうと、しっかりと右手でリズムを感じ続けよう。4小節前半は左手のストレッチが必要になるが、ここで焦って次に出てくる4分音符がヨロヨロにならないように、自信を持ってどっしりと鳴らしてほしい。

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Part 3 “アンチ・オルタネイト”のケース

“アンチ”と言っても、オルタネイトを否定しているわけではないんだ(笑)。“オルタネイトにこだわらなければもっとラクに弾けるんじゃないの? ” っていうフレーズのことで、例えばEx-3みたいなケース。ポイントは1小節1 〜2拍目で、基本グルーヴは3連に似ているけど、3連よりも1拍目に出てくる16分音符に粘りがあって、低重心で腰にくる感じだ。これをダウン→アップ→アップで弾いてもいいけど、テンポが速いとバタバタしてくるし、グルーヴに集中したくても、正確に腕を振ったり、タイミングを合わせることに神経を使ってしまうね。そこでこのフレーズを、譜例のとおりにダウン→ダウン→アップで弾いたらどうだろう? これならグルーヴや音に気をつかう余裕ができるはずだ。

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そしてEx-4も、まさにアンチ・オルタネイト(笑)。こういう3連符の混ざったフレーズは注意が必要なんだ。

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各小節とも、オルタネイトなら1 〜2拍目の弾き始めがダウン→アップ→ダウン→アップになるところを、3連のあとの8分をしっかり捉えるためには、ダウン→アップ→ダウン→ダウンという手順がベスト。これで確実にリズムが安定するはずだ。

Part 4 ミュートを絡めたピック弾き

次にミュートを絡めたプレイを紹介するよ。かなり奥が深いスキルのひとつなので、これをきっかけに練習していってほしい。Ex-5は、ピッキングの効率を考えればオルタネイトでいきたいところだが、オルタネイトにブリッジ・ミュートを絡める場合、実は音程や音質をしっかり鳴らすのがかなり難しい。手首の回転運動を基本にしたオルタネイトでは、どうしてもピックが弦に対して斜めに入りがちだからだ。できる限り真っ直ぐに芯を捉えて弾きたいので、ときにはテクニックやフレーズに合わせて全部ダウン・ピッキングでも良いかもしれないね☆ 慣れてきたら、オルタネイトとダウン・ピッキングのノリの違いにも気をつけて、自分の出したいグルーヴが表現できるようにピッキング方法を選んでみよう。

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では応用篇のEx-6にチャレンジ。16分音符を多用した、ミュートが利いたファンキーでロックなフレーズだ。4小節の最後は、右手の手刀ミュートに加えて左手のミュートもしっかり使って、歯切れよく演奏してほしい。細かい音符のなかに、たまに出てくる4分のダイナミックなニュアンスも、このフレーズの特徴だ。

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ピック弾きの基本テクを駆け足で見てきたけど、どーでしたか? 指弾きもピック弾きもそれぞれの持ち味があって、優劣をつける理由はないんだけど、確実に違う生きものなのでみんなに知ってほしくて(笑)。個人的な体験談を話すと、僕は演奏中によくピックを落とすので、いきなり指弾きに変更せざるを得ないケースがある。音作りもピックと指ではまったく別になるので、こんなときには良い音が出せずにうろたえることがあるんだ。でも、圧倒的な違いというのは、裏を返せば武器になる。

このセミナーで、みんながカッコいいプレイヤーに一歩でも近づけたなら嬉しいです。

Mars

131016-mi-bass-1305Paraele Stripesのベース・ヴォーカル、プログラミング&LEDメガネ担当。MIハリウッドを卒業後、同地でスタジオ・ミュージシャンから災害救済のためのチャリティ・イベント制作、ローカル・アーティストのプロデュースまで、多岐にわたる活動を展開する。帰国後はParaele Stripesを始動し、多くの国内外アーティストと共演。ダンス・ロックを広めるための布教活動で全国を飛び回る。MI福岡校ではBIT、BVTの講師を務めており、このセミナーには2011年11月号以来、3度目の登場となる。

http://www.paraele-stripes.net/

本記事について

本記事は『ベース・マガジン2013年5月号』掲載のページを転載したものです。

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